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スマホ家計簿をつけ始めて気づいた“本当に無駄だった支出”の正体

スマホ家計簿をつけ始めて気づいた"本当に無駄だった支出"の正体

触れたきっかけと思ったこと

「今月もまた貯金できなかった…」そんな言葉を何度呟いたことだろう。毎月それなりに給料をもらっているはずなのに、気づけば財布は空っぽ。クレジットカードの明細を見るたびに「こんなに使ったっけ?」と首を傾げる日々が続いていた。

30代に入って、周りの友人たちが貯金や投資の話をするようになった。「将来のことを考えると、ちゃんとお金を管理しないとね」なんて会話を聞くたび、内心では焦っていた。私だってちゃんとしたいと思っている。でも、何から始めればいいのか分からなかった。

そんなある日、同僚の美咲が「私、スマホの家計簿アプリ使い始めたんだけど、めっちゃいいよ」と教えてくれた。彼女は以前、私と同じように「お金がない」と愚痴をこぼしていた人だった。それがここ最近、なんだか余裕がありそうに見えた。ランチのときも「今月は結構節約できてる」なんて嬉しそうに話していた。

正直、最初は半信半疑だった。家計簿なんて何度も挫折してきた。学生時代に買った可愛いノート型の家計簿は、最初の一週間だけ記入して放置。社会人になってからExcelで管理しようとしたこともあったけど、パソコンを開くのが面倒で三日坊主。「スマホアプリだって、結局同じでしょ」という思いがあった。

でも、美咲の変わりようが気になって、その日の帰り道にアプリストアで「家計簿」と検索してみた。驚いたことに、たくさんのアプリがあった。レビューを読みながら、評価の高いものをいくつかダウンロードした。「まあ、無料だし、試すだけ試してみるか」という軽い気持ちだった。

最初に開いたアプリは、とにかくシンプルだった。収入と支出を入力するだけ。カテゴリーも「食費」「交通費」「娯楽費」などが用意されていて、自分で考える必要がない。「これなら続けられるかも」と思った。その日の夕飯で買ったコンビニ弁当の598円を入力してみた。たったそれだけのことなのに、なんだか新しいことを始めた感じがして、少しワクワクした。

「とりあえず一ヶ月だけでも続けてみよう」そう決めて、私の家計簿生活が始まった。このとき、まさか自分のお金の使い方がこんなにも歪んでいたことに気づくとは思ってもみなかった。

最初に戸惑った体験

アプリを使い始めて最初の週は、とにかく全てが新鮮だった。コンビニでペットボトルのお茶を買っても「150円、飲み物代」と入力する。駅の券売機でチャージしても記録する。会社帰りにドラッグストアで化粧水を買っても、すぐにスマホを取り出して入力した。

でも、三日目くらいから違和感が生まれてきた。入力すること自体は苦痛じゃない。問題は、記録した数字を見たときの「もやもや感」だった。

例えば、ある日の昼休み。いつものように同僚たちとランチに行った。私はパスタランチセットで1200円。これを「食費」として入力した。でも、このランチって本当に「食費」だろうか? 美味しいものを食べたいという欲求もあったけど、それ以上に「一人でお弁当を食べるのが寂しい」「同僚との時間が大事」という気持ちがあった。じゃあこれは「交際費」? それとも「娯楽費」?

そんなことを考えていると、カテゴリー分けに迷う支出が山ほどあることに気づいた。帰り道に寄ったコンビニで買った雑誌とガム。雑誌は「書籍費」でいいとして、ガムは? なんとなく口寂しくて買っただけだから「娯楽費」? でも、たかが100円ちょっとのガムをそんな真面目に分類する必要ある?

一番困ったのは、週末にショッピングモールで買い物をしたときだった。服と靴、それから生活雑貨をまとめて買って、合計で18,000円くらい使った。レジで決済したときは「まあ、必要なものだし」と思っていた。でも、アプリに入力しようとして手が止まった。

この18,000円を、どうやって分類すればいいんだろう? 服は「被服費」、靴も「被服費」、生活雑貨は「日用品費」。でも、レシートを見返すと、服と一緒に買った可愛いヘアアクセサリーがあった。これは本当に必要だったのか? 靴は確かに必要だった。前のスニーカーがボロボロだったから。でも、試着したときに店員さんに「お似合いですよ」と言われて、予定より5,000円高いものを選んでしまった。生活雑貨のコーナーで手に取ったアロマキャンドルは、完全に衝動買いだった。

結局、その日は全部まとめて「被服費・雑貨」として入力したけど、なんだかモヤモヤした。このモヤモヤの正体が何なのか、そのときはまだ分からなかった。

さらに困ったのは、クレジットカードの扱いだった。普段からカードで支払うことが多い私は、「今日は現金を使ってないから支出ゼロ」みたいな錯覚に陥っていた。でも、アプリに入力すると、カード払いでもちゃんと支出として記録される。当たり前のことなのに、数字で見るとドキッとした。

一週間が経って、アプリの「週間レポート」機能を見てみた。そこには「今週の支出:32,450円」と表示されていた。一週間で3万円以上? 思わず声が出た。「え、そんなに使ってたの?」

内訳を見ると、食費が15,000円近くあった。一人暮らしで、一週間で15,000円。単純計算すると一ヶ月で6万円。「いや、ありえない」と思ったけど、数字は嘘をつかない。コンビニでの買い物、会社近くのカフェでのランチ、仕事帰りのスーパーでの買い物。全部記録していたから間違いない。

そのときふと思った。「私、今まで何も分かってなかったんだ」と。毎月給料日前になると「お金がない」と嘆いていたけど、お金がないんじゃなくて、使ってしまっていただけだった。どこに消えたか分からなかったお金は、実はちゃんと記録に残っていた。ただ私が見ようとしていなかっただけ。

その夜、ベッドに入ってからもアプリの数字が頭から離れなかった。なんだか、自分の生活が数字で裁かれているような、不思議な居心地の悪さがあった。

試行錯誤しながら気づいたこと

二週目に入って、私はあることに気づき始めた。単に支出を記録するだけでは意味がない。大事なのは「なぜそのお金を使ったのか」を理解することだった。

ある朝、会社に向かう途中、駅ナカのカフェでコーヒーを買った。いつもの習慣だった。アプリを開いて「450円、飲み物代」と入力しようとして、ふと疑問が湧いた。「このコーヒー、本当に必要だったのかな?」

考えてみれば、会社にはコーヒーメーカーがある。無料で飲める。味は確かにカフェのほうが美味しいけど、450円分の価値があるだろうか? 週5日買えば2,250円。一ヶ月で9,000円。一年で108,000円。計算して驚いた。10万円以上も、朝のコーヒーに使っていたのか。

でも、ただ金額が大きいから無駄だとは思わなかった。私にとって朝のカフェでのコーヒーは、一日のスイッチを入れる時間だった。好きな音楽を聴きながら、温かいコーヒーを飲んで、心を落ち着ける。それは私にとって価値がある時間だった。

じゃあ、何が「無駄」なんだろう?

