- 投稿 2025/11/20
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レシートを撮り続けて見えてきた"本当の節約ポイント"の話
触れたきっかけと思ったこと
去年の春先、引っ越しで新しいアパートに移ったばかりの頃だった。家賃が前の部屋より2万円も上がってしまって、これはちょっと生活費を見直さないとヤバいなと思っていた時期のことだ。それまで「節約しなきゃ」と思いつつ、家計簿なんて三日坊主で終わっていたし、そもそも何にいくら使っているのか把握できていなかった。
ある晩、帰宅途中のコンビニで何気なくカゴに入れた商品を見て、ふと「今日これで何円使ったっけ」と思い返してみた。朝のコーヒー、昼のコンビニ弁当、仕事帰りのドラッグストア。全然思い出せない。財布の中のレシートをぐちゃぐちゃに突っ込んで、気づいたら捨てている。そんな生活を何年も続けていた。
友人とランチをした時、偶然その話になった。「最近レシート撮るだけでいいやつあるじゃん、あれ便利だよ」と軽く教えてもらったのがきっかけだった。スマホでパシャっと撮るだけで記録できるなら、ズボラな自分でも続けられるかもしれない。そう思って、その日のうちにいくつかアプリをダウンロードしてみた。
正直、最初は半信半疑だった。レシート撮るだけで何が変わるんだろう、という気持ちが強かった。でも「無料だし、とりあえず1ヶ月だけやってみるか」という軽い気持ちでスタートした。まさかその後、自分の買い物の癖や無駄遣いのパターンがこんなにはっきり見えてくるとは、この時は全く想像していなかった。
最初に戸惑った体験
撮影を始めた最初の1週間は、思った以上に大変だった。というより、自分がいかにレシートを適当に扱っていたかを思い知らされた。
まず、コンビニで買い物をした直後、レジを離れた瞬間にレシートをぐしゃっと財布に突っ込む癖がついていた。急いでいる時なんて、そのまま店を出てしまう。帰宅してから「あ、あのレシート撮ってない」と気づいて、財布の中を探すんだけど、他のレシートとぐちゃぐちゃに混ざって、どれがどれだか分からなくなっている。しかも、財布の奥で折れ曲がって、文字がかすれてしまっているものもあった。
スーパーのレシートなんて特に長くて、折り畳まれた状態で渡されるから、まっすぐ伸ばして撮影するのが意外と面倒だった。テーブルの上に広げて、四隅を押さえながら撮影する。照明の角度が悪いと文字が光で飛んでしまって、何度も撮り直し。あるいは影が映り込んで真っ暗になってしまったり。「こんなに手間かかるなら、手入力した方が早いんじゃないか」と思ったこともあった。
それから、飲食店でもらう手書きの領収書。これが本当に厄介だった。手書きの文字が読み取れなかったり、感熱紙が時間経過で薄くなっていたり。あるカフェでもらったレシートは、バッグの中で水筒の水滴がついてしまって、金額のところだけ滲んでしまった。撮影しようとしたときには、もう何が書いてあるのか判別不能だった。
一番困ったのは、ドラッグストアで買い物をした時だ。ポイントカードのキャンペーン情報やらクーポン券やらで、レシートがとにかく長い。70センチくらいあったんじゃないだろうか。床に広げて撮影したら、愛猫がレシートの上に乗ってきて、シャッターチャンスを逃した。笑えない状況だった。
最初の2週間くらいは、撮影し忘れることも多かった。夜寝る前に「あ、今日の昼に買ったパン屋のレシート撮ってない」と思い出して、慌てて財布をひっくり返す。でも、もう捨ててしまっていたり、どこかに紛れ込んでいたり。そうなると、もう記録できない。記録が途切れ途切れになって、「これじゃ意味ないよな」と思って、何度も挫折しかけた。
試行錯誤しながら気づいたこと
それでも、なんとか1ヶ月続けてみた。途中で何度も「もういいかな」と思ったけれど、ここでやめたらまた今までと同じだ、という妙な意地があった。
