- 投稿 2025/11/20
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メルカリ初出品のドタバタ体験談:眠っていたバッグが旅立つまで
触れたきっかけと思ったこと
クローゼットの奥に眠っていたバッグを引っ張り出したのは、引っ越しの準備をしていた時だった。3年前に買ったけれど、結局2、3回しか使わなかったトートバッグ。当時は一目惚れして購入したものの、自分の生活スタイルに合わなかったのか、いつの間にか使わなくなっていた。
捨てるにはもったいない。でもこのまま持っていても使わない。そんな葛藤を抱えながら、ふと思い出したのが友人の言葉だった。「メルカリで売ればいいじゃん」と、彼女は当たり前のように言っていた。その友人は頻繁に不用品を出品しているらしく、「結構いい値段で売れるよ」なんて話していたのを思い出した。
正直なところ、私はフリマアプリというものに対して少し腰が引けていた。なんとなく面倒くさそうだし、知らない人とやり取りするのも不安だった。写真を撮って、説明文を書いて、値段を決めて...想像するだけで手間がかかりそうだ。それに、もし売れたとしても梱包や発送の手続きが複雑そうで、失敗したらどうしようという不安もあった。
でも、このバッグは定価で15,000円もしたものだ。ほとんど使っていないから状態も良好だし、誰か必要としている人に使ってもらえたら嬉しいという気持ちもあった。それに、引っ越しを機に物を減らしたいという思いも強かった。荷物が少なければ少ないほど、引っ越し費用も安くなるし、新しい部屋もすっきりする。
結局、「ダメ元でやってみるか」という軽い気持ちでアプリをダウンロードした。週末の午後、特に予定もなかったので、挑戦するには良いタイミングだと思った。画面を開いてみると、思った以上にシンプルな作りで、なんとなく「これなら自分にもできるかも」という気持ちになった。とはいえ、実際に出品する段階になると、予想もしていなかった壁がいくつも立ちはだかることになるのだが、その時の私はまだそれを知らなかった。
最初に戸惑った体験
出品ボタンを押したところまでは良かったのだが、最初の関門は写真撮影だった。スマホで適当に撮ればいいだろうと軽く考えていたのが大間違いだった。
まず、どこで撮ればいいのか分からない。床に置いて撮ってみたら、背景に生活感が出すぎてしまった。掃除機のコードが写り込んでいたり、カーペットのシミが目立ったり。これじゃあ売れるものも売れないだろうと思って撮り直し。今度はテーブルの上に置いてみたが、照明の関係で影ができて暗い印象になってしまった。
白い壁を背景にしてみたり、ベッドの上に置いてみたり、何度も場所を変えて撮影した。気づけば30枚以上撮っていた。でも、どの写真を見ても「なんか違う」という感じがする。他の人の出品写真を見てみると、みんな綺麗に撮っているのに、自分の写真は素人感が満載だった。
写真だけで1時間近く悩んだ後、ようやく「まあこれならいいか」という妥協点を見つけた。自然光の入る窓際で、白いシーツを背景にして撮影したものが一番マシに見えた。でも本当にこれで大丈夫なのか、不安は残ったままだった。
次に困ったのが商品説明の文章だった。何を書けばいいのか、どこまで詳しく書けばいいのか、全く分からない。「トートバッグです」だけじゃ素っ気なさすぎるし、かといって長々と書くのも大変だ。
他の人の出品を参考にしようと思って見てみたら、ブランド名、サイズ、色、素材、購入時期、使用頻度、傷や汚れの有無など、かなり細かく書いている人が多かった。「こんなに書かなきゃいけないのか...」と思いながら、バッグを手に取ってメジャーで測り始めた。
ところが、サイズを測るのもまた難しい。縦、横、マチの幅...どこからどこまでを測ればいいのか迷った。持ち手の長さも測った方がいいのかな、と思って測ってみたり。素材については、タグを見てもよく分からないカタカナが並んでいて、それをそのまま書き写した。
説明文を書いていて一番悩んだのが、傷や汚れについてだった。よく見ると、角の部分にほんの少しスレがあった。これって書くべきなのか、それとも気にしなくていいレベルなのか。正直に書いて売れにくくなるのも嫌だし、でも書かないで後からクレームが来るのも怖い。結局、「角に若干のスレがありますが、全体的に良好な状態です」と正直に書くことにした。