答えは意外なところにあった。ある日の昼休み、同僚たちとランチに行くことになった。本当は前日の夕飯の残りでお弁当を作っていた。朝、ちゃんとお弁当箱に詰めて会社に持ってきていた。でも、「今日はイタリアンに行こうよ」と誘われて、なんとなく「うん、行く行く」と答えてしまった。

ランチで1,500円を支払って、午後に自分のデスクでお弁当箱を見たとき、胸が痛んだ。結局そのお弁当は夜に家で食べたけど、作った意味がなかった。いや、お弁当代の1,500円が無駄になったというより、「断れなかった自分」に対してモヤモヤした。

その日から、私は支出を記録するときに、心の中で自問するようになった。「これは本当に自分が欲しくて買ったもの? それとも、なんとなく買っただけ?」

すると、驚くほどたくさんの「なんとなく支出」が見つかった。

帰り道のコンビニで買うお菓子。別にお腹が空いているわけじゃない。でも、コンビニに寄るのが習慣になっていて、手ぶらで出るのが落ち着かなくて、なんとなくレジに持っていく。

ネットショッピングでポチる服。本当に欲しかったわけじゃない。でも、「5,000円以上で送料無料」と書いてあったから、送料を払うのがもったいなくて、別に必要じゃないものまでカートに入れる。

サブスクリプションサービス。動画配信サービスが三つも入っていた。「いつか見るかも」と思って契約したけど、実際に使っているのは一つだけ。でも解約するのが面倒で、毎月自動で引き落とされていた。

そして気づいた。本当に無駄な支出というのは、金額の大小じゃなかった。「自分の意思で選んでいない支出」が無駄だったんだ。

例えば、朝のカフェのコーヒーは450円する。でも、私はそれを意識的に選んでいる。朝の時間を豊かにするために、自分の意思でお金を使っている。だから無駄じゃない。一方で、コンビニでなんとなく買う150円のお菓子は、何も考えずに買っている。習慣で買っている。だからこそ無駄だった。

もう一つ気づいたことがある。私は「損をしたくない」という気持ちが強すぎて、かえって無駄な支出をしていた。ポイントが貯まるから、送料無料になるから、セールだからと、必要でもないものを買う。結果的に、使わないものが部屋に溜まっていく。

ある週末、クローゼットを整理していて愕然とした。タグがついたままの服が何枚もあった。「これ、安かったんだよね」と思い出せるものばかり。でも、安くても着なければ、それは無駄金だった。むしろ、高くても何度も着る服のほうが、よっぽど価値がある。

こうして、私は「支出の本質」に向き合うようになった。アプリに記録するのは数字だけど、その数字の裏には、自分の価値観や習慣、心の弱さが透けて見えた。

自分なりに工夫したポイント

気づきを得てから、私は家計簿の使い方を工夫し始めた。ただ記録するだけでなく、自分なりのルールを作っていった。

最初に決めたのは「買う前に記録する」というルールだった。変な話だけど、これが効果的だった。例えば、ネットショッピングでカートに商品を入れたら、まず家計簿アプリを開いて、その金額を入力してみる。購入ボタンを押す前に、今月の支出総額に加算して表示させる。

そうすると、不思議なことに「本当に買いたいか」が見えてくる。「あ、これを買うと今月の食費が予算オーバーするな」と気づいたとき、冷静になれる。別に予算を厳密に守ろうとしているわけじゃない。ただ、「見える化」することで、自分の判断材料が増える。

次に工夫したのは、カテゴリーの再編成だった。アプリに最初から用意されている「食費」「交際費」「娯楽費」といったカテゴリーだけでは、私の実感と合わなかった。だから、自分で新しいカテゴリーを作った。

「心の栄養費」というカテゴリーを作った。ここには、朝のカフェのコーヒー、好きな作家の新刊、友達との食事などを入れた。これらは金額だけ見れば削れる支出かもしれない。でも、私の心を豊かにしてくれるものだから、「無駄」ではない。このカテゴリーは、罪悪感なくお金を使っていいエリアとして設定した。

逆に「なんとなく支出」というカテゴリーも作った。コンビニでのついで買い、衝動買いした服、使っていないサブスクなど。ここに分類される支出は、月末に見返して、本当に必要だったか考える。このカテゴリーだけは、次の月に減らす努力をする。

面白かったのは、「未来への投資」というカテゴリーも作ったこと。資格取得のための教材、スキルアップのためのオンライン講座、健康のためのジム代など。これらは支出だけど、将来の自分への投資だと考えて、別枠にした。このカテゴリーが増えることは、むしろ喜ばしいことだと捉えた。

もう一つの工夫は、「感情メモ」を残すことだった。支出を記録するとき、金額とカテゴリーだけでなく、そのとき何を感じていたかを一言メモする。「疲れていた」「寂しかった」「嬉しかった」など。

これが予想以上に役立った。月末に振り返ると、自分の消費パターンが見えてくる。「疲れていた」と書いた日は、コンビニでの無駄買いが多い。「寂しかった」と書いた日は、ネットショッピングで不要なものを買っている。感情と支出が連動していることに気づいた。

そこで、ストレスが溜まっている日は、買い物ではなく、他の方法で発散するようにした。散歩に行く、友達に電話する、お風呂にゆっくり浸かる。お金を使わなくても、気持ちを切り替える方法はたくさんあった。

週に一度、土曜日の朝に「家計簿タイム」を作ったのも良かった。コーヒーを淹れて、一週間の支出を振り返る。数字を眺めながら、「今週は外食が多かったな」「でも、久しぶりに友達と会えて楽しかった」と、評価するのではなく、ただ観察する。

大事にしたのは、自分を責めないこと。使いすぎた週があっても「ダメだな、私」とは思わない。「今週はこういう週だったんだな」と受け止める。家計簿は反省文ではなく、自分を知るためのツールだと考えた。

友達との会話も変わった。以前は「お金がない」と愚痴をこぼしていたけど、今は「今月はこれにお金を使ってるんだよね」と具体的に話せるようになった。すると、友達も「分かる! 私もそう」と共感してくれたり、「私はこうしてるよ」とアドバイスをくれたりした。

日常や生活でどう変わったか

家計簿をつけ始めて三ヶ月が経った頃、自分の日常が少しずつ変化していることに気づいた。劇的な変化ではない。でも、確実に何かが違っていた。

まず、買い物の仕方が変わった。以前はスーパーに行くとき、特に計画を立てずに「なんとなく」店内を回っていた。そして、目についたものをカゴに入れていた。結果、家に帰ると似たような食材がダブっていたり、使い切れずに腐らせてしまったりしていた。

今は、買い物に行く前にスマホのメモアプリに必要なものをリストアップする。そして、スーパーではそのリストだけを見て買う。最初は窮屈に感じたけど、慣れてくると逆に楽だった。悩む時間が減って、買い物がスムーズになった。そして何より、食品ロスが激減した。

面白い変化は、コンビニとの付き合い方だった。以前は毎日のように寄っていたコンビニに、週に1〜2回しか行かなくなった。別に「行かない」と決めたわけじゃない。ただ、必要がないときは寄らなくなった。

そして気づいたのは、コンビニに寄らないと時間に余裕ができるということだった。帰り道に寄らなければ、その分早く家に着く。10分、15分の違いだけど、その時間で洗濯物を畳んだり、明日の準備をしたり、好きな音楽を聴いたりできる。お金だけでなく、時間も節約していたんだと実感した。

職場でのランチも変化した。以前は「みんなが行くから」という理由で外食することが多かったけど、今は「今日は本当に外で食べたいか」を自問するようになった。そして、お弁当を持ってきている日は、「今日はお弁当なんだ」と断れるようになった。

不思議なことに、断っても人間関係は悪くならなかった。むしろ、「そうなんだ、偉いね」と言われることが多かった。自分が思っているほど、他人は気にしていないんだと分かった。

服を買うときの心境も大きく変わった。以前はセールやバーゲンがあると、「安いから」という理由で買っていた。クローゼットには着ない服が溢れていた。今は、「本当に気に入ったものだけ」を買うようになった。多少高くても、「これは長く着る」と思えるものを選ぶ。

結果的に、服の購入頻度は減ったけど、満足度は上がった。クローゼットを開けたとき、「着る服がない」と思わなくなった。全部、お気に入りの服だから。毎朝の服選びが楽しくなった。

