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触れたきっかけと思ったこと
「もう無理、絶対に遅刻する」。目覚まし時計を見て飛び起きる朝が、私にとっては日常だった。アラームをスヌーズして二度寝、三度寝。気づけば家を出る30分前。着替えて、メイクして、朝ごはんは食べる暇もなく、コーヒーだけをマグカップに注いで慌てて飲み干す。靴下が片方見つからなくて引き出しをひっくり返したり、会社に着ていく服が決まらなくてクローゼットの前で途方に暮れたり。そんな朝を何年も繰り返していた。
会社に着く頃には、すでにぐったりしている。走って駅まで行くから額には汗。化粧も崩れている。何より、朝からこんなにバタバタしていると、一日のスタートがもう最悪な気分なのだ。同僚からは「いつも朝ギリギリだよね」と苦笑いされ、上司からは「もう少し余裕を持って出勤できないか」と遠回しに注意されたこともある。
自分でも何とかしなきゃと思っていた。早起きすればいいんだとわかってはいる。でも、夜型人間の私にとって、朝早く起きることは本当に苦痛で。目覚ましを何個セットしても、結局起きられない。「明日こそは早く起きよう」と毎晩誓うのに、翌朝になると「あと5分だけ」が積み重なって結局いつもの時間。完全に悪循環だった。
そんなある日、同じ部署の先輩が何気なく言った一言が転機になった。「私、朝弱いから夜のうちに全部準備しちゃうんだよね。そうすると朝が本当に楽で」。その先輩は私よりも早い時間に出勤しているのに、いつも余裕のある顔をしている。朝からしっかりメイクをして、髪型もきちんとセットされていて、なんならコンビニで買ったらしいサンドイッチを自席で食べる余裕すらある。
「夜のうちに準備って、具体的に何をするんですか」と聞くと、先輩は「着る服を決めて、バッグの中身を全部セットして、朝ごはんの準備もできる範囲でやっておくの。5分もあればできるよ」と教えてくれた。その時の私は正直、半信半疑だった。たった5分の準備で、あの地獄のような朝が変わるなんて信じられなかった。でも、このままじゃダメだという焦りもあった。先輩の言葉が妙に心に残って、その日の帰り道、ずっとそのことを考えていた。
家に帰って、いつものようにソファに倒れ込んでスマホをだらだら見ていた時、ふと先輩の言葉を思い出した。5分だけなら、今からでもできるかもしれない。そう思って、重い腰を上げてみることにした。これが、私の生活を変える小さな一歩になるとは、その時はまだ思ってもいなかった。
最初に戸惑った体験
その日の夜、私は初めて「前夜の準備」というものに挑戦してみた。まず何から始めればいいのかわからなくて、とりあえずクローゼットの前に立った。明日着る服を決める。それだけのことなのに、意外と難しい。いつもは朝、時間がない中で適当に引っ張り出して着ているから、夜の段階で「明日の自分」を想像して服を選ぶという行為に慣れていなかった。
天気予報を確認して、明日は晴れるらしい。気温は今日と同じくらい。オフィスでの予定は特にないから、いつも通りのカジュアルなオフィスカジュアルでいいだろう。そう考えて、白いブラウスとグレーのパンツを選んだ。でも、これを椅子の背もたれにかけておくだけでいいのだろうか。なんとなく見栄えが悪い気がして、ハンガーに一緒にかけてクローゼットの前にぶら下げることにした。
次にバッグの準備。普段使っているトートバッグの中身を確認すると、レシートやら使い終わった化粧品のサンプルやら、よくわからないゴミがたくさん入っていた。これを全部出して整理するところから始めなければいけない。財布、定期入れ、スマホの充電器、ハンカチ、ティッシュ、リップクリーム。必要なものを一つずつ確認しながらバッグに入れていく。社員証も入れておかないと。ペンケースも。手帳も。
ここまでやって、時計を見たら既に15分以上経っていた。5分で終わるって先輩は言ってたのに、全然終わらない。私のやり方が間違っているのだろうか。それとも、慣れてないから時間がかかっているだけなのか。少し焦りを感じながらも、続けることにした。
