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毎朝バタバタだった私が“前夜5分の準備”で朝のストレスが激減した話

触れたきっかけと思ったこと

「もう無理、絶対に遅刻する」。目覚まし時計を見て飛び起きる朝が、私にとっては日常だった。アラームをスヌーズして二度寝、三度寝。気づけば家を出る30分前。着替えて、メイクして、朝ごはんは食べる暇もなく、コーヒーだけをマグカップに注いで慌てて飲み干す。靴下が片方見つからなくて引き出しをひっくり返したり、会社に着ていく服が決まらなくてクローゼットの前で途方に暮れたり。そんな朝を何年も繰り返していた。

会社に着く頃には、すでにぐったりしている。走って駅まで行くから額には汗。化粧も崩れている。何より、朝からこんなにバタバタしていると、一日のスタートがもう最悪な気分なのだ。同僚からは「いつも朝ギリギリだよね」と苦笑いされ、上司からは「もう少し余裕を持って出勤できないか」と遠回しに注意されたこともある。

自分でも何とかしなきゃと思っていた。早起きすればいいんだとわかってはいる。でも、夜型人間の私にとって、朝早く起きることは本当に苦痛で。目覚ましを何個セットしても、結局起きられない。「明日こそは早く起きよう」と毎晩誓うのに、翌朝になると「あと5分だけ」が積み重なって結局いつもの時間。完全に悪循環だった。

そんなある日、同じ部署の先輩が何気なく言った一言が転機になった。「私、朝弱いから夜のうちに全部準備しちゃうんだよね。そうすると朝が本当に楽で」。その先輩は私よりも早い時間に出勤しているのに、いつも余裕のある顔をしている。朝からしっかりメイクをして、髪型もきちんとセットされていて、なんならコンビニで買ったらしいサンドイッチを自席で食べる余裕すらある。

「夜のうちに準備って、具体的に何をするんですか」と聞くと、先輩は「着る服を決めて、バッグの中身を全部セットして、朝ごはんの準備もできる範囲でやっておくの。5分もあればできるよ」と教えてくれた。その時の私は正直、半信半疑だった。たった5分の準備で、あの地獄のような朝が変わるなんて信じられなかった。でも、このままじゃダメだという焦りもあった。先輩の言葉が妙に心に残って、その日の帰り道、ずっとそのことを考えていた。

家に帰って、いつものようにソファに倒れ込んでスマホをだらだら見ていた時、ふと先輩の言葉を思い出した。5分だけなら、今からでもできるかもしれない。そう思って、重い腰を上げてみることにした。これが、私の生活を変える小さな一歩になるとは、その時はまだ思ってもいなかった。

最初に戸惑った体験

その日の夜、私は初めて「前夜の準備」というものに挑戦してみた。まず何から始めればいいのかわからなくて、とりあえずクローゼットの前に立った。明日着る服を決める。それだけのことなのに、意外と難しい。いつもは朝、時間がない中で適当に引っ張り出して着ているから、夜の段階で「明日の自分」を想像して服を選ぶという行為に慣れていなかった。

天気予報を確認して、明日は晴れるらしい。気温は今日と同じくらい。オフィスでの予定は特にないから、いつも通りのカジュアルなオフィスカジュアルでいいだろう。そう考えて、白いブラウスとグレーのパンツを選んだ。でも、これを椅子の背もたれにかけておくだけでいいのだろうか。なんとなく見栄えが悪い気がして、ハンガーに一緒にかけてクローゼットの前にぶら下げることにした。

次にバッグの準備。普段使っているトートバッグの中身を確認すると、レシートやら使い終わった化粧品のサンプルやら、よくわからないゴミがたくさん入っていた。これを全部出して整理するところから始めなければいけない。財布、定期入れ、スマホの充電器、ハンカチ、ティッシュ、リップクリーム。必要なものを一つずつ確認しながらバッグに入れていく。社員証も入れておかないと。ペンケースも。手帳も。

ここまでやって、時計を見たら既に15分以上経っていた。5分で終わるって先輩は言ってたのに、全然終わらない。私のやり方が間違っているのだろうか。それとも、慣れてないから時間がかかっているだけなのか。少し焦りを感じながらも、続けることにした。

朝ごはんの準備。冷蔵庫を開けると、納豆とヨーグルトと賞味期限ギリギリの食パンしかない。そもそも私は普段、朝ごはんをまともに食べていない。コーヒーだけとか、コンビニでおにぎりを買うとか、そんな生活だった。前夜に準備するといっても、準備するものが何もない。とりあえず食パンを冷凍庫から出して、トースターの横に置いておくことにした。コーヒーカップもセットしておく。これくらいしかできることがなかった。

全部終えて、時計を見たら25分も経っていた。5分どころじゃない。なんだか疲れてしまって、ベッドに倒れ込んだ。本当にこれで朝が楽になるんだろうか。逆に夜の時間が削られて、もっと疲れるんじゃないか。そんな疑念が湧いてきた。でも、ここまでやったんだから、明日の朝を迎えてみないとわからない。そう思い直して、いつもより少し早めに布団に入った。

翌朝。目覚ましが鳴って、いつもと同じように「あと5分」と思いながらスヌーズボタンを押した。でも、なぜか心に余裕があった。服は決まっている。バッグの準備もできている。その事実が、半分寝ぼけた頭の中でぼんやりと安心感を与えてくれた。結局二度寝してしまったけれど、起きてからの動きが明らかに違った。

クローゼットの前で悩む時間がない。昨日用意しておいた服をそのまま着ればいい。バッグの中身を確認する必要もない。化粧をして、トーストを焼いて、コーヒーを淹れる。その一連の動作が、いつもよりスムーズに進んだ。時計を見ると、まだ5分も余裕がある。この5分が、私にとっては革命的だった。慌てて家を出ることもなく、駅までゆっくり歩くことができた。

でも、この日だけで完璧にできたわけじゃなかった。続けてみると、いろんな問題が見えてきた。

試行錯誤しながら気づいたこと

前夜の準備を続けてみて、最初の一週間は本当に大変だった。毎晩25分くらいかかってしまって、先輩が言っていた「5分」という数字には全然届かない。しかも、準備したものが翌朝になって「やっぱり違う服がいい」と思うこともあった。せっかく前の晩に白いブラウスを用意したのに、朝起きたら気分が変わって黒いニットが着たくなる。そうなると、前夜の準備の意味がなくなってしまう。

三日目の夜、私は自分のやり方を見直してみることにした。なぜこんなに時間がかかるのか。何が無駄なのか。冷静に考えてみると、毎晩バッグの中身を全部出して入れ直す必要はないと気づいた。財布や定期入れやハンカチは毎日使うものだから、バッグに入れっぱなしでいい。前夜に確認すべきは、「明日必要な追加のもの」だけだ。資料が必要な会議があるとか、返却しなきゃいけない本があるとか、そういう特別なものだけをチェックすればいい。