友達との関係も少し変わった。以前は誘われれば何でも「行く行く!」と答えていた。断るのが苦手だった。でも、家計簿をつけることで、自分の優先順位が見えてきた。

本当に会いたい友達との食事には、惜しまずお金を使う。でも、義理で参加していた飲み会は、「今月は予定が詰まっててさ」と断れるようになった。そうすると、残った時間で本当に大切な人と深い時間を過ごせるようになった。

休日の過ごし方も変わった。以前は「なんとなく」ショッピングモールに行って、「なんとなく」ウィンドウショッピングをして、「なんとなく」何か買う、という過ごし方が多かった。でも今は、「今日は何をしたいか」を朝に決める。読書をする日、友達に会う日、家でゆっくりする日。意識的に選ぶようになった。

お金を使わない休日も増えた。図書館で本を借りて読んだり、近所を散歩したり、家で映画を観たり。「お金を使わない=つまらない」ではないことに気づいた。むしろ、お金を使わない日のほうが、ゆっくり時間が流れる感覚があった。

そして、何より大きな変化は、「お金がない」と言わなくなったことだった。以前は口癖のように言っていた。でも今は、自分のお金の流れが見えているから、「お金がない」んじゃなくて「今月はこれに使った」と言える。被害者意識がなくなった。

続けてみて見えてきたこと

半年が過ぎた頃、私はアプリの「半年レポート」機能を開いてみた。そこには、過去半年間の支出の推移がグラフで表示されていた。

最初の月は支出が27万円だった。二ヶ月目は23万円。三ヶ月目は21万円。そして今月は19万円。着実に減っている。でも、それよりも私が驚いたのは、支出の内訳の変化だった。

最初の月は「食費」が最も大きな割合を占めていた。次に「被服費」「娯楽費」と続く。でも、半年後の今月を見ると、「心の栄養費」というカテゴリーが上位に来ていた。「未来への投資」も増えている。一方で、「なんとなく支出」は半分以下に減っていた。

金額が減ったことも嬉しかったけど、それ以上に「自分の意思で使っている割合」が増えたことが嬉しかった。以前は、自分でもよく分からないうちにお金が消えていた。今は、一つ一つの支出に納得している。

面白い発見もあった。数字を眺めていて気づいたのは、「幸福度と支出額は比例しない」ということだった。例えば、最も支出が多かった最初の月は、実はあまり幸せを感じていなかった。買い物をしても、すぐに「これじゃない」感に襲われて、また別のものを買う。満たされない気持ちのまま、ただ支出が増えていた。

一方で、支出が減った今のほうが、日々の満足度は高い。朝のコーヒー、友達との食事、好きな本。一つ一つに意味があって、味わって楽しめている。「少なく持って、豊かに生きる」という言葉の意味が、ようやく分かった気がした。

ある日、最初に家計簿アプリを勧めてくれた同僚の美咲とランチをした。「ねえ、家計簿続いてる?」と聞かれて、「うん、毎日つけてるよ」と答えた。すると彼女は嬉しそうに笑って、「良かった! 私、あのとき無理やり勧めちゃったから、続かなかったらどうしようって思ってたんだ」と言った。

「全然、無理やりじゃなかったよ。むしろ、教えてくれて本当にありがとう」と伝えた。そして、この半年で気づいたことを話した。本当に無駄だった支出の正体は、金額の大きさじゃなくて、「自分の意思がない支出」だったこと。習慣や義理、見栄や不安から生まれる支出が、実は一番の無駄だったこと。

美咲は頷きながら聞いていた。「分かる。私も最初、同じことに気づいた。お金の使い方って、生き方そのものなんだよね」と言った。その言葉に、深く共感した。

家計簿をつけることで、私は自分自身と向き合うことになった。どんなときにストレスを感じるのか、何に幸せを感じるのか、何を大切にしているのか。支出の記録を通じて、自分の価値観が見えてきた。

そして気づいたのは、お金の管理は「我慢」ではないということ。本当に大切なものには、むしろ積極的にお金を使う。でも、そうでないものには使わない。その選択ができるようになることが、本当の意味での「お金の管理」なんだと理解した。

今でも完璧ではない。衝動買いをしてしまう日もあるし、「なんとなく支出」がゼロになったわけでもない。でも、それでもいいと思っている。大事なのは、完璧になることじゃなくて、自分の行動に気づいていること。そして、少しずつでも自分の意思で選択できるようになること。

最近、後輩から「お金の管理、どうやってますか?」と相談された。以前の私だったら、「いや、私も全然できてないよ」と答えていただろう。でも今は違う。「スマホの家計簿アプリ、使ってみたら?」と自信を持って勧められる。そして、「数字を記録するだけじゃなくて、自分と向き合うつもりでやってみて」と伝えた。

まとめ

あれから一年が経った今、家計簿をつけることは完全に習慣になった。朝、歯を磨くのと同じくらい自然に、支出を記録している。そして、週末の「家計簿タイム」は、私にとって大切な自分との対話の時間になった。

貯金額も確実に増えた。最初の目標だった「毎月貯金する」は達成できている。でも、それよりも大きな収穫があった。それは、「自分の人生を自分で選んでいる」という実感だ。

以前の私は、お金に振り回されていた。「お金がないから」「セールだから」「みんなが買ってるから」。そんな理由で、自分の意思とは関係なく、ただ流されて生きていた。

今は違う。一つ一つの支出に、自分の意思がある。これは必要だから買う。これは心を豊かにしてくれるから買う。これは未来のために投資する。そういう選択ができるようになった。

そして分かったのは、本当に無駄だった支出の正体は、「自分を見失っていた証拠」だったということ。なんとなく買ってしまうのは、自分が何を望んでいるのか分からなくなっているから。習慣で買ってしまうのは、立ち止まって考える余裕を失っているから。見栄で買ってしまうのは、自分に自信が持てていないから。

家計簿という小さなツールが、私にそのことを教えてくれた。数字は冷たく見えるけど、実は自分の心の動きを映す鏡だった。

これからも、私は家計簿をつけ続けると思う。完璧にやろうとは思わない。でも、自分と向き合う時間として、大切にしていきたい。そして、もし誰かが「お金がなくて困ってる」と言っていたら、そっとこの話をしてあげたいと思う。

「一度、記録してみたら? きっと、見えてくるものがあるから」と。

ポイント管理アプリで“失効ゼロ”になった日、私がまずやったこと

ポイント管理アプリで"失効ゼロ"になった日、私がまずやったこと

触れたきっかけと思ったこと

あれは確か、去年の9月だったと思う。いつものようにドラッグストアでレジを済ませて、レシートをもらった瞬間だった。店員さんが申し訳なさそうに「お客様、先月末で1,500ポイント失効しておりまして…」と言ったんだ。

え、1,500ポイント?私、頭が真っ白になった。1,500円分だよ。そんなに貯まってたなんて知らなかった。というか、完全に忘れてた。

家に帰ってから、財布の中のポイントカードを全部出してみた。ドラッグストア、家電量販店、スーパー、コンビニ、カフェ、書店、美容院…数えたら12枚もあった。スマホアプリで管理してるポイントも含めたら、軽く20種類は超えてる。楽天ポイント、dポイント、Tポイント、Pontaポイント、それから各店舗独自のポイントプログラム。もう何がなんだか分からなくなっていた。

正直、ポイントカードって「あったらラッキー」くらいにしか思ってなかった。レジで「ポイントカードはお持ちですか?」って聞かれたら出すけど、貯まったポイントがいくらあるのか、いつまで有効なのかなんて、ほとんど気にしたことがなかった。

でも、1,500ポイントを失ったことで、妙に悔しくなってきたんだ。考えてみれば、あれは私が頑張って働いて稼いだお金で買い物をして、コツコツ貯めたポイントなわけで。それを何もせずに消滅させてしまうなんて、もったいない以外の何物でもない。