朝ごはんの準備。冷蔵庫を開けると、納豆とヨーグルトと賞味期限ギリギリの食パンしかない。そもそも私は普段、朝ごはんをまともに食べていない。コーヒーだけとか、コンビニでおにぎりを買うとか、そんな生活だった。前夜に準備するといっても、準備するものが何もない。とりあえず食パンを冷凍庫から出して、トースターの横に置いておくことにした。コーヒーカップもセットしておく。これくらいしかできることがなかった。
全部終えて、時計を見たら25分も経っていた。5分どころじゃない。なんだか疲れてしまって、ベッドに倒れ込んだ。本当にこれで朝が楽になるんだろうか。逆に夜の時間が削られて、もっと疲れるんじゃないか。そんな疑念が湧いてきた。でも、ここまでやったんだから、明日の朝を迎えてみないとわからない。そう思い直して、いつもより少し早めに布団に入った。
翌朝。目覚ましが鳴って、いつもと同じように「あと5分」と思いながらスヌーズボタンを押した。でも、なぜか心に余裕があった。服は決まっている。バッグの準備もできている。その事実が、半分寝ぼけた頭の中でぼんやりと安心感を与えてくれた。結局二度寝してしまったけれど、起きてからの動きが明らかに違った。
クローゼットの前で悩む時間がない。昨日用意しておいた服をそのまま着ればいい。バッグの中身を確認する必要もない。化粧をして、トーストを焼いて、コーヒーを淹れる。その一連の動作が、いつもよりスムーズに進んだ。時計を見ると、まだ5分も余裕がある。この5分が、私にとっては革命的だった。慌てて家を出ることもなく、駅までゆっくり歩くことができた。
でも、この日だけで完璧にできたわけじゃなかった。続けてみると、いろんな問題が見えてきた。
試行錯誤しながら気づいたこと
前夜の準備を続けてみて、最初の一週間は本当に大変だった。毎晩25分くらいかかってしまって、先輩が言っていた「5分」という数字には全然届かない。しかも、準備したものが翌朝になって「やっぱり違う服がいい」と思うこともあった。せっかく前の晩に白いブラウスを用意したのに、朝起きたら気分が変わって黒いニットが着たくなる。そうなると、前夜の準備の意味がなくなってしまう。
三日目の夜、私は自分のやり方を見直してみることにした。なぜこんなに時間がかかるのか。何が無駄なのか。冷静に考えてみると、毎晩バッグの中身を全部出して入れ直す必要はないと気づいた。財布や定期入れやハンカチは毎日使うものだから、バッグに入れっぱなしでいい。前夜に確認すべきは、「明日必要な追加のもの」だけだ。資料が必要な会議があるとか、返却しなきゃいけない本があるとか、そういう特別なものだけをチェックすればいい。
これに気づいてから、バッグの準備時間が大幅に短縮された。毎晩全部出して入れ直すのをやめて、スマホで翌日の予定を確認して、必要なものがあればバッグに追加する。それだけ。これなら1分もかからない。
服選びについても、考え方を変えた。最初の頃は「明日の気分」を予測しようとして失敗していた。でも、よく考えたら、朝の気分なんて予測できるわけがない。だから、アプローチを変えることにした。夜の段階で服を選ぶんじゃなくて、「明日着られる服の選択肢」を2〜3パターン用意しておくのだ。
例えば、ブラウス系、ニット系、カジュアル系の3つのハンガーを用意する。それぞれに、その日の気温や天気に合わせた服をセットしておく。朝起きたら、その3つの中から気分で選べばいい。全部をゼロから考えるのと、3つの選択肢から選ぶのでは、かかる時間が全然違う。これなら朝の「やっぱり違う服がいい」問題も解決できた。
朝ごはんの準備も、最初はうまくいかなかった。食パンを出しておくだけじゃ、あまり意味がない。どうせトーストするなら、ジャムとバターも一緒に出しておかないと、結局冷蔵庫を開けることになる。コーヒーも、豆から挽いているから、前夜にフィルターにセットしておけば、朝はスイッチを押すだけで済む。
でも、そもそも私は料理が得意じゃないし、朝からしっかり食べる習慣もなかった。だから、「朝ごはんの準備」に関しては、完璧を目指さないことにした。前の晩にヨーグルトを冷蔵庫の取り出しやすい場所に移動させておく。バナナを一本、カウンターに出しておく。それだけでも、朝の動きが変わった。冷蔵庫の中を探し回る時間がなくなるだけで、こんなに楽になるなんて思わなかった。
