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- 日本の仕組み・社会構造
なぜ日本のニュースは「そこまで騒ぐ?」と言われるのか
海外に行ったり、普段のニュースを見ていて、
ふと「日本では当たり前だけど、これって普通なのかな?」と
感じたことはありませんか。
そんな日本のインフラが なぜ「壊れない国」と呼ばれているのかを、
動画とあわせて整理してみました。
日本の電車が「時刻表通り」なのは異常なレベル
平均遅延時間は驚異の「18秒」
日本の鉄道の平均遅延時間、何秒だと思います?なんと新幹線で約18秒なんです。これ、台風や地震といった自然災害も含めての数字ですよ。 海外では電車が30分遅れても「まあ、そんなもんだよね」って感じなんですが、日本で5分遅れたら駅員さんが謝罪アナウンスしますよね。それどころか「遅延証明書」なんていう紙まで発行される。この感覚、海外の人からすると「クレイジー!」らしいです。 ### H3: 線路のメンテナンスは「夜の戦い」 じゃあなぜそんなに正確なのか。実は、私たちが寝ている間に壮絶な作業が行われているんです。 終電が終わると、深夜1時から4時くらいまでの短い時間に、線路の点検・補修作業が行われています。レールのゆがみをミリ単位でチェックして、ちょっとでも異常があれば即座に修正。この作業、「ドクターイエロー」っていう黄色い新幹線が有名ですよね。 でも在来線でも同じことをやっていて、作業員の人たちは限られた時間内で完璧に仕事を終わらせて、始発までに撤収する。この「夜の戦い」が毎日繰り返されているから、私たちは安心して電車に乗れるんです。
水道水が飲める国は世界で15カ国だけ
蛇口をひねれば飲める奇跡
これも当たり前すぎて忘れがちですが、水道水をそのまま飲める国って世界にたった15カ国くらいしかないんです。しかも日本の水道水は、下手したらペットボトルの水より厳しい基準をクリアしてます。 海外旅行で「水道水飲まないでね」って言われた経験、ありません?東南アジアとか中南米では、歯磨きのうがいでさえミネラルウォーター使う人もいるくらい。でも日本では、公園の水飲み場でゴクゴク飲んでも大丈夫。これってすごいことなんですよ。 ### H3: 漏水率の低さは世界トップクラス もっと驚くのが、水道管からの水漏れの少なさ。日本の漏水率は約3%。つまり水道局が送った水の97%がちゃんと家庭に届いているってこと。 ところがイギリスは約20%、フィリピンだと50%以上が途中で漏れちゃうんです。半分ですよ、半分!地下で水道管が破裂してても気づかれないまま、なんてことがザラにある。 日本では地下に埋まっている水道管の位置や状態が全部データ化されていて、定期的に点検・交換されています。見えないところでコツコツと仕事をしている人たちがいるから、私たちは蛇口をひねるだけできれいな水が使えるんですね。
停電が「ニュースになる」珍しい国
年間停電時間はわずか数分
日本の年間平均停電時間、知ってます?なんと約16分。しかもこれ、台風や地震も含めてです。 アメリカだと年間200分以上、発展途上国だと数千分なんてところもザラ。つまり日常的に停電があって、家にキャンドルやランタンを常備しているのが普通なんです。 日本で停電が起きると「〇〇地域で停電、復旧作業中」ってニュース速報が流れますよね。これ自体が、停電がいかにレアな出来事かを物語っています。
電力会社の「予防保全」という考え方
なぜこんなに停電が少ないのか。それは「壊れる前に直す」という考え方が徹底されているから。 電柱や送電線は定期的にパトロールされていて、ちょっとでも劣化の兆候があれば先回りして交換されます。「まだ使えるからいいじゃん」じゃなくて、「壊れる前に替えちゃおう」という発想。 台風が来るとわかっていれば、事前に電力会社の作業車が各地に配置されます。で、もし停電が起きても、すぐに駆けつけて復旧作業ができる体制が整っている。この準備の良さが、停電時間の短さにつながっているんです。
道路の「穴ぼこ」が即座に直される理由
通報から修復まで
24時間以内 道路に穴が開いているのを見つけたら、市役所とかに連絡しますよね。日本では、その通報から24時間以内、場合によっては数時間で修復されることが多いんです。 海外では道路の穴ぼこなんて日常茶飯事。大きな穴が何ヶ月も放置されていて、車がパンクしたり事故になったりすることも。でも日本では「穴があったままにしておく」という選択肢がほぼない。 これ、単に真面目だからってだけじゃなくて、「小さな損傷を放置すると大きな事故につながる」という考え方が浸透しているからなんです。
高速道路の舗装は「5年で全面点検」
高速道路の舗装も定期的に全面チェックされています。NEXCO(高速道路会社)は、全路線を5年に一度は詳しく点検して、必要があれば舗装をやり直す。 夜中に高速道路で工事してるの、見たことありません?あれ、昼間は交通量が多いから、わざわざ深夜に作業してるんです。利用者の不便を最小限にしながら、安全を保つための工夫。 こうした地道な努力の積み重ねが、日本の道路を「走りやすい」状態に保っているんですね。
地震大国なのに建物が倒れない秘密