そんなとき、友人のユキが「私、ポイント管理アプリ使ってるよ。失効日教えてくれるから超便利」とサラッと言ったんだ。ポイント管理アプリ?そんなものがあるのか。私はスマホで早速検索してみた。すると、いくつか出てきた。レビューを読みながら、「これなら私でも使えそうかな」と思えるアプリをダウンロードした。それが、私とポイント管理アプリとの出会いだった。

ダウンロードした瞬間は、正直「本当にこれで変わるのかな」と半信半疑だった。今まで何度もダイエットアプリとか家計簿アプリとかダウンロードして、結局三日坊主で終わってきた私だ。でも、1,500ポイントを失った悔しさが、背中を押してくれた。

最初に戸惑った体験

アプリを開いて、まず目に入ったのは「ポイントを登録しよう!」という明るいメッセージだった。よし、やるぞと意気込んで、財布から全部のポイントカードを出して、登録を始めた。

ところが、これが思った以上に大変だった。まず、カード番号を入力する欄があるんだけど、どこに書いてあるのか分からないカードがいくつもあった。バーコードの下の数字なのか、裏面の小さく印字された番号なのか。カードによって全然違うんだよね。

それから、ポイント残高を入力する画面になったんだけど、そもそも今何ポイント貯まってるのか分からない。カードの裏面を見ても書いてないし、レシートももう捨てちゃってる。仕方なく、各店舗のウェブサイトにアクセスして、会員ログインして、残高を確認して…という作業を繰り返した。

ここで最初の壁にぶつかった。ドラッグストアのポイントカード、ログインIDとパスワードが分からない。「パスワードをお忘れの方はこちら」をクリックして、メールアドレスを入力したら「このメールアドレスは登録されていません」と表示された。え、じゃあどのメールアドレスで登録したんだっけ?昔使ってた古いアドレスかもしれない。でももうそのメールアカウント、使ってないんだよな。

結局、そのドラッグストアのポイントは諦めて、次回買い物したときに店員さんに聞くことにした。こんな調子で、全部のポイントを登録するのに、実に3日もかかってしまった。正直、途中で「もういいや」って投げ出しそうになったことも何度もあった。

やっと全部登録し終わったと思ったら、今度は「有効期限」の入力でつまずいた。アプリには「ポイント失効日を入力してください」という項目があるんだけど、そもそもポイントの有効期限がいつなのか分からないカードだらけ。

家電量販店のポイントは「最終利用日から1年間」と書いてある。最終利用日っていつだっけ?レシート見ないと分からない。でも、レシートなんてもう残ってない。スーパーのポイントは「年度末まで有効」って書いてあるけど、年度末って3月末のこと?それとも12月末?

カフェのポイントカードに至っては、どこにも有効期限が書いてない。ということは無期限なの?それとも店員さんに聞かないと分からない系?もう、分からないことだらけで、頭がパンクしそうだった。

さらに厄介だったのが、ポイントの種類が複雑なやつ。楽天ポイントには「通常ポイント」と「期間限定ポイント」があって、期間限定ポイントの方が先に失効する。しかも、キャンペーンごとに失効日が違う。アプリに一つ一つ登録していくのが、本当に面倒くさかった。

「こんなに複雑なら、もうポイントなんて貯めなくていいや」と思った瞬間もあった。でも、そこでまた頭に浮かんだのが、あの失った1,500ポイントのこと。ここで諦めたら、また同じことを繰り返すだけだ。私は歯を食いしばって、一つ一つ、丁寧に登録していった。

試行錯誤しながら気づいたこと

なんとか主要なポイントを登録し終わって、アプリのホーム画面を見たとき、ちょっとした衝撃を受けた。画面には「失効まで残り7日」という赤い警告マークがついたポイントが3つも表示されていたんだ。

一つは書店のポイント。580ポイントも貯まってたのに、あと1週間で消えるところだった。もう一つはコンビニのポイント。これは320ポイント。そして三つ目が、美容院のポイントで、これが一番大きくて2,000ポイントも貯まっていた。

合計すると、2,900ポイント。もしこのアプリを使い始めていなかったら、私はこの2,900円分を、何も知らないまま失っていたことになる。背筋が寒くなった。

すぐに行動した。書店のポイントは、ずっと欲しかった料理本を買うのに使った。コンビニのポイントは、いつも買ってるコーヒーとお菓子で消費。美容院のポイントは、次回予約のときにトリートメントを追加することにした。

この経験で、大きなことに気づいた。ポイントって、「貯める」ことばかり意識してたけど、大事なのは「使う」ことなんだって。どんなにたくさん貯めても、失効しちゃったら意味がない。それよりも、失効前にきちんと使い切ることの方が、よっぽど重要なんだ。

アプリを使い始めて1ヶ月くらい経った頃、もう一つ重要なことに気づいた。それは、「自分が本当によく使う店」と「たまにしか行かない店」のポイントを、ちゃんと分けて考えるべきだということ。

私の場合、週に2〜3回は行くドラッグストアとスーパーのポイントは、放っておいてもどんどん貯まるし、買い物のたびに有効期限も延びていく。だから、そこまで神経質に管理しなくても大丈夫だった。

でも、2〜3ヶ月に一度しか行かない家電量販店とか、半年に一回の美容院とか、そういう「たまにしか使わない店」のポイントは、油断するとすぐ失効してしまう。だから、アプリで失効日の通知を「30日前」に設定して、早めに気づけるようにした。

さらに気づいたのは、ポイントの「還元率」よりも「使いやすさ」の方が大事だということ。以前の私は、「還元率1%」とか「ポイント5倍デー」とかいう言葉に釣られて、あちこちの店でポイントカードを作っていた。でも、結果的にポイントが分散しすぎて、どこのポイントも中途半端にしか貯まらず、失効ばかり繰り返していた。

アプリで全体を見渡せるようになって分かったのは、還元率が少し低くても、自分がよく使う店のポイントに集中した方が、結果的にお得だということ。私は思い切って、ほとんど行かない店のポイントカードを整理することにした。財布から5枚、アプリからも3つのポイントプログラムを削除した。すると、管理がグッと楽になった。

自分なりに工夫したポイント

アプリを使い続けるうちに、自分なりのルールというか、コツみたいなものが見えてきた。

まず一つ目は、「失効日の30日前通知」に加えて、「失効日の7日前通知」も設定したこと。30日前の通知で「そろそろ使わなきゃ」と意識できるんだけど、忙しいとつい忘れてしまう。だから、7日前にもう一度通知が来るように設定した。これで、ほぼ確実にポイント失効を防げるようになった。

二つ目は、「ポイント使用予定日」を自分でメモするようにしたこと。アプリにはメモ機能がついてたから、それを活用した。例えば、書店のポイントなら「来月発売の○○の本を買う」とか、ドラッグストアなら「シャンプーがなくなったら使う」とか。こうやって具体的な使い道を決めておくと、失効前にちゃんと使うことができる。

三つ目の工夫は、「ポイント棚卸しデー」を月に一回作ったこと。毎月1日に、アプリを開いて全てのポイント残高と失効日をチェックする。この習慣をつけたら、ポイント管理が本当に楽になった。最初は面倒に感じたけど、慣れてくると10分もあれば終わる作業だ。

それから、買い物の仕方も工夫するようになった。以前は、安い店を探して色んな店をハシゴしていたけど、今は「ポイントが貯まりやすい店」を優先するようになった。例えば、同じ商品が10円高くても、ポイントが5倍つく日なら、結果的にそっちの方がお得になる。アプリで計算できるから、損しない選択ができるようになった。