最後に悩んだのが値段設定だった。これが一番難しかった。高すぎたら売れないし、安すぎたら損した気分になる。同じようなバッグを検索してみたら、価格帯がバラバラで全く参考にならなかった。3,000円で出している人もいれば、8,000円で出している人もいる。状態や使用年数によって違うんだろうけど、自分のバッグが相場的にどのくらいなのか判断がつかなかった。
試行錯誤しながら気づいたこと
悩んだ末に、7,000円で出品することにした。定価の半額より少し下くらいなら、まあ妥当かなという感覚だった。でも、出品ボタンを押した瞬間から、不安で仕方なかった。本当にこれで合っているのか、誰か見てくれるのか、そもそも売れるのか。
出品してから数時間、スマホを何度も確認した。閲覧数というのが表示されていて、少しずつ数字が増えていくのが見えた。誰かが見てくれている、ということだけは分かったが、「いいね」もつかないし、もちろん購入もされない。
その日の夜、友人に「メルカリ初めて出品してみたんだけど、全然反応ない」とメッセージを送った。すると彼女から「写真見せて」と返信が来た。出品ページのスクリーンショットを送ると、「写真暗くない?あと説明文が堅苦しいかも」というアドバイスをもらった。
言われてみれば、確かに写真は全体的に暗めだった。それに説明文も、必要な情報を詰め込もうとしすぎて、事務的な印象になっていた。友人曰く、「もっと普通に、使ってみた感想とか、どういうシーンで使ってたかとか書いた方がイメージしやすいよ」とのこと。
翌日、思い切って写真を撮り直した。今度は午前中の明るい時間に、ベランダに出て撮影した。自然光の下で撮ると、色もハッキリ見えるし、全体的に明るい印象になった。バッグの中も撮影して、収納力が分かるようにした。
説明文も書き直した。「通勤用に購入しましたが、私には少し大きすぎて使いこなせませんでした。A4サイズの書類が余裕で入るので、お仕事用や学校用に便利だと思います」というように、実際の使用経験を交えた文章にした。堅苦しさは減ったけど、必要な情報はちゃんと入っているはず。
値段も少し下げて、6,500円にしてみた。きりが悪い数字だけど、7,000円よりは買いやすい印象になるかなと思った。
編集して再出品した後、明らかに反応が変わった。数時間後には「いいね」が3つついた。閲覧数も前より増えるペースが速くなった気がする。でもまだ購入はされない。
そんな状態が2日ほど続いた頃、初めてコメントが来た。「購入を検討しているのですが、お値下げは可能でしょうか?」という内容だった。
正直、どう返信すればいいのか分からなかった。値下げに応じるべきなのか、断っても大丈夫なのか。友人に相談すると、「いくらなら売ってもいいか考えて、それを伝えればいい。無理に応じる必要はないよ」と言われた。
送料や手数料を考えると、あまり下げすぎても手元に残る金額が少なくなってしまう。計算してみて、6,000円なら許容範囲だと思った。「6,000円でしたらお値下げ可能です。ご検討ください」と返信した。
自分なりに工夫したポイント
値下げ交渉をしてきた人からは結局返信がなく、購入されなかった。少しがっかりしたけれど、これも勉強だと思うことにした。そこからまた数日が経ち、閲覧数は増えるものの売れる気配はなかった。
ある晩、何気なく他の人の出品を見ていて、ハッシュタグを使っている人が多いことに気づいた。商品説明の最後に「#トートバッグ #通勤バッグ #A4サイズ」みたいな感じで書いている。これって検索されやすくなるのかな、と思って自分の出品にも追加してみた。
それから、出品時間も意識するようになった。夜の時間帯に出品したり更新したりすると、比較的見てもらえることが分かった。みんなが家でスマホを見ている時間なんだろう。
写真も、何度か差し替えた。最初に載せていた写真よりも、バッグの使用イメージが湧きやすい角度のものに変えたり、中身の収納部分が見える写真を1枚目に持ってきたり。小さな変更だけど、こういう細かい工夫が大事なのかもしれないと思うようになった。
説明文にも少しずつ手を加えた。「雨の日も気にせず使える素材です」という情報を追加したり、「ポケットが3つあって、スマホや定期入れを分けて入れられます」という具体的な使い勝手を書いたり。自分が買う立場だったら知りたいことを想像しながら書いた。
それでも1週間が過ぎても売れなかった。「いいね」は10個以上ついているのに、購入には至らない。もしかして値段がやっぱり高いのかな、と迷った。でも、これ以上下げると手数料と送料を引いたら、ほとんど手元に残らなくなってしまう。
悩んだ末に、期間限定で値下げしてみることにした。「週末限定5,500円」というように、説明文の最初に大きく書いた。期間を区切ることで、「今買わないと」という気持ちになってもらえるかもしれないと思った。