これに気づいてから、バッグの準備時間が大幅に短縮された。毎晩全部出して入れ直すのをやめて、スマホで翌日の予定を確認して、必要なものがあればバッグに追加する。それだけ。これなら1分もかからない。

服選びについても、考え方を変えた。最初の頃は「明日の気分」を予測しようとして失敗していた。でも、よく考えたら、朝の気分なんて予測できるわけがない。だから、アプローチを変えることにした。夜の段階で服を選ぶんじゃなくて、「明日着られる服の選択肢」を2〜3パターン用意しておくのだ。

例えば、ブラウス系、ニット系、カジュアル系の3つのハンガーを用意する。それぞれに、その日の気温や天気に合わせた服をセットしておく。朝起きたら、その3つの中から気分で選べばいい。全部をゼロから考えるのと、3つの選択肢から選ぶのでは、かかる時間が全然違う。これなら朝の「やっぱり違う服がいい」問題も解決できた。

朝ごはんの準備も、最初はうまくいかなかった。食パンを出しておくだけじゃ、あまり意味がない。どうせトーストするなら、ジャムとバターも一緒に出しておかないと、結局冷蔵庫を開けることになる。コーヒーも、豆から挽いているから、前夜にフィルターにセットしておけば、朝はスイッチを押すだけで済む。

でも、そもそも私は料理が得意じゃないし、朝からしっかり食べる習慣もなかった。だから、「朝ごはんの準備」に関しては、完璧を目指さないことにした。前の晩にヨーグルトを冷蔵庫の取り出しやすい場所に移動させておく。バナナを一本、カウンターに出しておく。それだけでも、朝の動きが変わった。冷蔵庫の中を探し回る時間がなくなるだけで、こんなに楽になるなんて思わなかった。

一番大きな気づきは、「完璧を目指さない」ということだった。前夜に全部完璧に準備しようとすると、逆にストレスになる。そうじゃなくて、朝の「選択」と「探す」という行為を減らすだけで十分なのだ。服を選ぶ時間、バッグの中身を確認する時間、朝ごはんの材料を探す時間。この3つの「時間泥棒」を前夜に潰しておけば、朝の5分、10分が生まれる。

この気づきがあってから、前夜の準備時間は本当に5分くらいになった。慣れてくると、歯磨きをしながらでもできるようになった。特別なことをするんじゃない。ちょっとした先回りをするだけ。それだけで、朝がこんなに変わるなんて、やってみる前には想像もできなかった。

自分なりに工夫したポイント

前夜の準備を続けているうちに、自分なりのルールや工夫が自然と生まれてきた。最初は先輩の真似から始めたけれど、やっぱり人それぞれ生活スタイルが違うから、自分に合ったやり方を見つけることが大事だと実感した。

まず私が取り入れたのは、「前夜準備のチェックリスト」を作ることだった。スマホのメモアプリに、簡単なチェックリストを作成した。項目は4つだけ。「明日の予定確認」「服の準備(2〜3パターン)」「バッグの確認」「朝ごはんセット」。このチェックリストを、寝る前のルーティンに組み込んだ。歯を磨いて、スキンケアをして、チェックリストを確認する。この流れが習慣になると、考えなくても体が動くようになった。

服の準備については、さらに工夫を重ねた。クローゼットの一番手前に「明日候補ゾーン」を作って、そこに翌日着られる服だけをかけるようにした。週末に一週間分の服をある程度考えておいて、このゾーンに集約しておく。そうすると、平日の夜はこのゾーンから選ぶだけで済む。クローゼット全体から毎日選ぶのは大変だけど、5〜6着の中から選ぶのは楽だった。

天気予報アプリも活用した。夜寝る前に翌日の天気と気温を必ず確認する。雨が降りそうなら折り畳み傘をバッグに入れておく。気温が低そうなら上に羽織るカーディガンを用意しておく。当たり前のことだけど、これを前夜にやっておくだけで、朝の「傘どこだっけ」「寒いかも、何か羽織るもの探さなきゃ」という慌てがなくなった。

バッグの準備では、「明日バッグ」という概念を取り入れた。普段使いのトートバッグとは別に、小さめのトートバッグを用意して、翌日特別に必要なものはこの「明日バッグ」に入れておく。例えば、返却する図書館の本とか、クリーニングに出す服とか、友達に渡すものとか。玄関にこのバッグを置いておけば、朝「あ、あれ持っていかなきゃ」と思い出して部屋中を探し回ることがなくなった。

朝ごはんの準備は、自分のレベルに合わせて無理のない範囲で工夫した。料理が得意な人なら前夜におかずを作り置きできるんだろうけど、私にはそれは無理。だから、「開けるだけ」「出すだけ」で食べられるものを意識的に買うようにした。ヨーグルト、バナナ、グラノーラ、チーズ、ゆで卵(コンビニで買ったもの)。これらを前夜に一か所にまとめて置いておく。朝はそこから好きなものを選んで食べる。それだけでも、コーヒーだけの朝よりずっと良かった。

コーヒーについては、タイマー機能付きのコーヒーメーカーを買った。前夜にセットしておけば、朝起きた時にはもうコーヒーが淹れたてで待っている。この香りで目が覚めるのも気持ちよかったし、何より朝の「コーヒー淹れなきゃ」というタスクが一つ消えたのが大きかった。

もう一つ、意外と効果的だったのが「朝の動線」を意識することだった。前夜に準備するだけじゃなくて、それをどこに置いておくかも重要だ。例えば、服はベッドの近くに置いておく方が、クローゼットに入れておくより楽。バッグは玄関に置いておけば、出かける直前に「バッグどこだっけ」と探さなくて済む。朝ごはんセットはキッチンカウンターの一番目立つ場所。

こうした小さな工夫の積み重ねが、朝の動きをスムーズにしてくれた。大げさな準備じゃない。ちょっとした配置の工夫とか、ちょっとした先回りとか。それだけで、朝の自分が楽になる。前夜の5分が、翌朝の20分、30分を生み出してくれる。このコスパの良さに気づいてからは、前夜の準備が面倒だと感じることはなくなった。

日常や生活でどう変わったか

前夜5分の準備を始めてから、朝の時間に余裕が生まれたことで、私の生活は想像以上に変わった。一番大きな変化は、朝の気分が全く違うということだった。以前は朝起きた瞬間から「やばい、時間がない」という焦りでスタートしていた。でも今は、目覚ましが鳴っても「大丈夫、準備はできてる」という安心感がある。この心の余裕が、一日のスタートを穏やかなものにしてくれた。

朝ごはんをゆっくり食べられるようになったのも大きな変化だった。以前はコーヒーを立ったまま流し込むか、駅のコンビニでおにぎりを買って電車の中で食べるかという生活だった。でも今は、テーブルに座って、トーストとヨーグルトとコーヒーを味わいながら食べる時間がある。たった10分、15分の違いなんだけど、この時間があるだけで一日の始まりが全然違う。