一番大きな気づきは、「完璧を目指さない」ということだった。前夜に全部完璧に準備しようとすると、逆にストレスになる。そうじゃなくて、朝の「選択」と「探す」という行為を減らすだけで十分なのだ。服を選ぶ時間、バッグの中身を確認する時間、朝ごはんの材料を探す時間。この3つの「時間泥棒」を前夜に潰しておけば、朝の5分、10分が生まれる。
この気づきがあってから、前夜の準備時間は本当に5分くらいになった。慣れてくると、歯磨きをしながらでもできるようになった。特別なことをするんじゃない。ちょっとした先回りをするだけ。それだけで、朝がこんなに変わるなんて、やってみる前には想像もできなかった。
自分なりに工夫したポイント
前夜の準備を続けているうちに、自分なりのルールや工夫が自然と生まれてきた。最初は先輩の真似から始めたけれど、やっぱり人それぞれ生活スタイルが違うから、自分に合ったやり方を見つけることが大事だと実感した。
まず私が取り入れたのは、「前夜準備のチェックリスト」を作ることだった。スマホのメモアプリに、簡単なチェックリストを作成した。項目は4つだけ。「明日の予定確認」「服の準備(2〜3パターン)」「バッグの確認」「朝ごはんセット」。このチェックリストを、寝る前のルーティンに組み込んだ。歯を磨いて、スキンケアをして、チェックリストを確認する。この流れが習慣になると、考えなくても体が動くようになった。
服の準備については、さらに工夫を重ねた。クローゼットの一番手前に「明日候補ゾーン」を作って、そこに翌日着られる服だけをかけるようにした。週末に一週間分の服をある程度考えておいて、このゾーンに集約しておく。そうすると、平日の夜はこのゾーンから選ぶだけで済む。クローゼット全体から毎日選ぶのは大変だけど、5〜6着の中から選ぶのは楽だった。
天気予報アプリも活用した。夜寝る前に翌日の天気と気温を必ず確認する。雨が降りそうなら折り畳み傘をバッグに入れておく。気温が低そうなら上に羽織るカーディガンを用意しておく。当たり前のことだけど、これを前夜にやっておくだけで、朝の「傘どこだっけ」「寒いかも、何か羽織るもの探さなきゃ」という慌てがなくなった。
バッグの準備では、「明日バッグ」という概念を取り入れた。普段使いのトートバッグとは別に、小さめのトートバッグを用意して、翌日特別に必要なものはこの「明日バッグ」に入れておく。例えば、返却する図書館の本とか、クリーニングに出す服とか、友達に渡すものとか。玄関にこのバッグを置いておけば、朝「あ、あれ持っていかなきゃ」と思い出して部屋中を探し回ることがなくなった。
朝ごはんの準備は、自分のレベルに合わせて無理のない範囲で工夫した。料理が得意な人なら前夜におかずを作り置きできるんだろうけど、私にはそれは無理。だから、「開けるだけ」「出すだけ」で食べられるものを意識的に買うようにした。ヨーグルト、バナナ、グラノーラ、チーズ、ゆで卵(コンビニで買ったもの)。これらを前夜に一か所にまとめて置いておく。朝はそこから好きなものを選んで食べる。それだけでも、コーヒーだけの朝よりずっと良かった。
コーヒーについては、タイマー機能付きのコーヒーメーカーを買った。前夜にセットしておけば、朝起きた時にはもうコーヒーが淹れたてで待っている。この香りで目が覚めるのも気持ちよかったし、何より朝の「コーヒー淹れなきゃ」というタスクが一つ消えたのが大きかった。
もう一つ、意外と効果的だったのが「朝の動線」を意識することだった。前夜に準備するだけじゃなくて、それをどこに置いておくかも重要だ。例えば、服はベッドの近くに置いておく方が、クローゼットに入れておくより楽。バッグは玄関に置いておけば、出かける直前に「バッグどこだっけ」と探さなくて済む。朝ごはんセットはキッチンカウンターの一番目立つ場所。
こうした小さな工夫の積み重ねが、朝の動きをスムーズにしてくれた。大げさな準備じゃない。ちょっとした配置の工夫とか、ちょっとした先回りとか。それだけで、朝の自分が楽になる。前夜の5分が、翌朝の20分、30分を生み出してくれる。このコスパの良さに気づいてからは、前夜の準備が面倒だと感じることはなくなった。
日常や生活でどう変わったか
前夜5分の準備を始めてから、朝の時間に余裕が生まれたことで、私の生活は想像以上に変わった。一番大きな変化は、朝の気分が全く違うということだった。以前は朝起きた瞬間から「やばい、時間がない」という焦りでスタートしていた。でも今は、目覚ましが鳴っても「大丈夫、準備はできてる」という安心感がある。この心の余裕が、一日のスタートを穏やかなものにしてくれた。