そして1ヶ月が経った頃、アプリに蓄積されたデータを眺めていて、ある驚きの発見があった。コンビニでの支出が圧倒的に多かったのだ。金額で見ると、月に3万円近くコンビニで使っていた。1日平均1000円。朝のコーヒーとパン、昼の弁当、仕事帰りのお菓子や飲み物。一回一回は数百円なのに、積み重なるとこんな金額になっていたのか、と愕然とした。
もっと驚いたのは、買っている曜日に偏りがあったことだ。月曜日と金曜日にコンビニでの買い物が集中していた。よく考えてみると、月曜日は週初めで疲れていて、お弁当を作る気力がない。金曜日は週末前でテンションが上がって、ついついデザートやお酒のおつまみを買ってしまう。自分でも気づいていなかった行動パターンが、データではっきり見えてきた。
さらに、レシートを細かく見ていくと、同じ商品を何度も買っていることにも気づいた。特定のカップ麺、特定のチョコレート菓子。家に帰って棚を見ると、案の定、同じカップ麺が4個もストックされていた。買ったことを忘れて、また買ってしまっていたのだ。これも無駄遣いの一つだった。
また、ドラッグストアでの買い物も意外な発見があった。本当に必要なものだけを買っているつもりだったのに、レシートを見返すと、セール品につられて買っている商品が結構あった。「30%オフ」に惹かれて買ったシャンプーの詰め替えが、実は普段使っている銘柄より割高だったことも判明した。セールだからお得、という思い込みが、実は損をしていることもある。
スーパーでの買い物では、夕方6時以降に行くことが多かった。仕事帰りの時間帯だ。でも、その時間帯は空腹で判断力が鈍っていて、余計なものをカゴに入れてしまっていた。レシートを見ると、お菓子やお惣菜の購入頻度が高い。お腹が空いている状態で買い物に行くのは、節約の大敵だと実感した。
こうやって2ヶ月、3ヶ月とレシートを撮り続けていくうちに、自分の消費行動の「癖」みたいなものが浮き彫りになってきた。それは、単なる家計簿では絶対に見えてこなかったものだった。金額の合計だけじゃなくて、「いつ」「何を」「どんな状況で」買っているのか。その積み重ねが、自分の無駄遣いの正体だった。
自分なりに工夫したポイント
データを眺めているうちに、ただ記録するだけじゃもったいないと思い始めた。せっかく撮影しているんだから、もっと活用できる方法があるんじゃないか。そう考えて、いくつか自分なりのルールを作ってみた。
まず、レシートをもらったら「その場で撮影」を徹底することにした。会計を済ませて店を出る前、レジ前の台やベンチに一度立ち止まって、その場でスマホを取り出して撮影する。これだけで、撮影忘れが激減した。最初は店員さんの目が気になったけれど、慣れてくると気にならなくなった。むしろ、レシートをその場で確認する習慣がついて、会計ミスにも気づけるようになった。
次に、撮影するときに「今日は何のために買ったのか」を一言メモするようにした。アプリにはメモ機能があったので、それを活用した。「月曜日で疲れてた」「セールにつられた」「ストレス買い」など、自分の気持ちを正直に書いた。これが後で見返したときに、かなり役立った。同じような状況で無駄遣いをしていることが、パターンとして見えてきたからだ。
それから、週に1回、日曜日の夜に「振り返りタイム」を設けることにした。その週に撮影したレシートを全部見返して、「これは必要だった」「これは無駄だった」と自分なりに評価する。最初は面倒だったけれど、10分もあれば終わる作業だった。この振り返りをすることで、翌週の買い物がかなり変わった。「今週はコンビニで使いすぎたから、来週はお弁当を作ろう」といった具体的な目標が立てられるようになった。
コンビニ対策としては、「コンビニでは飲み物しか買わない」というマイルールを作った。どうしてもコンビニに寄りたくなったら、飲み物だけにする。お弁当やお菓子はスーパーで買う。これだけで、コンビニでの支出が半分以下になった。