会社に到着する時の状態も変わった。以前は走って駅に向かって、階段を駆け上がって、ギリギリで電車に飛び乗っていたから、会社に着く頃には汗だくで息も上がっていた。化粧も崩れている。髪も乱れている。デスクに着いてから、トイレで化粧直しをするのが日課だった。でも今は、余裕を持って家を出られるから、歩いて駅に向かえる。電車の中でも座れることが増えて、スマホで今日の予定を確認したり、ニュースを読んだりする余裕ができた。

同僚からの反応も変わった。「最近、余裕あるね」「なんか落ち着いてる」と言われるようになった。以前は「いつもギリギリの人」というキャラが定着していたから、朝から余裕のある顔をしている私を見て、みんな少し驚いていた。上司からも「最近いい感じだね」と声をかけられた時は、素直に嬉しかった。

遅刻の心配がなくなったことで、睡眠の質も変わった。以前は寝る前に「明日絶対起きなきゃ」というプレッシャーがあって、それが逆に眠りを浅くしていた。目覚ましを5個も6個もセットして、それでも不安で何度も夜中に目が覚めていた。でも、前夜の準備ができていると「最悪、ちょっと遅く起きても大丈夫」という心の余裕が生まれて、ぐっすり眠れるようになった。

朝の余裕が、仕事のパフォーマンスにも影響した。以前は朝からバタバタしていたから、午前中はずっと頭がぼんやりしていた。メールの返信も遅いし、ミスも多かった。でも今は、朝から頭がすっきりしている。朝ごはんをちゃんと食べているから、午前中もエネルギーが続く。仕事の効率が上がって、残業も減った。

意外だったのは、夜の時間の使い方も変わったことだった。以前は夜、だらだらとスマホを見て過ごして、気づいたら深夜という日々だった。でも、前夜の準備を習慣にしてから、夜の時間に少し意識が向くようになった。寝る前の5分を使うということは、逆算して考えると、ある程度の時間に寝る準備を始めないといけない。そうすると、自然と夜のダラダラ時間が減って、早く寝るようになった。結果的に睡眠時間も増えて、朝も起きやすくなるという好循環が生まれた。

週末の過ごし方も変わった。以前は平日の疲れを引きずって、土日はほとんど寝て過ごしていた。でも、朝のストレスが減って日々の疲れが軽減されたことで、週末も早起きして活動的に過ごせるようになった。朝から散歩に出かけたり、カフェでゆっくり朝ごはんを食べたり。そういう時間が、人生を豊かにしてくれている気がした。

友人との約束も守れるようになった。以前は朝が弱くて、休日の朝の約束はほとんど遅刻していた。友達からは「また遅刻するんでしょ」と冗談半分に言われることもあって、それが地味にストレスだった。でも今は、前夜に準備をする習慣が休日も続いているから、約束の時間に余裕を持って到着できる。友達からも「時間守るようになったね」と驚かれて、それがまた嬉しかった。

続けてみて見えてきたこと

前夜5分の準備を始めてから、気づいたら半年が経っていた。最初は意識的に頑張らないとできなかったことが、今では完全に習慣になっている。歯を磨くのと同じレベルで、考えなくても体が動く。寝る前に翌日の服を見て、バッグを確認して、朝ごはんをセットする。それが当たり前になった。

続けているうちに見えてきたのは、この習慣がただ「朝が楽になる」だけじゃないということだった。もっと深いところで、自分の生活全体が変わっていく感覚があった。

一番大きな気づきは、「先回りの思考」が身についたということだった。前夜に翌朝のことを考える習慣がつくと、もっと広い範囲で「未来の自分」のために今できることを考えるようになった。例えば、週末に来週の予定を確認して、必要な準備を少しずつ進めるようになった。会議の資料を前日に確認しておくとか、提出書類の期限を余裕を持ってチェックするとか。小さなことだけど、こうした先回りが、仕事でも私生活でも余裕を生み出してくれた。

「選択疲れ」という言葉があることを知ったのも、この習慣を続けていた時期だった。人間は一日に何万回も選択をしていて、それが疲れの原因になるらしい。朝の「何を着るか」「何を食べるか」「何を持っていくか」という小さな選択の積み重ねが、実は脳を疲れさせている。前夜に準備をすることで、朝の選択を減らせる。その分、脳のエネルギーを仕事や大事なことに使える。理屈で理解するというより、体感として「確かにそうだな」と実感した。

この習慣を通して、自分の「弱点」とうまく付き合う方法も学んだ。私は朝が弱い。これは変えられない性質だと思っていた。でも、朝が弱いなら、弱い朝の自分を助ける仕組みを作ればいい。夜の元気な自分が、朝の弱い自分を助ける。そういう発想の転換ができたことが、すごく大きかった。自分の弱さを責めるんじゃなくて、弱さを前提に工夫する。これは人生の色々な場面で使える考え方だと思った。

家族や友人にもこの習慣を勧めてみたけれど、反応は様々だった。すぐに取り入れて「本当に朝が楽になった」と喜んでくれる人もいれば、「面倒くさい」と続かない人もいた。これも学びだった。どんなに良い習慣でも、万人に合うわけじゃない。その人の生活スタイルや価値観に合っているかどうかが大事。私にとってはこの「前夜5分の準備」が完璧にハマったけれど、他の人には別の方法が合うのかもしれない。

続けていく中で、完璧主義の罠にも気づいた。最初の頃は、毎日完璧に準備しないといけないと思っていた。でも、たまには疲れていて準備できない日もある。飲み会で遅く帰った日とか、体調が悪い日とか。そういう時は無理に準備しなくてもいい。次の日の朝はちょっとバタバタするかもしれないけど、それはそれでいい。完璧を求めすぎると続かない。70点、80点を続けることの方が、100点を目指して挫折するよりずっといい。

この習慣を通して、「小さな変化の積み重ね」の力も実感した。最初の一日、二日では大した変化は感じなかった。でも、一週間、一ヶ月、三ヶ月と続けていくうちに、気づいたら生活全体が変わっていた。朝のストレスが減り、睡眠の質が上がり、仕事のパフォーマンスが向上し、人間関係も良くなった。たった5分の習慣が、こんなにも人生を変えるなんて、始める前には想像もできなかった。

まとめ

「前夜5分の準備」を始める前の私は、毎朝を戦場のように過ごしていた。目覚ましに怒られるように起きて、時間に追われながら支度をして、走って駅に向かう。そんな朝が当たり前だと思っていた。朝が弱い自分はダメな人間だと、どこかで責めていた。