金曜日の夜に値段を変更した。土曜日の朝、スマホを見ると通知が来ていた。「購入されました」という表示を見た時は、思わず「えっ!」と声が出た。本当に売れた。誰かが買ってくれた。
嬉しい気持ちと同時に、次は発送しなければならないという緊張が襲ってきた。梱包ってどうすればいいんだろう。コンビニから送れるって聞いたけど、具体的にどうするのか分からない。
実際の場面でどう役立ったか
購入された喜びもつかの間、今度は梱包という新たな課題に直面した。説明には「らくらくメルカリ便」を使うことにしていたが、正直どんな梱包をすればいいのか全く分かっていなかった。
家にあった紙袋に入れて送ればいいかな、と最初は考えた。でもネットで調べてみると、雨に濡れたら大変なことになると書いてあった。ビニール袋に入れてから紙袋に入れるべきらしい。それに、バッグが潰れないように何か詰め物をした方がいいという情報も見つけた。
急いで100円ショップに行って、大きめのビニール袋と緩衝材(プチプチ)を買ってきた。家に帰って、まずバッグをビニール袋に入れた。その後、バッグの形が崩れないように、中に新聞紙を丸めて詰めた。緩衝材で全体を包んで、さらに紙袋に入れた。
でも紙袋だけだとやっぱり不安だったので、透明なビニール袋でもう一度全体を覆った。二重三重の梱包になってしまったけれど、初めての発送だし、慎重すぎるくらいでちょうどいいだろうと自分に言い聞かせた。
梱包が終わったのが夜の9時過ぎ。でもその日のうちに発送したかったので、近くのコンビニに持っていった。レジで「メルカリの発送をお願いします」と言うと、店員さんが慣れた様子で対応してくれた。二次元コードを見せて、機械から出てきた伝票を貼り付けて、荷物を預ける。思っていたより簡単だった。
家に帰ってから、購入者にメッセージを送った。「本日発送いたしました。お手元に届くまで今しばらくお待ちください」という定型的な内容だったけれど、自分なりに丁寧な言葉を選んだつもりだった。
翌日、配送状況を確認すると、もう配達中になっていた。早い。翌々日には「配達完了」の表示が出た。あとは購入者が受け取って、評価をしてくれるのを待つだけだ。
でも、評価がなかなか来なかった。1日経っても、2日経っても、何も連絡がない。もしかして何か問題があったのかな、商品に満足してもらえなかったのかな、と不安になった。説明文に書き漏らしていたことがあったのだろうか。梱包が雑だったのだろうか。
3日目の夜、ようやく通知が来た。「評価されました」という表示。恐る恐る開いてみると、「良い」評価で、コメントには「丁寧に梱包していただき、ありがとうございました。大切に使わせていただきます」と書かれていた。
ホッとした。本当に良かった。思わず画面を見ながらニヤニヤしてしまった。自分が出品したものが、誰かの手に渡って、これから使ってもらえる。そう思うと、ただ捨てたりリサイクルショップに持っていったりするより、ずっと良かったと感じた。
こちらも評価をしなければならない。「スムーズなお取引をありがとうございました」と書いて、「良い」評価を送った。これで初めての出品から発送、取引完了までの一連の流れが終わった。
売上金を見ると、手数料と送料を引いて、約4,000円が手元に残った。定価の15,000円から考えると少なく感じるかもしれないけれど、使わずにずっと置いておくだけだったものが、誰かに使ってもらえて、しかもお金にもなった。この経験は、金額以上の価値があったと思う。
続けてみて変化したこと
最初の出品が無事に終わってから、不思議と気持ちが軽くなった。「自分にもできた」という小さな成功体験が、自信につながったのかもしれない。それからクローゼットを見る目が変わった。
引っ越しの準備を進めながら、「これも誰か使ってくれる人がいるかもしれない」と思うようになった。着なくなった服、読まなくなった本、使っていない食器。今まで「いつか使うかも」と思って取っておいたものたちが、実は誰かにとっては必要なものかもしれない。
2回目の出品は、最初よりもスムーズだった。写真の撮り方も分かってきたし、説明文も何を書けばいいか理解できた。値段設定も、前回の経験から相場感が少し掴めていた。
ただ、2回目だからといって全てが順調だったわけではない。今度は購入者とのやり取りで少し戸惑うことがあった。商品について細かく質問をしてくる人がいて、どこまで答えればいいのか迷った。サイズについて聞かれたので測り直したり、色味について聞かれたので写真を追加で撮って送ったり。