あと、面白い発見だったのが、「ポイント交換」の活用。私が使っていたあるポイントは、他社のポイントに交換できることを知った。たまにしか行かない店で中途半端に貯まっていた800ポイントを、よく使う共通ポイントに交換したら、すごく便利だった。ポイントを一箇所に集約できると、管理も楽だし、失効のリスクも減る。

それと、家族とのポイント共有も試してみた。夫とは別々にポイントを貯めていたんだけど、同じスーパーのポイントなら合算できることが分かって、私のカードに統一した。そうしたら、貯まるスピードが倍になって、より大きな買い物にポイントを使えるようになった。

最後に、これは小さなことだけど、レシートをもらったらすぐに確認する習慣をつけた。レシートには、今回貯まったポイント数と現在の残高、そして次回失効予定のポイント数が印字されていることが多い。それをその場で見て、必要ならアプリに記録する。これだけで、かなり精度の高い管理ができるようになった。

日常や生活でどう変わったか

ポイント管理アプリを使い始めて半年くらい経った頃、ふと気づいたことがある。財布の中が、すごくスッキリしていたんだ。

以前はパンパンに膨らんでいた財布。その原因の大半が、使うかどうかも分からないポイントカードの束だった。でも今は、本当によく使う3枚のカードだけになった。他のポイントは全部スマホアプリに集約したから、財布を開くたびにストレスを感じることがなくなった。

買い物の仕方も変わった。以前は、レジで「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれて、財布の中をゴソゴソ探して、「あ、家に忘れました」とか言って諦めることが多かった。でも今は、スマホのアプリをサッと開くだけ。スマートだし、ポイントを取りこぼすこともなくなった。

それから、無駄な買い物が減った。これは予想外の変化だった。以前は、「ポイント5倍デー」とか「ポイント還元率アップキャンペーン」みたいな言葉につられて、必要でもないものまで買っていた。でも、アプリでポイント全体を管理するようになって、「今、本当に必要なのか」を冷静に考えられるようになったんだ。

例えば、ドラッグストアで「今日はポイント10倍!」というポップを見ても、「でも今、うちには同じシャンプーの在庫がまだある。次に買うのは来月でいい」と判断できるようになった。ポイントに振り回されるんじゃなくて、ポイントを上手に使いこなしている感覚。これが気持ちいい。

夫との会話も変わった。以前は、「また無駄遣いして」とか「ポイントカードばっかり増やして」と小言を言われることが多かったんだけど、今は「今月、ポイントで5,000円分も得したよ」とか「来月失効するポイントがあるから、週末に家電見に行こう」とか、前向きな会話ができるようになった。

実際、ポイント管理アプリを使い始めてから、年間でどれくらい得したか計算してみたんだ。そうしたら、失効を防げたポイントだけで約4万円分。それに加えて、ポイントを計画的に使えるようになったことで、実質的な節約効果はもっと大きいと思う。

友達にも勧めるようになった。最初にポイント管理アプリのことを教えてくれたユキはもちろん、他の友達にも「これ、本当に便利だよ」って話すようになった。みんな最初は「面倒くさそう」とか「設定が大変そう」って言うんだけど、私の失効ゼロの話をすると、興味を持ってくれる。

特に、同じように子育てしている友達のアヤは、すぐにアプリをダウンロードしてくれた。彼女も私と同じで、忙しくてポイント管理なんてしてる暇がないタイプだったんだけど、「これなら私にもできそう」って言ってくれた。後日、「2,000ポイント失効する前に気づけた!ありがとう!」ってLINEが来たときは、すごく嬉しかった。

続けてみて見えてきたこと

アプリを使い始めて1年が経った今、改めて振り返ってみると、ポイント管理って単なる「節約術」じゃないなって思う。

確かに、失効を防いで、お得に買い物できるようになった。それは事実だし、嬉しい変化だった。でも、それ以上に大きかったのは、「自分のお金の使い方」を客観的に見られるようになったことだと思う。

ポイントって、自分がどこで、何に、いくら使っているかの記録なんだよね。アプリを見ていると、「あ、私、最近ドラッグストアばっかり行ってるな」とか「この3ヶ月、書店に全然行ってないな」とか、そういうことが見えてくる。

そうすると、「最近、仕事が忙しくて本を読む時間がないな。週末は本屋に行ってみようかな」とか、「ドラッグストアで日用品ばかり買ってる。もう少し自分のための買い物もしたいな」とか、生活を見直すきっかけになった。

それから、「もったいない精神」との付き合い方も変わった。以前の私は、ポイントを失効させることを恐れるあまり、必要でもないものまで買って、結果的に無駄遣いをしていた。でも今は、「ポイントはあくまで手段であって、目的じゃない」と割り切れるようになった。

例えば、失効間近のポイントが500ポイントあったとする。でも、その店で今、欲しいものが何もない。以前なら、「もったいないから何か買わなきゃ」って無理に使っていた。でも今は、「500円分損するけど、それでいいや」と思えるようになった。無理して不要なものを買う方が、よっぽど無駄だから。

ただ、そういう「諦める判断」ができるようになったのも、アプリでちゃんと管理しているからこそだと思う。無意識に失効させるのと、意識的に諦めるのは、全然違う。前者は単なる無駄だけど、後者は自分で選んだ結果だから、後悔がない。

もう一つ、続けてみて分かったのは、「完璧を目指さなくていい」ということ。私も最初の数ヶ月は、全てのポイントを完璧に管理しようと頑張っていた。でも、それだと疲れてしまう。だから今は、「メインで使う5つのポイントだけは絶対に失効させない。他は、まあ仕方ないか」くらいの気持ちでやっている。

そのくらいの緩さが、長く続けるコツなんだと思う。実際、この1年間で失効させてしまったポイントもある。300ポイントくらい。でも、以前のように何千ポイントも無意識に失効させることはなくなった。それだけでも、大きな進歩だと思っている。

最近、面白いことに気づいた。ポイント管理を通じて、「未来の自分へのプレゼント」という考え方を持てるようになったんだ。ポイントを貯めて、計画的に使うって、つまり「今の自分が、未来の自分のために準備しておく」ってことなんだよね。

例えば、今月コツコツ貯めたポイントで、来月、ちょっといい化粧品を買う。それって、今の私から未来の私への小さなプレゼント。そう考えると、ポイントを貯めることも、管理することも、なんだか楽しくなってきた。

まとめ

1,500ポイントを失ったあの日から、もう1年以上が経った。今、私の財布はスッキリしていて、スマホのポイント管理アプリには、失効日まで余裕のあるポイントが並んでいる。「失効まで残り7日」なんて赤い警告は、もうずっと見ていない。

正直に言うと、最初は面倒くさかった。カードを一枚一枚登録して、残高を調べて、有効期限を確認して。「こんなの続くわけない」って何度も思った。でも、続けてよかったと心から思っている。

今では、ポイント管理アプリは私の生活に欠かせないツールになった。毎月1日の「ポイント棚卸しデー」も、もはや習慣になっている。買い物に行く前に、サッとアプリを開いて確認する。それだけで、失効のリスクはほぼゼロになった。

何より嬉しいのは、「お金を無駄にしている」という罪悪感がなくなったこと。以前は、ポイントを失効させるたびに、「あー、またやっちゃった」って自己嫌悪に陥っていた。でも今は、自分のお金としっかり向き合えている実感がある。

ポイント管理って、結局のところ、お金との付き合い方なんだと思う。ポイントもお金も、使ってこそ価値がある。貯めることが目的じゃなくて、自分や家族のために、いいタイミングで使うことが大事なんだ。

もしあなたが、財布の中にポイントカードがたくさん入っていて、「いつか使おう」と思いながら結局失効させてしまっているなら、一度ポイント管理アプリを試してみてほしい。最初の設定は確かに面倒かもしれない。でも、その数時間の手間で、これから先ずっと、ポイントを無駄にしない生活が手に入る。