でも、先輩の何気ない一言がきっかけで始めた小さな習慣が、私の朝を、そして人生を変えてくれた。最初はうまくいかなかった。時間もかかったし、続けられるか不安だった。でも、試行錯誤しながら自分に合ったやり方を見つけて、少しずつ形にしていった。

今では、夜寝る前に翌日の準備をすることが、歯を磨くのと同じくらい自然な習慣になっている。服を選んで、バッグを確認して、朝ごはんをセットする。それだけのことなのに、翌朝の自分が本当に楽になる。朝起きた時の安心感、ゆっくり朝ごはんを食べられる幸せ、余裕を持って家を出られる気持ち良さ。これらは、半年前の私には想像もできなかった日常だった。

この習慣から学んだことは、朝の準備の仕方だけじゃない。自分の弱さとうまく付き合う方法、先回りして考える思考、小さな変化を積み重ねる大切さ。そういう、人生全体に通じる気づきがたくさんあった。

もし、昔の私と同じように朝のバタバタに悩んでいる人がいたら、一度試してみてほしい。最初から完璧を目指さなくていい。まずは服を前日に決めてみるだけでもいい。バッグの中身を確認するだけでもいい。小さな一歩が、きっと何かを変えてくれる。

私にとって、この「前夜5分の準備」は単なる時短テクニックじゃなくて、自分を大切にする方法の一つになった。夜の元気な自分が、朝の弱い自分を助けてあげる。未来の自分のために、今できることをしてあげる。それは、自分への優しさなんだと思う。

朝のストレスが減っただけで、こんなにも毎日が軽やかになるなんて。始めてよかったと心から思っている。これからもこの習慣を続けながら、もっと自分らしい朝を、もっと心地よい毎日を作っていきたい。

Googleマップのお気に入り機能を使い始めて、外出がスムーズになった体験

Googleマップのお気に入り機能を使い始めて、外出がスムーズになった体験

使いはじめたきっかけ

転職して新しい職場に勤め始めた頃、取引先への訪問が月に5〜6回発生するようになった。それまでは決まった場所にしか行かない生活だったので、外出のたびにGoogleマップで検索して場所を確認していた。

ある日、同じカフェに3回目の訪問をするとき、また一から店名を入力して検索している自分に気づいた。前回も前々回も同じ操作をしていた。検索履歴から探せば早いが、他の検索も多いため埋もれてしまう。このやり方は明らかに無駄だと感じた。

そのとき同僚が「Googleマップに保存しておけば一発で出るよ」と教えてくれた。お気に入り機能の存在は知っていたが、どう使えばいいのか具体的なイメージがなかった。ただ、毎回同じ検索をする手間を省けるなら試してみる価値はあると思い、その日のうちに設定を始めた。

当時の私の外出パターンは、取引先3社、よく行くカフェ2軒、ジムが1軒、たまに行く書店が2軒という状況だった。これらを毎回検索するのは確かに面倒で、特に急いでいるときは店名のスペルを間違えて再検索することもあった。

実際にやってみた流れ

まずスマートフォンでGoogleマップのアプリを開いた。最初に保存しようと思ったのは、週に1回通っているジムだった。検索バーに店名を入力して場所を表示させた。

画面下部に店名と住所が表示され、その横に「保存」というボタンがあった。このボタンをタップすると、いくつかの選択肢が出てきた。「お気に入り」「行きたい場所」「スター付きの場所」という3つの既定リストと、「新しいリスト」という項目があった。

最初はどれを選べばいいのか迷った。それぞれの違いがよく分からなかったため、とりあえず「お気に入り」を選んでタップした。すると画面に「お気に入りに保存しました」という通知が短く表示され、保存ボタンのアイコンが塗りつぶされた状態に変わった。

次に、保存した場所がどこから見られるのか確認した。画面下部の「保存済み」タブをタップすると、先ほど保存したジムが「お気に入り」のセクションに表示されていた。タップすればすぐに地図上で場所が表示され、ルート検索もできる。これは確かに便利だと感じた。

続けて、よく行くカフェも同じ手順で保存した。店名を検索し、保存ボタンから「お気に入り」を選択する。この時点で2件が保存済みになった。

取引先についても同様に保存しようとしたが、ここで少し考えた。取引先は3社あり、今後増える可能性もある。すべてを「お気に入り」に入れると、プライベートで行く場所と混ざって分かりにくくなるのではないかと思った。

そこで「新しいリスト」という項目を試してみた。タップすると、リスト名を入力する画面が表示された。「仕事関係」と入力して作成ボタンを押した。すると、先ほど検索していた取引先がそのリストに保存された。

残りの取引先2社も、同じ手順で検索してから保存ボタンをタップし、今度は「仕事関係」のリストを選んで保存した。これで3社すべてが同じリストにまとまった。

書店についても新しいリストを作るか迷ったが、頻度が低いため「行きたい場所」に保存することにした。この段階で、お気に入りにカフェとジム、仕事関係に取引先3社、行きたい場所に書店2軒という振り分けができた。

保存済みタブを開くと、それぞれのリストが縦に並んで表示され、タップすればリスト内の場所一覧が見られた。地図上で一括表示する機能もあり、リスト名の横にある地図アイコンをタップすると、そのリストに含まれる場所すべてにピンが立った。

ここまでの設定に要した時間は15分ほどだった。操作自体は単純で、一度流れを理解すれば迷うことはなかった。

途中でつまずいた点

使い始めて数日後、最初の問題に気づいた。取引先の1社が別のビルに移転することになり、新しい住所を保存し直す必要が出た。古い場所を削除して新しい場所を保存すればいいと思ったが、削除の方法がすぐに分からなかった。

保存済みタブからその場所を開き、画面をあちこち見たが削除ボタンが見当たらない。保存ボタンをもう一度タップすると、チェックマークが外れて保存が解除された。これで削除できたと思い、新しい住所を検索して保存し直した。

しかし後日、リストを確認すると古い住所がまだ残っていた。どうやら複数のリストに保存していた場合、片方を解除してももう片方には残る仕組みらしい。私はその取引先を「お気に入り」と「仕事関係」の両方に保存していたため、片方しか解除できていなかった。

結局、保存済みタブからリストを開き、場所の名前を長押しすると削除オプションが表示されることを発見した。この方法で古い住所を完全に削除できた。ただ、この操作に気づくまでに何度か試行錯誤が必要だった。

別の問題も発生した。カフェを5軒ほど保存した頃、お気に入りリストが雑多になってきた。仕事帰りに寄るカフェと、休日に行くカフェが混在していて、外出先で開いたときにどれを選べばいいか一瞬迷うようになった。

さらに、スター付きの場所というリストの使い道がよく分からなかった。最初に保存するとき、お気に入りとスター付きの違いが判断できず、なんとなくお気に入りばかり使っていた。後から調べると、スター付きは以前からある機能で、お気に入りはその後に追加された分類らしい。機能的な違いはほとんどないが、2つあることで逆に混乱した。