スーパーに行く時間帯も工夫した。空腹時を避けて、休日の昼食後に行くようにした。お腹が満たされている状態だと、不思議と余計なものを買わなくなる。それから、買い物リストを事前に作って、それ以外は買わないと決めた。レシートの記録を見返すと、リストを作った日とそうでない日では、支出額が明らかに違っていた。
ドラッグストアでは、セールの誘惑に負けないように、「今使っているものがなくなってから買う」を徹底した。ストック癖があったので、これが一番難しかった。でも、レシートを見返して「また同じものを買ってる」と自覚することで、少しずつ改善できた。
実際の場面でどう役立ったか(旅行・日常など)
この習慣が特に役立ったのは、夏に行った3泊4日の北海道旅行だった。旅行中もレシートを撮り続けたのだ。
旅行って、どうしても財布の紐が緩みがちになる。「旅行だから」という言い訳で、普段なら買わないようなものをつい買ってしまう。お土産屋さんで見かけた可愛い雑貨、観光地の高めのカフェ、空港の免税店。気づいたら予算オーバーしていた、なんて経験が今までに何度もあった。
でも、旅行中もレシートを撮影することで、リアルタイムで「今いくら使ったか」が把握できた。1日目の夜、ホテルでその日のレシートを見返したら、すでに予算の半分近くを使っていることに気づいた。観光地の食事代が思ったより高かった。このままでは最終日に資金が足りなくなる。
そこで、2日目からは少し工夫をした。朝食はホテルのビュッフェでしっかり食べて、昼食は地元のスーパーで買ったお弁当にする。浮いた分を、本当に行きたかったお寿司屋さんのディナーに回す。お土産も、空港の免税店ではなく、地元のスーパーで北海道限定のお菓子を買う。こうすることで、満足度を下げずに、予算内に収めることができた。
帰宅後、旅行中のレシートを全部並べて眺めてみた。4日間で使った金額の内訳が一目瞭然だった。食費、交通費、お土産代、雑費。それぞれの比率を見て、「次の旅行では交通費をもう少し抑えて、食費にお金をかけよう」といった反省点が明確になった。これは、次の旅行計画を立てるときに、すごく参考になった。
日常生活でも、色々な場面で役立った。ある月、光熱費の請求が予想より高かった。同時期のレシートを見返してみると、コンビニでの買い物が増えていた。実は、その月は残業続きで疲れていて、自炊をサボってコンビニに頼りっぱなしだったのだ。光熱費だけ見ていたら気づかなかったけれど、レシートと照らし合わせることで、生活リズムの乱れと支出の関係が見えてきた。
また、友人との飲み会が続いた月があった。財布からどんどんお金が消えていく感覚があったけれど、具体的にいくら使ったかは分からなかった。でも、レシートを撮っていたおかげで、その月の交際費が普段の3倍になっていることが判明した。翌月は飲み会を控えめにして、家で友人を招いてホームパーティーにした。支出は半分以下で、むしろ楽しい時間を過ごせた。
季節の変わり目、衣替えの時期にも役立った。去年の秋に何を買ったか、レシートの記録を遡って確認できた。そうすると、「去年もこんな感じのニットを買ってたな」と気づいて、似たようなものを買わずに済んだ。クローゼットを開けて確認したら、確かに似たような色のニットがあった。レシートが、ある種の購買履歴データベースになっていた。
続けてみて変化したこと
レシートを撮り続けて、もうすぐ1年になる。この習慣を続けて、自分の中で明らかに変わったことがいくつかある。
まず、買い物をする前に「これ、本当に必要かな」と一瞬立ち止まるようになった。レジに並ぶ前に、カゴの中身をもう一度確認する。「これ、後でレシート撮ったときに後悔しないかな」と自問する。この一瞬の間が、衝動買いを防いでくれる。