私にとって、あの1,500ポイントの失効は、本当に貴重な授業料だった。あれがなければ、私は今でもポイントカードを放置して、無駄に失効させ続けていたと思う。そう考えると、あの1,500円は決して無駄じゃなかった。私に大切なことを教えてくれた、意味のある損失だったんだと思っている。

今日も、スマホの通知が来た。「美容院のポイント、失効まで残り28日です」って。よし、そろそろ予約しようかな。髪も伸びてきたし、ちょうどいいタイミングだ。ポイントを無駄にしないだけじゃなくて、自分を大切にする時間も作れる。これが、私にとってのポイント管理アプリの一番の価値かもしれない。

Canvaでサムネを作り始めたら、動画づくりが少し楽しくなった理由

Canvaでサムネを作り始めたら、動画づくりが少し楽しくなった理由

触れたきっかけと思ったこと

動画を投稿し始めて三ヶ月が経った頃、自分の動画一覧をスマホで眺めていて、なんとも言えない気持ちになった。内容には自信があるつもりだったのに、なぜかクリックしたくならない。サムネイルがどれも似たり寄ったりで、正直なところ地味だった。文字を入れただけの簡素なものや、動画の一場面をそのまま切り取っただけのものばかり。他の人の動画と並んだとき、明らかに埋もれている。

それまで動画編集ソフトでサムネイルも一緒に作っていた。動画の書き出しが終わったら、ついでにサムネイルも適当なフレームから作る。そんな流れが当たり前になっていて、特に疑問も持たなかった。でも、再生数が伸び悩んでいる現実を前にして、もしかしたらこのサムネイルが原因なんじゃないかと思い始めた。

友人に相談したら、「Canvaって知ってる?」と聞かれた。名前だけは聞いたことがあった。デザインツールらしいということは知っていたけれど、デザインなんて専門的なことをやったことがない自分には関係ないと思っていた。でも友人は「簡単だよ、無料でも使えるし」と言う。正直、半信半疑だった。デザインツールって難しいんじゃないの? Photoshopみたいな専門ソフトは触ったこともないし、センスもない。

それでも、このままサムネイルが地味なままでいるのも嫌だった。動画の内容を頑張って作っているのに、入り口で人が入ってこないのはもったいない気がした。とりあえず試してみるだけならタダだし、ダメなら元のやり方に戻ればいい。そう思って、その日の夜にCanvaのサイトを開いてみた。

登録は思ったより簡単だった。メールアドレスを入れて、いくつか質問に答えるだけ。あっという間にトップ画面が表示された。画面にはたくさんのテンプレートが並んでいて、正直、圧倒された。こんなにあるのか。どこから手をつけていいのかわからない。でも、検索バーに「YouTubeサムネイル」と入力してみたら、サムネイル用のテンプレートがずらっと出てきた。

プレビューを見ているだけで、なんだか楽しくなってきた。プロが作ったようなデザインが、テンプレートとして用意されている。文字の配置も、色の組み合わせも、全部考えられている。これを自分の動画に合わせて変えていけばいいのか。そう思ったら、少しだけ希望が見えた気がした。それまで「サムネイル作成=面倒な作業」だったのに、この瞬間から「ちょっと面白いかも」に変わった。最初のきっかけなんて、そんな些細なものだった。

最初に戸惑った体験

実際にテンプレートを選んで編集を始めてみたら、予想以上に戸惑うことが多かった。画面の使い方自体はシンプルだったけれど、どこをどう変えればいいのか、何をすれば「良いサムネイル」になるのかが全くわからなかった。

最初に選んだテンプレートは、派手な色使いで文字が大きく配置されているものだった。なんとなくインパクトがありそうだと思って選んだ。テンプレート上の文字をクリックすると、簡単に編集できた。自分の動画タイトルを入力してみる。でも、なんだか違う。文字数が合わないのか、レイアウトが崩れてしまった。長すぎる文字が枠からはみ出してしまって、バランスが悪い。

フォントを変えようとしたら、選択肢が多すぎて選べなかった。日本語フォントだけでも何十種類とある。明朝体、ゴシック体、手書き風、ポップ体。どれを選べば自分の動画に合うのか見当もつかない。適当に選んでは戻し、また別のフォントを試す。そんなことを繰り返しているうちに、時間だけが過ぎていった。

色も同じだった。背景色を変えようとしたら、カラーパレットが出てきて、無限の選択肢があるように思えた。テンプレートの色はオレンジだったけれど、自分の動画は落ち着いた雰囲気だから青がいいかもしれない。でも青にしたら、文字の色も変えないと読みにくい。文字を白にしたら、今度は影が足りない気がする。一つ変えると、他のバランスも変わってしまう。デザインってこんなに難しいのかと、途方に暮れた。

画像の配置にも苦労した。テンプレートには写真が入っていたけれど、それを自分の素材に差し替えたい。手持ちの写真をアップロードして、テンプレートの画像と入れ替えた。でも、サイズが合わない。画像が引き伸ばされて変な比率になってしまったり、逆に小さすぎて余白ができてしまったり。トリミングの仕方もよくわからなくて、何度もやり直した。

一番困ったのは、全体の統一感だった。テンプレートを使っているのに、自分が手を加えると急に素人っぽくなってしまう。文字を追加したり、色を変えたりするたびに、なんだかちぐはぐになっていく。プロが作ったテンプレートの良さが、自分の編集で台無しになっている気がした。

何時間もかけて作ったサムネイルを保存して、改めて見てみた。正直、微妙だった。確かに前よりは派手になったけれど、何かが違う。インパクトはあるけれど、自分の動画の雰囲気と合っていない気がした。派手すぎて、逆に嘘っぽく見える。これを使って本当にいいのかと迷った。

結局、その日はそのまま保存だけして、実際に使うのは先延ばしにした。もっと他のテンプレートを試してみようと思った。自分の動画に合うデザインがあるはずだ。最初の一回目で諦めるのは早い。でも同時に、思っていたより難しいという現実も突きつけられた。簡単にプロっぽいサムネイルが作れると期待していたけれど、そう甘くはなかった。

寝る前に、もう一度Canvaを開いて、別のテンプレートを眺めた。今度はシンプルなデザインを選んでみようと思った。派手さよりも、自分らしさを出せるものがいい。テンプレートの中には、落ち着いた色合いで、余白を活かしたデザインもあった。次はあれを試してみよう。そう思ったら、少しだけ前向きな気持ちになれた。失敗したけれど、まだ始まったばかりだ。

試行錯誤しながら気づいたこと

次の週末、改めてCanvaに向き合った。今度はシンプルなテンプレートから始めることにした。白い背景に、大きめの文字が一つ。写真が半分を占めるレイアウト。これなら自分でも扱いやすそうだと思った。

実際に編集を始めてみると、前回よりもスムーズに進んだ。要素が少ない分、迷う場面が減った。文字を入力して、フォントを選ぶ。今回はゴシック体の中でも、太めのものを選んだ。文字数が少ないから、多少大きくしても読みやすい。色は紺色にしてみた。黒だと重すぎるし、青だと軽すぎる。紺色はちょうどいいバランスだった。

写真を差し替えるとき、ふと気づいたことがあった。テンプレートの写真って、ただ綺麗なだけじゃないんだと。配置に意味がある。例えば、人物が写っている写真なら、顔の向きが文字の方を向いている。視線誘導というやつだ。自分の写真を選ぶときも、それを意識してみた。被写体が中央を向いている写真を選んだら、文字との関係が自然になった。

それから、余白の使い方にも気づいた。最初の頃は、空いているスペースがもったいなくて、何か埋めたくなっていた。文字を増やしたり、装飾を追加したり。でもシンプルなテンプレートを使ってみて、余白があるからこそ見やすいんだと分かった。情報が少ない方が、かえって目に入りやすい。全部詰め込もうとしなくていいんだ。