もう一つ困ったのは、保存した場所の順番だった。リスト内で場所が保存した順に並ぶため、よく使う場所が下の方に埋もれてしまうことがあった。並び替えの機能を探したが、スマートフォンアプリからは見つけられなかった。

自分なりに工夫した部分

まず、リストの整理方法を見直した。お気に入りには本当によく行く場所だけを残し、頻度の低い場所は別のリストに移した。具体的には、週1回以上行く場所だけをお気に入りに入れ、それ以外は用途別のリストに分けた。

新しく作ったリストは「カフェ作業用」「休日の外食」「買い物」の3つだった。カフェ作業用には仕事や勉強ができる静かなカフェを入れ、休日の外食には友人と行くような飲食店を保存した。買い物には、たまにしか行かないが場所を覚えにくい専門店をまとめた。

こうすることで、お気に入りには本当に頻繁に行く3〜4箇所だけが残り、目的に応じてリストを切り替えて探せるようになった。外出先で「今日は作業できる場所を探したい」と思ったら、カフェ作業用のリストを開けばいい。

次に、リスト名を工夫した。最初は「仕事関係」という名前にしていたが、これだと取引先なのか仕事で使うカフェなのか曖昧だった。「取引先」と明確な名前に変更した。変更はリストを開いて編集ボタンから行えた。

スター付きの場所は、一時的に保存する場所として使うことにした。たとえば旅行先で気になった店や、誰かに勧められてとりあえず記録しておきたい場所など、後で分類を考える場所の一時置き場にした。月に一度、スター付きの場所を見直して適切なリストに振り分けるか削除するかを決めた。

並び替えができない問題については、パソコンのブラウザからGoogleマップを開くと解決できることが分かった。ブラウザ版では、リスト内の場所をドラッグして順番を変えられた。よく行く順に並べ替えてから保存すれば、スマートフォンでもその順番が反映された。

ただ、毎回パソコンで操作するのは面倒なので、保存するときに場所の名前を工夫することにした。たとえば「A取引先」「B取引先」のように、頭に記号や番号を付けると自動的にある程度の順番で並んだ。重要度の高い場所には「1_」「2_」と番号を振った。

保存する際のもう一つの工夫は、メモ機能の活用だった。場所を保存するとき、メモを追加できることに気づいた。取引先には担当者名や最寄り駅からの所要時間を書き込んだ。カフェには電源の有無やWi-Fi状況、混雑する時間帯などを記録した。

このメモは、後から見返したときに非常に役立った。「ここは14時以降が空いている」とメモしておけば、訪問時間を決めるときの判断材料になった。メモの追加は、保存済みの場所を開いて鉛筆アイコンをタップすれば編集画面が出た。

実感した変化

最も大きな変化は、外出前の準備時間が短くなったことだった。以前は出かける直前にスマートフォンで場所を検索し、ルートを確認してから出発していた。急いでいるときは店名を正確に思い出せず、何度か検索し直すこともあった。

お気に入り機能を使い始めてからは、保存済みタブを開いて場所を選ぶだけで済む。検索の手間が省け、出発までの時間が平均で2〜3分は短縮された。朝の忙しい時間帯では、この数分の違いが大きかった。

移動中の確認もスムーズになった。電車の中で次の目的地を確認するとき、以前は検索履歴を遡るか、もう一度検索していた。今は保存済みから開くだけなので、確認が一瞬で終わる。複数の用事を連続してこなす日は、この効率化が特に実感できた。

取引先への訪問が重なる日の動きも変わった。午前中に1社、午後に別の1社を訪問する予定があるとき、以前は紙のメモに住所を書いて持ち歩いていた。今は仕事関係リストを開けば全ての取引先が一覧で見られ、地図上でまとめて表示もできる。どの順番で回るのが効率的か、地図を見ながら判断できるようになった。

予定外の行動にも対応しやすくなった。仕事が早く終わって時間ができたとき、カフェ作業用リストを開いて今いる場所から近い店を探せる。リスト内の場所は地図上に一度に表示されるため、現在地から最も近い選択肢がすぐに分かった。

週末の外出でも変化があった。友人と会う約束をしたとき、「この辺でいい店ない?」と聞かれることがある。以前は記憶を頼りに店名を挙げていたが、今は休日の外食リストを見せながら提案できる。保存してある場所なら自分も行ったことがあるか、少なくとも情報を確認済みなので安心して勧められる。

意外だったのは、新しい場所を開拓する頻度が上がったことだった。気になる店を見つけたらすぐにスター付きで保存しておけるため、「後で調べよう」と思って忘れることが減った。月末にスター付きリストを見直す習慣をつけたことで、定期的に新しい場所を訪れるきっかけができた。

時間の使い方にも影響があった。以前は外出先で次の予定までの空き時間ができたとき、どこで時間を潰すか考えるのに時間がかかっていた。今は保存済みの場所から選べるので、迷う時間が減り、実際に過ごせる時間が増えた。

メモ機能を活用し始めてからは、訪問の質も上がった。カフェに「電源が窓側のみ」とメモしてあれば、最初から窓側の席を狙える。取引先に「入口が裏通り側」と書いておけば、迷わず到着できる。小さな情報だが、現地で困る時間が確実に減った。

リストを人に共有する機能も使ってみた。同僚に取引先リストを共有したところ、新人の営業担当が訪問先を覚えるのに役立ったと言われた。友人との旅行前には、候補地をリストにまとめて共有し、意見を集めてから行き先を決めた。この使い方は当初想定していなかったが、意外と便利だった。

まとめ

Googleマップのお気に入り機能を使い始めたのは、単純に検索の手間を省きたかったからだった。実際に使ってみると、操作は思っていたより簡単で、場所を検索して保存ボタンを押すだけで登録できた。

最初はリストの使い分けや削除方法で戸惑ったが、自分なりにルールを決めて整理することで使いやすくなった。頻度の高い場所はお気に入り、用途別に分けたい場所は専用リストを作り、一時保存にはスター付きを使うという方法に落ち着いた。

メモ機能や並び替えなど、細かい工夫を重ねることで、単なる場所の記録以上の価値が生まれた。外出前の準備時間が短くなり、移動中の確認がスムーズになり、予定外の時間も有効に使えるようになった。

特に複数の場所を訪れる日や、初めての場所に行くときの安心感が大きく変わった。必要な情報がすぐに取り出せる状態を作っておくことで、外出そのものが以前より気楽になった。小さな変化の積み重ねだが、日常生活への影響は確かにあった。

Vrewで“話すのが苦手な私”がナレーション動画を作れた日|声に自信がなかったのに続けられた理由

Vrewで"話すのが苦手な私"がナレーション動画を作れた日|声に自信がなかったのに続けられた理由

触れたきっかけと思ったこと

「動画投稿してみたいな」って思ったのは、去年の秋のことだった。仕事でプレゼンをする機会が増えて、資料作りにはそれなりに自信がついてきたんだけど、いざ人前で話すとなると、もう本当に声が震えてダメだった。会議のたびに「もっと上手に伝えられたら」って悔しくて、何か練習方法はないかなって探していたんだ。