朝ごはんをゆっくり食べられるようになったのも大きな変化だった。以前はコーヒーを立ったまま流し込むか、駅のコンビニでおにぎりを買って電車の中で食べるかという生活だった。でも今は、テーブルに座って、トーストとヨーグルトとコーヒーを味わいながら食べる時間がある。たった10分、15分の違いなんだけど、この時間があるだけで一日の始まりが全然違う。
会社に到着する時の状態も変わった。以前は走って駅に向かって、階段を駆け上がって、ギリギリで電車に飛び乗っていたから、会社に着く頃には汗だくで息も上がっていた。化粧も崩れている。髪も乱れている。デスクに着いてから、トイレで化粧直しをするのが日課だった。でも今は、余裕を持って家を出られるから、歩いて駅に向かえる。電車の中でも座れることが増えて、スマホで今日の予定を確認したり、ニュースを読んだりする余裕ができた。
同僚からの反応も変わった。「最近、余裕あるね」「なんか落ち着いてる」と言われるようになった。以前は「いつもギリギリの人」というキャラが定着していたから、朝から余裕のある顔をしている私を見て、みんな少し驚いていた。上司からも「最近いい感じだね」と声をかけられた時は、素直に嬉しかった。
遅刻の心配がなくなったことで、睡眠の質も変わった。以前は寝る前に「明日絶対起きなきゃ」というプレッシャーがあって、それが逆に眠りを浅くしていた。目覚ましを5個も6個もセットして、それでも不安で何度も夜中に目が覚めていた。でも、前夜の準備ができていると「最悪、ちょっと遅く起きても大丈夫」という心の余裕が生まれて、ぐっすり眠れるようになった。
朝の余裕が、仕事のパフォーマンスにも影響した。以前は朝からバタバタしていたから、午前中はずっと頭がぼんやりしていた。メールの返信も遅いし、ミスも多かった。でも今は、朝から頭がすっきりしている。朝ごはんをちゃんと食べているから、午前中もエネルギーが続く。仕事の効率が上がって、残業も減った。
意外だったのは、夜の時間の使い方も変わったことだった。以前は夜、だらだらとスマホを見て過ごして、気づいたら深夜という日々だった。でも、前夜の準備を習慣にしてから、夜の時間に少し意識が向くようになった。寝る前の5分を使うということは、逆算して考えると、ある程度の時間に寝る準備を始めないといけない。そうすると、自然と夜のダラダラ時間が減って、早く寝るようになった。結果的に睡眠時間も増えて、朝も起きやすくなるという好循環が生まれた。
週末の過ごし方も変わった。以前は平日の疲れを引きずって、土日はほとんど寝て過ごしていた。でも、朝のストレスが減って日々の疲れが軽減されたことで、週末も早起きして活動的に過ごせるようになった。朝から散歩に出かけたり、カフェでゆっくり朝ごはんを食べたり。そういう時間が、人生を豊かにしてくれている気がした。
友人との約束も守れるようになった。以前は朝が弱くて、休日の朝の約束はほとんど遅刻していた。友達からは「また遅刻するんでしょ」と冗談半分に言われることもあって、それが地味にストレスだった。でも今は、前夜に準備をする習慣が休日も続いているから、約束の時間に余裕を持って到着できる。友達からも「時間守るようになったね」と驚かれて、それがまた嬉しかった。
続けてみて見えてきたこと
前夜5分の準備を始めてから、気づいたら半年が経っていた。最初は意識的に頑張らないとできなかったことが、今では完全に習慣になっている。歯を磨くのと同じレベルで、考えなくても体が動く。寝る前に翌日の服を見て、バッグを確認して、朝ごはんをセットする。それが当たり前になった。
続けているうちに見えてきたのは、この習慣がただ「朝が楽になる」だけじゃないということだった。もっと深いところで、自分の生活全体が変わっていく感覚があった。
一番大きな気づきは、「先回りの思考」が身についたということだった。前夜に翌朝のことを考える習慣がつくと、もっと広い範囲で「未来の自分」のために今できることを考えるようになった。例えば、週末に来週の予定を確認して、必要な準備を少しずつ進めるようになった。会議の資料を前日に確認しておくとか、提出書類の期限を余裕を持ってチェックするとか。小さなことだけど、こうした先回りが、仕事でも私生活でも余裕を生み出してくれた。