色の組み合わせについても、少しずつ理解が深まった。Canvaには「カラーパレット」という機能があって、テンプレートで使われている色が一覧で見られる。その色から選べば、統一感が保てる。自分で一から色を選ぶより、ずっと失敗が少ない。ああ、だからプロのデザインは綺麗なのかと納得した。色のルールを守っているからだ。

何枚かサムネイルを作っているうちに、テンプレートをそのまま使うんじゃなくて、自分なりにアレンジする楽しさが分かってきた。例えば、文字の位置を少しずらしてみる。背景の色を微妙に変えてみる。小さな変化だけれど、それだけで印象が変わる。自分の動画に合わせて調整していく過程が、なんだか創作活動みたいで楽しかった。

ある日、動画のシリーズ物を作ることになった。連続した内容の動画だから、サムネイルも統一感を持たせたい。Canvaで同じテンプレートを使って、色だけを変えてみることにした。第一回は青、第二回は緑、第三回は赤。文字と配置は同じで、色だけが違う。作っている最中、これはうまくいきそうだという予感がした。

実際にアップロードして、自分のチャンネルページを見たとき、思わず笑ってしまった。綺麗に並んでいる。統一感があって、シリーズ物だとすぐにわかる。今までの動画一覧とは明らかに違う。こんなに印象が変わるのかと驚いた。

それから、他の人のサムネイルを見る目も変わった。人気YouTuberのサムネイルを改めて観察してみると、みんなルールを持っていることに気づいた。文字の配置が決まっている人、使う色を絞っている人、写真の切り取り方にこだわっている人。一見バラバラに見えても、実は統一感があるんだ。それがブランディングになっている。

自分もそういうルールを作ってみようと思った。文字は画面の下三分の一に配置する。背景は寒色系で統一する。写真は必ず人物を入れる。小さなルールだけれど、それを守るだけで、自分らしさが出るような気がした。

試行錯誤の中で一番大きな気づきは、完璧を目指さなくていいということだった。最初の頃は、プロみたいなサムネイルを作ろうとして力んでいた。でも、自分は動画クリエイターであって、デザイナーじゃない。サムネイルは動画への入り口であって、作品そのものじゃない。そう割り切ったら、気持ちが楽になった。動画の内容を正直に伝えられるサムネイルであればいい。嘘をついてまで派手にする必要はない。

そう思えるようになってから、サムネイル作りが苦痛じゃなくなった。むしろ、動画を作り終えた後のちょっとしたご褒美みたいに感じられるようになった。今日はどんなサムネイルにしようか。どの写真を使おうか。考えること自体が楽しくなってきた。

自分なりに工夫したポイント

何枚もサムネイルを作っているうちに、自分なりのやり方やこだわりが生まれてきた。最初は手探りだったけれど、だんだんと「自分のパターン」が見えてきた。

まず、テンプレートの選び方を変えた。派手なものやトレンドっぽいものよりも、自分の動画の雰囲気に合うものを優先するようにした。自分の動画は解説系が多いから、清潔感があって、文字が読みやすいデザインを選ぶ。逆に、エンタメ系の動画のときは、少し遊び心のあるデザインにする。動画の内容に合わせてテンプレートを使い分けるようになった。

文字の入れ方にも工夫をした。最初の頃は、動画タイトルをそのまま入れていた。でも、タイトルが長いと文字が小さくなってしまって読みにくい。だから、サムネイル用にタイトルを短縮するようにした。キーワードだけを抜き出す。「〜する方法」は「〜のコツ」に言い換える。文字数を減らすことで、フォントサイズを大きくできる。スマホで見たときの視認性が格段に上がった。

色使いについては、自分なりのルールを作った。メインカラーは三色まで。それ以上使うとごちゃごちゃする。そして、必ず一つは落ち着いた色を入れる。派手な色だけだと目がチカチカするから、グレーやベージュを入れてバランスを取る。Canvaのカラーパレット機能で、補色や類似色を確認しながら選ぶようにした。

写真の選び方も変えた。動画の一場面をそのまま使うんじゃなくて、サムネイル用に別撮りすることもあるようになった。表情や構図を意識して撮る。笑顔よりも、真剣な表情の方がクリックされやすいと聞いて、実際に試してみた。あるいは、驚いた表情や、指さしているポーズ。少し演技っぽくなるけれど、サムネイルとしては効果的だった。

それから、文字に影をつけることの重要性にも気づいた。背景が明るい場合、白い文字は読みにくい。でも影をつければ、どんな背景でも文字が浮き上がる。Canvaでは文字を選択して、「エフェクト」から簡単に影がつけられる。この小さな工夫で、プロっぽさが増した気がした。

レイヤーの重ね方にも慣れてきた。最初の頃は、テンプレートの構造を理解していなくて、要素を動かすたびにレイアウトが崩れていた。でも、レイヤーの概念が分かってからは、自由に編集できるようになった。背景、写真、文字、装飾。それぞれが別のレイヤーになっている。順番を入れ替えたり、透明度を調整したり。細かい調整ができるようになって、表現の幅が広がった。

時間をかけすぎないことも工夫の一つだった。最初の頃は一枚のサムネイルに数時間かけていたけれど、それでは本末転倒だ。動画編集に時間をかけるべきなのに、サムネイルに時間を取られてしまっては意味がない。だから、制限時間を決めた。一枚につき三十分まで。時間内に完成させる。そう決めたら、逆に集中できるようになった。迷っている時間がもったいないから、直感で決める。その方がかえって良いサムネイルができることもあった。

保存する前に、必ずスマホで確認するようにもした。パソコンの画面で見ると綺麗でも、スマホで見ると文字が小さすぎることがある。実際にスマホで見て、読めるかどうか、インパクトがあるかどうかをチェックする。これは友人からのアドバイスだったけれど、本当に役立った。今の時代、ほとんどの人がスマホで動画を見るんだから、スマホでの見え方が一番重要だ。

もう一つ、自分の中で大事にしているのは、嘘をつかないことだった。サムネイルで過度に期待させて、実際の動画内容と違っていたら、視聴者をがっかりさせてしまう。派手なサムネイルを作りたい気持ちはあるけれど、動画の内容を正直に表現することを優先した。地味でもいいから、嘘がないサムネイルにする。そう決めてから、作るときの迷いが減った。

こうした工夫は、一度に思いついたわけじゃない。失敗したり、他の人のサムネイルを観察したり、少しずつ試していく中で身についていった。今でも完璧だとは思っていないけれど、自分なりのスタイルができてきたことは確かだ。

実際の場面でどう役立ったか

Canvaでサムネイルを作るようになってから、具体的な変化がいくつもあった。数字として表れたものもあれば、気持ちの面で感じたこともあった。

一番わかりやすかったのは、クリック率の変化だった。YouTubeのアナリティクスを見ると、インプレッション数に対してどれくらいクリックされたかが分かる。サムネイルを変える前は、クリック率が2%台だった。百人が目にして、二人がクリックする程度。でも、Canvaで作ったサムネイルに変えてから、少しずつ上がっていった。最初は3%、次は4%。ある動画では6%を超えた。

数字だけ見ればわずかな差だけれど、体感としては大きかった。同じ内容の動画なのに、サムネイルを変えただけで人が入ってくる。それまで埋もれていた過去の動画も、サムネイルを作り直してみたら、再び再生されるようになった。動画の内容が良くても、入り口が悪ければ見てもらえない。逆に、入り口さえしっかりしていれば、中身を見てもらえるチャンスが増える。当たり前のことだけれど、それを実感として理解できた。