そんなとき、YouTubeで見つけた解説動画がすごく分かりやすくて。画面に図が映っていて、落ち着いたナレーションが流れていて、顔出しもしていない。「これなら私にもできるかも」って思った。人前で話すのは苦手だけど、文章なら伝えたいことをちゃんと整理できる。動画編集の練習にもなるし、自分のペースでナレーション練習もできるんじゃないかって。

でも問題があった。私の声、本当に自信がないんだ。録音した自分の声を聞くと、なんだか頼りなくて、抑揚もなくて、「こんな声で説明されても説得力ないよな」って落ち込んでしまう。学生時代、音読で当てられるのが一番嫌いだった。声が小さいってよく言われたし、録音した声を聞き返すたびに「変な声」って思ってしまう癖がついていた。

それでも何か始めたくて、動画編集ソフトを調べ始めた。最初は有名なソフトを試したんだけど、機能が多すぎて何から手をつけていいか分からない。字幕を入れるのも一苦労で、タイミングを合わせるのに何時間もかかってしまった。「これ、私には無理かも」って諦めかけていたとき、たまたまSNSで「Vrew」っていうアプリの投稿を見つけたんだ。

AIが自動で字幕をつけてくれるとか、音声合成でナレーションも作れるとか書いてあった。正直、最初は「そんな都合のいい話あるの?」って半信半疑だった。でも無料で使えるって書いてあったから、「ダメ元で試してみるか」って軽い気持ちでダウンロードしてみた。起動してみると、思っていたよりシンプルな画面で、なんとなく使えそうな予感がした。これが私とVrewの出会いだった。

最初に戸惑った体験

実際に使い始めてみると、最初から戸惑いの連続だった。まず何を作ればいいのか分からない。「動画を作る」って漠然と思っていたけど、具体的なテーマも決めていなかったし、どういう流れで作業すればいいのかも全然イメージできていなかった。

とりあえず、自分が詳しい分野で簡単な解説動画を作ってみようと思った。私は趣味で観葉植物を育てているから、「初心者向けのモンステラの育て方」みたいなテーマならなんとかなるかなって。スマホで撮った植物の写真をいくつか用意して、説明文も書いてみた。文章にするのは得意だから、ここまではスムーズだった。

問題はここからだった。Vrewを開いて、まず「新しいビデオで始める」を選んだんだけど、そこから先の選択肢が多すぎて混乱した。「音声ファイルから作る」「動画ファイルから作る」「テキストから作る」って、どれを選べばいいの? 私は写真と文章があるだけで、音声も動画もないんだけど...って途方に暮れた。

結局、いろいろクリックしてみて「テキストから作る」を選んだ。そうすると空白の画面が出てきて、そこに文章を入力できるらしい。さっき書いた説明文をコピペして、「これで進められるのかな」って不安ながら次へ進んだ。すると、音声合成の選択画面が出てきた。ここで初めて「あ、自分で声を録音しなくても、AIの音声で読み上げてくれるんだ」って理解した。

音声の種類がたくさんあって驚いた。男性の声、女性の声、トーンも速度も選べる。試しに一つ選んで再生してみたら、確かに人工的な感じはあるんだけど、思っていたよりずっと自然だった。「ロボットっぽい声だったらどうしよう」って心配していたけど、普通に聞ける品質で安心した。

でも、ここで新たな問題が発生した。写真を入れる方法が分からない。テキストが音声になって、字幕も自動で表示されているのは嬉しいんだけど、画面が真っ黒のまま。これじゃ解説動画にならない。マニュアルを読んでも、専門用語が多くて頭に入ってこない。「タイムライン」「クリップ」「レイヤー」って言われても、動画編集初心者の私にはピンとこなかった。

結局、YouTubeでVrewの使い方を解説している動画を探して見た。そうしたら、画面右側に画像を追加するボタンがあって、そこから写真を挿入できるって分かった。「なんだ、ここか」って拍子抜けしたけど、初心者にはそういう基本的なことすら分からないんだよね。

なんとか写真を配置して、テキストと音声と画像が揃った。再生してみると、一応動画っぽくなっている。でも、なんか物足りない。切り替わりが急すぎるし、音声のスピードも微妙にずれている気がする。BGMも入れたいけど、どこから入れるの? フォントも変えたいけど、設定はどこ? やりたいことは山ほどあるのに、一つ一つ調べながら進めるから、最初の5分の動画を作るのに丸一日かかってしまった。

完成した動画を見て、正直「う〜ん...」って感じだった。内容は悪くないと思うんだけど、なんだか素人っぽさが拭えない。友達に見せる勇気もなくて、結局パソコンの中に保存したまま誰にも公開しなかった。それでも「一応形にはなったんだから、悪くないか」って自分を慰めていた。

試行錯誤しながら気づいたこと

一本目の動画を作り終えて、しばらく放置していた。「やっぱり私には向いてないのかな」って諦めかけていたんだけど、数週間後、また挑戦してみたくなった。一度作ったことがあるから、二本目はもう少しスムーズにできるんじゃないかって期待もあった。

今度は料理のレシピ動画を作ってみることにした。得意な煮物の作り方を、写真と文章で説明する形式。前回の反省を活かして、今度はもう少し丁寧に作業を進めてみた。そして、ここでいくつか重要な気づきがあったんだ。

まず気づいたのは、文章の書き方で動画の印象がまったく変わるということ。最初は説明書みたいな硬い文章を書いていたんだけど、それをAI音声で読み上げると、すごく無機質に聞こえてしまう。「大根は2センチの厚さに切ります」じゃなくて、「大根は、だいたい2センチくらいの厚さに切ってください」って、語りかけるような文章にすると、同じAI音声でも温かみが出る気がした。

それから、文章を短く区切ることも大事だって分かった。一文が長いと、音声も途切れずに続いてしまって、聞いている方が疲れる。句読点を意識的に増やして、「ここで一息」っていうタイミングを作ると、ずっと聞きやすくなった。Vrewは句読点のところで自動的に間を作ってくれるから、文章の書き方次第で音声のリズムをコントロールできるんだって気づいた。

AI音声の選び方も工夫してみた。最初はなんとなく選んでいたんだけど、内容によって合う声が違うんだよね。料理のレシピみたいな親しみやすい内容なら、少し明るめのトーンの女性の声がいい。逆に、ビジネス系の説明なら、落ち着いた男性の声のほうが説得力がある気がする。声の速度も、標準より少しゆっくりめに設定すると、初心者向けの解説には向いている。