でも、そういうやり取りも悪くないと思えた。真剣に購入を検討してくれているということだし、質問に丁寧に答えることで、お互いに納得した取引ができる。前回の経験があったから、焦らず対応できた。
3回目、4回目と出品を重ねるうちに、コツのようなものが分かってきた。どんな時間帯に出品すると見てもらいやすいか、どんな言葉を使うと反応が良いか、どのくらいの値段設定が適切か。小さな気づきの積み重ねだった。
引っ越し前に、結局10点ほどの物を出品した。全部が売れたわけではなかったけれど、7割くらいは買い手が見つかった。売上金の合計は3万円を超えた。この金額で引っ越しの費用の一部を賄えたし、何より荷物が大幅に減ったことが嬉しかった。
出品作業をしていて気づいたのは、物を手放す時の気持ちが変わったことだった。以前は「捨てる」という行為に罪悪感があった。まだ使えるものを捨てるのは勿体ない、でも自分は使わない。そのジレンマがあって、結局ずっと持ち続けてしまっていた。
でも、出品するという選択肢を知ってから、「手放す=捨てる」ではなくなった。次に使ってくれる人に譲る、という感覚になった。購入者からのメッセージで「探していたものでした」「大切に使います」という言葉をもらうと、手放して良かったと心から思えた。
引っ越しが終わって新しい部屋で暮らし始めてからも、時々出品を続けている。以前ほど頻繁ではないけれど、「もう使わないな」と思ったものがあれば、捨てる前に出品を検討するようになった。
最近では、買い物をする時の意識も変わってきた。「これ、もし使わなくなったら売れるかな」と考えるようになった。すぐに流行が変わるようなものより、長く使える定番のものを選ぶようになったし、状態を綺麗に保とうという意識も生まれた。いつか手放す時のことまで考えて物を買うというのは、最初は予想もしていなかった変化だった。
友人には「メルカリ沼にハマったね」と笑われたけれど、確かにそうかもしれない。でもこれは悪い意味での沼ではなく、むしろ自分の生活が整理されて、物との付き合い方が健全になった感じがする。
まとめ
クローゼットの奥で眠っていたバッグを出品しようと思ったあの日から、数ヶ月が経った。最初は写真の撮り方も分からず、説明文に何を書けばいいか迷い、値段設定に悩み、梱包の仕方に戸惑った。一つ一つが初めてのことで、不安だらけだった。
でも、試行錯誤しながら経験を重ねていくうちに、少しずつコツが分かってきた。完璧にできるようになったわけではないし、今でも迷うことはある。それでも、最初に感じていた「面倒くさそう」「難しそう」という印象は、実際にやってみることで随分と変わった。
一番大きな変化は、物との向き合い方が変わったことだと思う。使わないものを「いつか使うかも」と溜め込むのではなく、必要としている誰かに譲るという選択肢を持てるようになった。手放すことへの罪悪感が減り、部屋も心も軽くなった。
購入者とのやり取りも、最初は緊張したけれど、今では楽しみの一つになっている。「探していました」「ありがとうございます」というメッセージをもらうと、単なる売買以上の温かさを感じる。画面の向こうに、物を大切に使ってくれる人がいると思うと、丁寧に梱包しようという気持ちにもなる。
金銭的なメリットも確かにある。使わない物が現金に変わるのは嬉しいし、そのお金で新しく必要な物を買ったり、貯金に回したりできる。でも、それ以上に「自分にもできた」という小さな達成感や、物を循環させている実感の方が、私にとっては価値があった。
初出品のあのドタバタは、今思い返すと笑える思い出になっている。30枚以上撮った写真、何度も書き直した説明文、深夜のコンビニで慌てて発送した日。全てが新鮮で、全てが学びだった。
これからも、自分のペースで続けていこうと思う。無理に出品数を増やす必要はないし、売れなかったら売れないでいい。ただ、使わなくなったものがあった時に、「誰かに使ってもらえるかもしれない」という選択肢を持っている。それだけで、暮らしが少し豊かになった気がする。
あのバッグは今、どこかで誰かに使われているのだろうか。通勤カバンとして毎日活躍しているのか、それとも週末のお出かけに使われているのか。私の手を離れて、新しい持ち主のもとで第二の人生を歩んでいる。そう思うと、手放して本当に良かったと思える。
物との付き合い方、買い方、手放し方。この一連の経験を通して、私の生活は確実に変わった。それは、クローゼットの奥のバッグから始まった、小さくて大きな変化だった。