コメントも変わった。「サムネイルが気になってクリックしました」と書かれることが増えた。あるいは、「最近サムネイルが綺麗になりましたね」と言ってもらえることもあった。見てくれている人は、ちゃんと気づいてくれるんだと嬉しくなった。自分では些細な変化だと思っていたけれど、視聴者には伝わっていたんだ。

シリーズ物の動画では、特に効果を感じた。統一感のあるサムネイルにしたことで、「続きが気になる」と思ってもらえるようになった。一つの動画を見た人が、関連動画として表示された次の動画もクリックしてくれる。サムネイルが揃っているから、シリーズだとすぐにわかる。視聴者の導線がスムーズになった。

動画投稿のモチベーションにも影響があった。以前は、動画が完成しても、サムネイル作りが億劫で投稿を先延ばしにしてしまうことがあった。でも今は、サムネイル作りも含めて楽しみになっている。動画を作り終えたら、「さて、今回はどんなサムネイルにしようか」とワクワクする。その工程自体がクリエイティブな時間になった。

他のクリエイターとの交流でも役立った。SNSで動画を宣伝するとき、サムネイルが綺麗だとシェアされやすい。他の人が「このサムネイル素敵ですね」と反応してくれる。そこから会話が生まれて、つながりが広がった。サムネイルがコミュニケーションのきっかけになるなんて、思ってもみなかった。

仕事の依頼が来たときも、サムネイル作りの経験が役立った。企業から動画制作の相談を受けたとき、サムネイルも含めて提案できた。Canvaで作ったサンプルを見せたら、「このクオリティなら安心です」と言ってもらえた。動画編集だけじゃなく、サムネイルも含めたトータルの提案ができることが、自分の強みになった。

個人的に一番嬉しかったのは、家族や友人からの反応だった。自分の動画を見せたとき、「サムネイルがプロっぽいね」と言われた。それまでは「頑張ってるね」くらいのリアクションだったのに、明らかに印象が変わった。素人っぽさが抜けて、ちゃんとした動画に見えるようになったんだと実感した。

ある日、昔の動画のサムネイルと、今の動画のサムネイルを並べて見比べてみた。わずか数ヶ月の違いなのに、別人が作ったみたいに違う。昔のサムネイルは、今見ると恥ずかしくなるくらい地味で雑だった。でもその比較が、自分の成長を感じさせてくれた。Canvaを使い始めたことで、確実にスキルが上がっている。

実際の場面で役立ったのは、技術的なことだけじゃなかった。サムネイルを作る時間が、自分の動画を客観的に見つめ直す時間にもなった。「この動画の一番の魅力は何だろう」「どんな人に見てほしいんだろう」。サムネイルを作りながら、動画の核心を考える。その過程で、自分の動画作りに対する姿勢も変わっていった気がする。

続けてみて変化したこと

Canvaでサムネイルを作り続けて半年が経った頃、自分でも驚くような変化に気づいた。サムネイル作りが習慣になっただけじゃなく、動画制作全体に対する考え方が変わっていた。

一番大きな変化は、企画段階からサムネイルを意識するようになったことだった。以前は、動画を作り終えてから「さて、サムネイルどうしよう」と考えていた。でも今は、企画を考える時点で「このテーマならサムネイルはこんな感じかな」とイメージしている。サムネイルで表現できないテーマは、そもそも動画として弱いんじゃないかと思うようになった。

例えば、「最近感じたこと」みたいな漠然としたテーマは、サムネイルにしづらい。でも「〇〇して気づいた三つのこと」なら、数字も入るし、具体性がある。サムネイルも作りやすい。企画の時点でサムネイルを意識することで、テーマ自体が明確になる。結果的に、動画の内容も分かりやすくなった。

撮影の仕方も変わった。サムネイル用の素材を意識して撮るようになった。動画の中で使う映像だけじゃなく、サムネイルに使えそうなカットも撮る。表情のバリエーションを増やしたり、構図を変えてみたり。編集のときに「サムネイルに使える素材がない」と困ることがなくなった。

色に対する感覚も鋭くなった。街を歩いていても、看板やポスターの配色が気になるようになった。「この組み合わせは読みやすいな」とか、「この色は目立つけど品がある」とか。日常の中でデザインを観察する癖がついた。それがサムネイル作りにもフィードバックされて、色選びのセンスが少しずつ磨かれていった気がする。

他の人の動画を見るときの視点も変わった。内容だけじゃなく、サムネイルにも注目するようになった。人気の動画はどんなサムネイルにしているのか。文字の大きさは? 色使いは? 写真の選び方は? 研究するように見るようになった。真似するんじゃなくて、学ぶ。良いと思った要素を自分なりに取り入れてみる。そうやって引き出しが増えていった。

意外だったのは、Canvaでサムネイル以外のものも作るようになったことだった。SNS用の投稿画像や、動画の中で使う字幕テロップのデザイン。最初はサムネイル専用だと思っていたけれど、実はいろんなことができるツールだと気づいた。動画のエンドカードもCanvaで作ってみたら、統一感が出て良かった。一つのツールでいろんなデザインができる便利さを知った。

チャンネル全体のブランディングにも意識が向くようになった。サムネイルの統一感が、チャンネルの個性になる。自分のチャンネルを訪れた人が、「このチャンネルはこういう雰囲気なんだな」と一目で分かるようにしたい。そのためには、サムネイルだけじゃなく、チャンネルアートやプロフィール画像も揃える必要がある。全部Canvaで作ることで、トータルのデザインに一貫性が生まれた。

動画づくりに対する自信も少しずつついてきた。サムネイルがしっかりしていると、動画全体がプロっぽく見える。それが自分の自信にもつながる。「ちゃんとした動画を作っている」という実感が持てる。その自信が、動画の企画や撮影にも良い影響を与えている気がする。

再生数も安定して伸びるようになった。劇的に増えたわけじゃないけれど、着実に右肩上がりになっている。新しく投稿した動画が、以前よりも早く再生される。登録者数も少しずつ増えている。サムネイルだけの効果じゃないだろうけれど、少なくとも足を引っ張る要素ではなくなった。入り口がしっかりしているから、中身を見てもらえるチャンスが増えた。

何より、動画づくりが楽しくなった。以前は義務感で作っているような部分もあった。再生数が伸びないと、何のために作っているんだろうと思うこともあった。でも今は、純粋に楽しい。企画を考えるのも、撮影するのも、編集するのも、サムネイルを作るのも。全部が一連の創作活動として楽しめている。

サムネイル作りを通して、デザインの基礎みたいなものも身についた気がする。色の組み合わせ、文字の配置、余白の使い方。専門的に学んだわけじゃないけれど、実践の中で体感的に理解できた。それが動画編集にも活きている。テロップの入れ方や、画面構成を考えるとき、デザインの視点が加わった。

もう一つ、コミュニティの中での立ち位置も変わった。同じように動画を作っている仲間から、「サムネイルどうやって作ってるの?」と聞かれることが増えた。自分が教える側になるなんて思ってもみなかった。Canvaのことを教えたり、自分なりの工夫を共有したり。そうやって誰かの役に立てることが嬉しかった。

半年前の自分に伝えたい。サムネイルをちゃんと作るだけで、こんなに変わるんだよと。もっと早く始めればよかったと思う反面、今のタイミングだったから楽しめたのかもしれないとも思う。焦って完璧を目指していたら、きっと続かなかった。試行錯誤しながら、少しずつ成長していく過程そのものが、楽しかったんだと思う。

まとめ

Canvaでサムネイルを作り始めてから、動画づくりが少し楽しくなった。いや、少しどころじゃないかもしれない。明らかに、動画制作に対する姿勢が変わった。

最初は、再生数を伸ばすための手段としてサムネイルを改善しようと思った。地味なサムネイルを何とかしたい