実際の節約効果も大きかった。最初の月と比べて、月の支出が平均で2万円ほど減った。特にコンビニとドラッグストアでの無駄遣いが減った。年間で考えると24万円。これは大きい。浮いたお金で、ずっと欲しかったカメラを買うことができた。我慢して節約したというより、無駄を省いたら自然と貯まっていた、という感覚だ。
食生活も変わった。コンビニ弁当を減らして自炊を増やしたことで、栄養バランスが良くなった。体重も2キロほど減った。節約のつもりで始めたことが、健康面でもプラスになった。レシートを見返すと、野菜や果物を買う頻度が増えていることが分かって、ちょっと嬉しくなった。
意外だったのは、買い物そのものが楽しくなったことだ。以前は、何となく店に入って、何となく買い物をしていた。でも、レシートを意識するようになってからは、「この商品を選んだ理由」を自分で説明できるようになった。値段だけじゃなくて、品質や必要性を考えて選ぶ。そうすると、買い物に納得感が生まれる。レシートを撮るときも、「いい買い物だった」と思えることが増えた。
周りの人にも影響があった。同僚にこの習慣の話をしたら、「私もやってみる」と言って始めた人が何人かいた。数ヶ月後、その同僚から「おかげで無駄遣いが減った」と感謝された。自分の体験が誰かの役に立ったことが、純粋に嬉しかった。
それから、お金に対する漠然とした不安が減った。以前は、給料日前になると「今月、残りいくらだっけ」と心配になることが多かった。でも、レシートで支出を把握できるようになってからは、常に残高の目安が分かる。計画的にお金を使えるようになったことで、精神的にも楽になった。
季節ごとの支出パターンも見えてきた。夏はエアコン代と飲み物代が増える。冬は暖房費と鍋の材料費が増える。こういったパターンが分かると、事前に対策が立てられる。「今月は電気代が上がるから、外食を控えよう」といった調整ができる。
面白かったのは、自分の心理状態と支出の関係が見えてきたことだ。仕事でストレスが溜まっている時期は、コンビニスイーツやお酒の購入が増える。逆に、充実している時期は無駄遣いが減る。レシートが、ある意味で自分の心のバロメーターになっていた。「最近レシートが増えてるな」と思ったら、「ああ、ストレス溜まってるのかも」と自覚できる。そうすると、買い物以外のストレス解消法を考えるきっかけにもなった。
まとめ
レシートを撮り続けるという、たったそれだけのことが、こんなにも自分の生活を変えるとは思わなかった。
一番大きな発見は、「節約って我慢することじゃない」ということだった。無駄を知って、本当に必要なものにお金を使う。そのための第一歩が、自分の支出を「見える化」することだった。レシートは、ただの紙切れじゃなくて、自分の行動を映す鏡だった。
最初は面倒だったレシート撮影も、今では完全に習慣になった。歯を磨くのと同じくらい、当たり前の行動になっている。特別なことじゃない、日常の一部だ。
この1年で、貯金も増えたし、無駄遣いも減った。でも、それ以上に価値があったのは、自分の消費行動を客観的に見られるようになったことだ。なぜこれを買ったのか、本当に必要だったのか。そういったことを考える癖がついた。
もし、昔の自分と同じように「節約したいけど、何から始めればいいか分からない」と思っている人がいたら、レシートを撮ることから始めてみることをお勧めしたい。特別なアプリも、難しい知識も要らない。ただ、買い物をしたらレシートを撮る。それを続けるだけで、必ず何か見えてくるものがある。
完璧にやろうとしなくていい。撮り忘れることもあるし、途中で嫌になることもある。私もそうだった。でも、完璧じゃなくても、続けることに意味がある。1ヶ月、2ヶ月と続けていくうちに、少しずつ自分の消費のパターンが見えてくる。
レシートという小さな記録が、生活を大きく変えるきっかけになる。これは間違いない。私自身がそれを体験したから、自信を持って言える。今日買い物をしたら、レシートを捨てずに、一度じっくり眺めてみてほしい。そこには、自分でも気づいていなかった発見が、きっと隠れている。