画像の配置にも気を配るようになった。ただ写真を並べるだけじゃなくて、説明している内容に合わせて、見せたい部分がしっかり映るようにトリミングする。「ここでこの角度の写真があれば分かりやすいのに」って気づくと、次からは撮影の段階で意識するようになった。動画を作ることで、逆に撮影スキルも上がっていくのが面白かった。

でも、一番大きな気づきは、「完璧を目指さなくていい」ってことだった。最初は「プロみたいな動画を作らなきゃ」ってプレッシャーを感じていたんだけど、そもそも私は趣味で始めたんだし、練習のために作っているんだから、少しくらい下手でもいいじゃんって思えるようになった。実際、YouTubeには素人が作った動画もたくさんあって、それでも役に立っていたり、温かいコメントがついていたりする。

三本目、四本目と作っていくうちに、だんだん作業のスピードも上がってきた。最初は丸一日かかっていたのが、数時間でできるようになった。Vrewの操作にも慣れてきて、「あ、この機能便利」って発見することも増えた。たとえば、字幕の位置を自由に変えられるとか、画像にズーム効果をつけられるとか、BGMの音量を細かく調整できるとか。使い込むほどに、自分なりの表現の幅が広がっていくのが楽しくなってきた。

自分なりに工夫したポイント

何本か動画を作るうちに、「もっとこうしたい」っていう欲が出てきた。ただ情報を伝えるだけじゃなくて、見ている人が飽きない工夫とか、分かりやすさを追求したくなったんだ。そこで、自分なりにいろいろ試してみることにした。

まず力を入れたのは、オープニングの作り込み。最初の5秒で「この動画、見る価値あるな」って思ってもらえないと、すぐに離脱されてしまう。だから、冒頭には必ず「今日は○○について説明します」っていう明確な宣言を入れるようにした。そして、そこに合わせてタイトル画像も作った。Vrewの中でテキストを大きく表示させて、色を変えたり、アニメーションをつけたりして、ちょっとした演出を加えた。

ナレーションの「間」も意識するようになった。AI音声は自動で読み上げてくれるけど、説明の区切りで少し長めの間を入れると、視聴者が理解する時間を作れる。Vrewでは、テキストの行間を空けることで、その部分の無音時間を調整できる。たとえば、重要なポイントを言った後に、一行空白を入れてから次の文章を続けると、自然な「ため」ができる。

BGMの使い方も工夫した。最初はずっと同じBGMを流していたんだけど、それだと単調になってしまう。だから、シーンによって音楽を変えてみた。導入部分は明るめの音楽、説明部分は落ち着いた音楽、まとめは少しテンポの速い音楽、みたいに。Vrewには音楽素材もいくつか入っているし、フリー素材サイトからダウンロードしたものも使えるから、選択肢はたくさんあった。

効果音も積極的に取り入れるようになった。画面が切り替わるときに「シュッ」っていう音を入れたり、重要なポイントで「ピコーン」って音を入れたり。ほんの小さな音なんだけど、これがあるだけで動画のテンポが良くなるし、見ている人の注意を引ける。Vrewの素材ライブラリにも効果音があるから、それを活用した。

字幕の見せ方にもこだわった。ただ画面下に文字を表示するだけじゃなくて、強調したい言葉だけ色を変えたり、サイズを大きくしたり。Vrewは字幕を一つ一つ編集できるから、キーワードだけ黄色にするとか、数字を赤くするとか、細かい調整ができる。これをやると、視覚的に情報が入りやすくなるんだよね。

画像の見せ方も進化させた。静止画をただ表示するだけじゃなくて、少しずつズームインさせたり、スライドで動かしたり。Vrewにはアニメーション機能があるから、写真に動きをつけることができる。これだけで、動画のクオリティがグッと上がった気がする。

あと、自分の声をどうするか悩んだ時期もあった。AI音声に慣れてきて、「やっぱり自分の声で録音したほうが、温かみが出るかな」って思ったこともある。試しに、一部だけ自分の声で録音してみたんだけど、やっぱり聞き返すと恥ずかしくて。声の抑揚も上手くつけられないし、噛んだりするし。「まだ私には早いな」って思って、引き続きAI音声を使うことにした。

でも、AI音声だからこそできる工夫もある。たとえば、同じ内容を違う声で録音してみて、どちらが合うか比較できる。自分の声だとそうはいかないけど、AIなら何度でも声を変えられる。男性の声と女性の声、明るいトーンと落ち着いたトーン、いろんなパターンを試して、一番しっくりくるものを選べるのは大きなメリットだった。

こうやって工夫を重ねていくうちに、自分の中で「これが私のスタイル」っていうのが見えてきた。派手な演出はしないけど、情報は整理されていて分かりやすい。親しみやすいトーンで、でも内容はしっかりしている。そういう動画を目指すようになった。

日常や生活でどう変わったか

動画作りを続けるうちに、思いがけない変化が日常生活にも現れ始めた。最初は単なる趣味のつもりだったのに、気づけば物事の見方や考え方まで変わっていたんだ。

まず、情報を整理する力がついた。動画を作るには、伝えたいことを明確にして、順序立てて説明する必要がある。「これを伝えるには、まず何を説明して、次にどう展開するか」って考える癖がついた。仕事でプレゼン資料を作るときも、以前よりずっとスムーズに構成が組めるようになった。上司からも「最近、資料が分かりやすくなったね」って褒められて、嬉しかった。

話し方も変わった。自分の声で録音はしていないけど、AI音声用の文章を書くときに、「どういう話し方が聞きやすいか」を常に意識するようになった。それが普段の会話にも影響して、以前より区切りを意識して話すようになった気がする。会議で説明するときも、一文を短くして、要点を明確にすることを心がけるようになった。相手の反応も前より良くなった気がする。

観察力も上がった。動画用の写真を撮るようになってから、「どの角度から撮ったら分かりやすいか」「どの瞬間を切り取るべきか」を考えるようになった。それが普段の生活でも活きていて、たとえば旅行先で写真を撮るときも、構図やタイミングを意識するようになった。友達からも「最近、写真上手くなったね」って言われた。

時間の使い方も変わった。以前は休日、なんとなくSNSを見て時間を潰すことが多かったんだけど、今は「次はどんな動画を作ろうかな」って考えたり、素材を撮りに出かけたりすることが増えた。趣味に時間を使っているという実感があって、充実感がある。

自信もついた。これが一番大きな変化かもしれない。「私、話すの苦手だし」って、ずっとコンプレックスだったんだけど、動画という形で自分の考えを表現できるようになって、「私にもできることがあるんだ」って思えるようになった。声は苦手だけど、文章と画像で伝える方法があるじゃんって。自分に合った表現方法を見つけられたことが、すごく嬉しかった。

周りの反応も変わった。最初は誰にも見せていなかった動画だけど、何本か作った後、勇気を出して親しい友達に共有してみたんだ。「すごいね、分かりやすい!」って言ってもらえて、めちゃくちゃ嬉しかった。「私も作ってみたい」って興味を持ってくれた友達もいて、Vrewを紹介したりもした。