「選択疲れ」という言葉があることを知ったのも、この習慣を続けていた時期だった。人間は一日に何万回も選択をしていて、それが疲れの原因になるらしい。朝の「何を着るか」「何を食べるか」「何を持っていくか」という小さな選択の積み重ねが、実は脳を疲れさせている。前夜に準備をすることで、朝の選択を減らせる。その分、脳のエネルギーを仕事や大事なことに使える。理屈で理解するというより、体感として「確かにそうだな」と実感した。
この習慣を通して、自分の「弱点」とうまく付き合う方法も学んだ。私は朝が弱い。これは変えられない性質だと思っていた。でも、朝が弱いなら、弱い朝の自分を助ける仕組みを作ればいい。夜の元気な自分が、朝の弱い自分を助ける。そういう発想の転換ができたことが、すごく大きかった。自分の弱さを責めるんじゃなくて、弱さを前提に工夫する。これは人生の色々な場面で使える考え方だと思った。
家族や友人にもこの習慣を勧めてみたけれど、反応は様々だった。すぐに取り入れて「本当に朝が楽になった」と喜んでくれる人もいれば、「面倒くさい」と続かない人もいた。これも学びだった。どんなに良い習慣でも、万人に合うわけじゃない。その人の生活スタイルや価値観に合っているかどうかが大事。私にとってはこの「前夜5分の準備」が完璧にハマったけれど、他の人には別の方法が合うのかもしれない。
続けていく中で、完璧主義の罠にも気づいた。最初の頃は、毎日完璧に準備しないといけないと思っていた。でも、たまには疲れていて準備できない日もある。飲み会で遅く帰った日とか、体調が悪い日とか。そういう時は無理に準備しなくてもいい。次の日の朝はちょっとバタバタするかもしれないけど、それはそれでいい。完璧を求めすぎると続かない。70点、80点を続けることの方が、100点を目指して挫折するよりずっといい。
この習慣を通して、「小さな変化の積み重ね」の力も実感した。最初の一日、二日では大した変化は感じなかった。でも、一週間、一ヶ月、三ヶ月と続けていくうちに、気づいたら生活全体が変わっていた。朝のストレスが減り、睡眠の質が上がり、仕事のパフォーマンスが向上し、人間関係も良くなった。たった5分の習慣が、こんなにも人生を変えるなんて、始める前には想像もできなかった。
まとめ
「前夜5分の準備」を始める前の私は、毎朝を戦場のように過ごしていた。目覚ましに怒られるように起きて、時間に追われながら支度をして、走って駅に向かう。そんな朝が当たり前だと思っていた。朝が弱い自分はダメな人間だと、どこかで責めていた。
でも、先輩の何気ない一言がきっかけで始めた小さな習慣が、私の朝を、そして人生を変えてくれた。最初はうまくいかなかった。時間もかかったし、続けられるか不安だった。でも、試行錯誤しながら自分に合ったやり方を見つけて、少しずつ形にしていった。
今では、夜寝る前に翌日の準備をすることが、歯を磨くのと同じくらい自然な習慣になっている。服を選んで、バッグを確認して、朝ごはんをセットする。それだけのことなのに、翌朝の自分が本当に楽になる。朝起きた時の安心感、ゆっくり朝ごはんを食べられる幸せ、余裕を持って家を出られる気持ち良さ。これらは、半年前の私には想像もできなかった日常だった。
この習慣から学んだことは、朝の準備の仕方だけじゃない。自分の弱さとうまく付き合う方法、先回りして考える思考、小さな変化を積み重ねる大切さ。そういう、人生全体に通じる気づきがたくさんあった。
もし、昔の私と同じように朝のバタバタに悩んでいる人がいたら、一度試してみてほしい。最初から完璧を目指さなくていい。まずは服を前日に決めてみるだけでもいい。バッグの中身を確認するだけでもいい。小さな一歩が、きっと何かを変えてくれる。
私にとって、この「前夜5分の準備」は単なる時短テクニックじゃなくて、自分を大切にする方法の一つになった。夜の元気な自分が、朝の弱い自分を助けてあげる。未来の自分のために、今できることをしてあげる。それは、自分への優しさなんだと思う。
朝のストレスが減っただけで、こんなにも毎日が軽やかになるなんて。始めてよかったと心から思っている。これからもこの習慣を続けながら、もっと自分らしい朝を、もっと心地よい毎日を作っていきたい。