世界一厳しい建築基準法
日本は世界の地震の約20%が集中する地震大国。それなのに、建物が倒壊することは比較的少ない。これは世界一厳しいとも言われる建築基準法のおかげです。 1981年に大きく改正された建築基準法では、「震度6強から7の地震でも倒壊しない」ことが求められています。しかも新しい技術が開発されるたびに、基準はどんどん厳しくなっている。 免震構造とか制震構造とか、聞いたことありますよね。あれ、日本が世界に先駆けて開発した技術なんです。地震のエネルギーを吸収したり、揺れを減らしたりする仕組み。
「想定外」を想定する文化
阪神淡路大震災、東日本大震災と、大きな災害を経験するたびに、日本は建築基準を見直してきました。「想定外でした」で終わらせず、次に活かす。この姿勢が建物の強度を高めてきたんです。 最近では、南海トラフ地震に備えて、さらに基準が厳しくなっています。「過去最大の地震に耐えられればいい」じゃなくて、「それ以上の地震が来るかもしれない」という前提で設計される。 ちょっと神経質すぎるんじゃ?って思うかもしれないけど、この「用心深さ」が命を守っているんですよね。
「壊れない」を支える日本人の仕事観
「見えないところ」こそ丁寧に 日本のインフラが壊れない理由
技術だけじゃないんです。働く人たちの意識も大きい。 地下の水道管とか、道路の下の配管とか、誰も見ないところでも手を抜かない。「どうせ見えないからテキトーでいいや」じゃなくて、「見えないところこそちゃんとやる」という職人気質。 新幹線の車両を掃除する清掃員さんたち、7分間で車内を完璧にきれいにするって知ってました?しかもお辞儀までして。この仕事への誇りみたいなものが、日本のインフラを支えているんだと思います。
「予防」にお金をかける文化
もう一つ大事なのが、「壊れる前に直す」ことにお金をかける文化。 海外では「壊れてから直せばいい」という考え方が主流な国も多い。だって予防保全ってお金かかるし、目に見える成果がないから。でも日本は違う。 「今は問題ないけど、将来壊れるかもしれないから今のうちに対策しておこう」。この発想が、結果的に大きな事故を防いで、長期的にはコストも抑えられている。 目先の節約より長期的な安全。この価値観が社会全体で共有されているのが、日本の強みなのかもしれません。
完璧主義の裏側にある課題
メンテナンス費用の増大
ただ、良いことばかりじゃないんです。日本のインフラ、実は高度経済成長期に作られたものが多くて、今どんどん老朽化が進んでいます。 橋やトンネル、水道管など、一斉に寿命を迎えつつある。これ全部を今までと同じレベルで維持しようとすると、莫大な費用がかかる。しかも人口減少で税収も減っていく。 「壊れない国」を維持するためのコストが、これから重くのしかかってくるんです。
働く人の負担と人手不足
もう一つの問題は、人手不足。深夜の線路点検とか、真夏の道路工事とか、きつい仕事が多いんですよね。 しかも高齢化で、熟練の技術者がどんどん引退している。若い人が入ってこない。技術は継承できても、人がいなければインフラは維持できません。 「壊れない国」の裏側で、現場の人たちがかなり無理をしているという現実もあるんです。
これからの「壊れない国」を考える
テクノロジーの活用 じゃあどうするか。
一つの答えがテクノロジーです。 ドローンで橋の点検をしたり、AIで道路の劣化を予測したり、センサーで水道管の異常を早期発見したり。人の目と経験に頼っていた部分を、技術で補う試みが始まっています。 自動運転の技術を使って、深夜の線路点検を効率化する実験も行われています。人がやらなくてもいい部分は機械に任せて、人は人にしかできない判断に集中する。
「適度な完璧主義」への転換
もう一つ大事なのが、優先順位をつけること。 全てのインフラを100点満点で維持するのは、もう難しいかもしれない。だったら、本当に大事なところに資源を集中させる。「ちょっとくらい不便でも安全なら許容する」という柔軟さも必要になってくるかも。 例えば、利用者の少ないローカル線は本数を減らしても、その分メンテナンスを充実させるとか。完璧を追求しすぎて破綻するより、持続可能なレベルを探る。そんな発想の転換が求められているのかもしれません。
この背景については、
「なぜ日本のインフラは老朽化しても崩壊しないのか」
で詳しく解説しています。
まとめ
日本のインフラが「壊れない」のは、技術力だけじゃなくて、見えないところで働く人たちの努力と、「壊れる前に直す」という文化があるから。電車の18秒の遅延も、蛇口から飲める水も、年間16分の停電も、全部「当たり前」じゃなくて「奇跡」に近いことなんです。 ただ、この奇跡を維持するのは、これからどんどん難しくなっていく。老朽化、人手不足、コスト増大。課題は山積みです。でも、テクノロジーを活用したり、優先順位をつけたりしながら、日本らしい「ほどよい完璧主義」を見つけていけたらいいですよね。 次に電車が時刻通りに来たとき、水道水を飲むとき、ちょっとだけ「ありがたいな」って思ってみてください。そして、この「壊れない国」を次の世代にどう引き継いでいくか、みんなで考えていけたらいいなと思います。