仕事でも活用するようになった。社内で簡単なマニュアルを作る機会があって、「動画にしたら分かりやすいんじゃないか」って提案してみたら、採用された。業務の手順を画面キャプチャと説明文で動画にして、Vrewで字幕とナレーションをつけたら、すごく分かりやすいマニュアルができた。新人研修でも使ってもらえることになって、「これ作ったの私なんです」って誇らしい気持ちになった。

家族との関係も少し変わった。実家の母に、料理のレシピ動画を送ったら、すごく喜んでくれた。「お母さん、これ作ってみたよ」って写真を送ってくれたときは、本当に嬉しかった。離れて暮らしているから、なかなか直接教えることはできないけど、動画ならいつでも見返せるし、分かりやすいって。「今度は○○の作り方も教えて」ってリクエストももらった。

新しいコミュニティにも参加するようになった。動画編集や情報発信に興味がある人たちのオンラインコミュニティを見つけて、参加してみた。そこでは、みんな自分のペースで創作を楽しんでいて、互いの作品を見せ合ったり、アドバイスし合ったりしている。「顔出しなし、声出しなしでも、こうやって表現できるんですよ」って自分の経験をシェアしたら、同じように悩んでいる人から感謝のメッセージをもらえた。

続けてみて見えてきたこと

半年ほど続けてみて、いろんなことが見えてきた。最初は「動画を作る」こと自体が目的だったけど、今は「何を伝えるか」「誰のために作るか」を考えるようになった。

一番実感しているのは、「完璧じゃなくても価値がある」ということ。プロのクリエイターみたいな洗練された動画は作れないけど、それでも誰かの役に立てることがある。むしろ、素人っぽさが親しみやすさにつながることもある。「この人も初心者なんだな、私にもできそう」って思ってもらえたら、それはそれで意味があるんじゃないかって。

それから、「声に自信がない」っていうコンプレックスが、実はそんなに大きな問題じゃなかったんだって気づいた。確かに、自分の声で話せたらもっと表現の幅は広がるかもしれない。でも、AI音声を使っても、伝えたいことは伝えられる。むしろ、声のコンプレックスから解放されて、内容に集中できるようになった。「何を話すか」のほうが「どう話すか」より大事なんだって、今なら分かる。

継続することの大切さも実感した。最初の一本目は本当に下手だった。見返すと恥ずかしくなるくらい。でも、諦めずに二本目、三本目と作り続けたから、少しずつ上達できた。もし一本目で「やっぱり無理」って諦めていたら、今の自分はなかった。下手でもいいから続けること、それが成長につながるんだって実感した。

ツールの選択も大事だって分かった。もし最初に使った動画編集ソフトが複雑すぎるものだったら、きっと挫折していた。Vrewは初心者にも使いやすくて、字幕やナレーションの自動生成機能があるから、ハードルが低かった。「自分に合ったツールを見つけること」が、継続するための鍵だと思う。

表現方法は一つじゃないってことも学んだ。世の中には、顔出しして話すYouTuberもいれば、顔も声も出さずに文字だけで伝えるクリエイターもいる。どれが正解とか、どれが優れているとかじゃない。自分に合った方法で、伝えたいことを伝えられればいい。私は声が苦手だから、テキストと画像とAI音声で表現する。それが私のスタイル。

失敗も経験の一部だって思えるようになった。編集ミスで変な動画ができたこともあるし、説明が分かりにくくて友達に指摘されたこともある。でも、そういう失敗から学ぶことのほうが多かった。「次はこうしよう」って改善点が見えるから、失敗も成長のチャンスなんだって。

自分の可能性も広がった気がする。半年前の私は、「話すのが苦手だから、プレゼンも苦手、動画も無理」って決めつけていた。でも、実際にやってみたら、自分なりの方法で表現できた。「苦手」を理由に挑戦しないのは、もったいないことだったんだなって。他にも、「私には無理」って思い込んでいることがあるかもしれない。挑戦してみる価値はあるんじゃないかって思えるようになった。

今では、週末に一本は動画を作るのが習慣になっている。テーマを考えるのも楽しいし、構成を練るのも楽しい。編集作業は時間がかかるけど、没頭できる時間が心地いい。完成した動画を見返して、「今回はここが上手くいった」「次はここを改善しよう」って考えるのも楽しい。

最近は、もっと多くの人に見てもらいたいって思うようになった。YouTubeに投稿することも考えている。再生回数とか登録者数とか、そういう数字を追いかけるつもりはないけど、「この情報、誰かの役に立つかもしれない」って思えるものができたら、シェアしたい。自分と同じように、「声に自信がないけど、何か発信したい」って思っている人の背中を押せたら、嬉しい。

まとめ

「話すのが苦手な私でも、動画が作れた」。半年前の自分に言っても、きっと信じてもらえないと思う。でも、本当にできたんだ。Vrewというツールと出会って、試行錯誤しながら続けてきたことで、自分なりの表現方法を見つけられた。

声に自信がないことは、今でも変わらない。録音した自分の声を聞くと、やっぱり「うーん...」って思ってしまう。でも、それでいいんだって思えるようになった。AI音声を使えば、内容に集中できる。伝えたいことをしっかり伝えられれば、自分の声じゃなくてもいい。そう思えるようになったことが、私にとって大きな変化だった。

動画を作る過程で学んだことは、動画制作のスキルだけじゃない。情報を整理する力、計画を立てる力、最後までやり遂げる力。それに、「完璧じゃなくても始めていい」「自分に合った方法を見つければいい」っていう考え方。これは、動画作り以外のいろんなことにも応用できる。

今、私は週末に動画を作るのが楽しみになっている。新しいテーマを考えるとき、撮影するとき、編集するとき、それぞれの工程に楽しさがある。完成した動画を誰かに見てもらって、「分かりやすかった」「参考になった」って言ってもらえると、本当に嬉しい。

もし、この記事を読んでいるあなたが、「動画作りに興味はあるけど、声に自信がない」って悩んでいるなら、伝えたい。大丈夫、あなたにもできる。私にできたんだから。Vrewみたいな便利なツールもあるし、自分の声じゃなくても表現する方法はある。完璧を目指さなくていい。下手でもいいから、まず一本作ってみること。そこから見える景色が、きっとある。

私はこれからも、自分のペースで動画を作り続けると思う。いつかYouTubeにも投稿してみたいし、もっといろんなテーマに挑戦してみたい。声は相変わらず苦手だけど、それでもできることはたくさんある。そう信じて、これからも楽しみながら続けていきたい。

声に自信がなくたって、伝えたいことがあれば大丈夫。あなたにも、きっとあなたなりの表現方法が見つかるはず。私がそうだったように。