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スマホで袋分け管理を始めたら、買い物ストレスが消えていった話
触れたきっかけと思ったこと
お金に対する漠然とした不安が消えなかった。それが私が袋分け管理に興味を持った最初のきっかけだった。
毎月、給料が入ってくる。そして毎月、なんとなく生活している。特に贅沢をしているわけじゃないし、毎晩外食しているわけでもない。なのに、月末になると「あれ、お金ってどこに消えたんだっけ?」という感覚に襲われる。銀行口座の残高を見て、こんなはずじゃなかったと小さくため息をつく。そんな日々が続いていた。
家計簿アプリは何度か試した。最初の一週間くらいは律儀に記録するんだけど、気づくと開かなくなっている。レシートを撮影するタイプのアプリも使ってみたけど、結局「記録すること」自体が目的になってしまって、支出をコントロールできている実感がまったくなかった。数字は並んでいるけど、それで?という状態。
ある日、友人とランチをしていたときのこと。彼女が会計のあと、スマホで何やら操作していた。「何してるの?」と聞くと、「袋分け管理してて、今日使った分を記録してるんだ」と教えてくれた。袋分け管理?昔、母親が現金を封筒に分けて管理していたのは知っていたけど、今どきそんなことをしている人がいるんだと驚いた。
「でもさ、現金って面倒じゃない?」と聞くと、彼女は笑いながら「違うの、スマホで袋分けしてるの。現金は使ってないよ」と答えた。スマホで袋分け?その矛盾した言葉が妙に気になって、詳しく聞いてみた。
彼女の説明によると、給料が入ったらまず「食費」「日用品費」「交際費」みたいに目的別にお金を振り分ける。そしてスーパーで買い物をしたら「食費の袋」から支出を記録する。クレジットカードやキャッシュレス決済を使っても、その場で「○○の袋から○○円使った」と記録する。そうすることで、それぞれの項目にどれくらいお金が残っているかが一目でわかるんだという。
その話を聞いて、なるほどと思った。私が家計簿アプリで挫折した理由がわかった気がした。私は「記録すること」はできても、「残りがいくらあるか」を意識できていなかった。レシートをせっせと記録しても、結局月末に「うわ、使いすぎた」と後悔するだけ。でも袋分けなら、買い物をする前に「この袋にはあといくら残ってるかな」って確認できる。つまり、お金を使う前にコントロールできるんだ。
家に帰ってから、さっそく袋分け管理について調べてみた。確かに、そういう機能を持ったアプリがいくつもある。無料のものもあれば有料のものもある。レビューを読んでいると、「これまでどんな家計簿も続かなかったけど、袋分けならできた」という声がたくさんあった。
正直、半信半疑だった。これまで何度も「今度こそ家計管理をちゃんとやろう」と思っては挫折してきた私だ。また同じことの繰り返しになるんじゃないか。でも、あの「お金がどこに消えたかわからない」というモヤモヤを解消したい気持ちも強かった。スーパーで買い物をするたび、「これ買っていいのかな」「今月、あとどれくらい使えるんだろう」という漠然とした不安を感じながらレジに並ぶのは、もう嫌だった。
よし、やってみようと決めたのは、その日の夜だった。どうせ無料のアプリから試せるんだし、ダメだったらまた考えればいい。そう思って、一つのアプリをダウンロードした。
最初に戸惑った体験
アプリを開いて最初に求められたのは、「袋を作る」という作業だった。食費、日用品、交際費、医療費、趣味…。どんな項目を作ればいいんだろう?検索すると、みんな5つとか7つとか、シンプルな項目で管理しているらしい。でも私は迷った。食費は外食も含むの?コンビニでお菓子を買ったら?美容院代は日用品?それとも別?
結局、最初は思いつくままに10個くらい袋を作った。「食費(自炊)」「食費(外食)」「カフェ・お茶代」「日用品」「美容・衣服」「交通費」「交際費」「趣味・娯楽」「医療費」「その他」。我ながら細かすぎる気もしたけど、とりあえずこれでスタートすることにした。
次に、それぞれの袋にいくら入れるか決める必要があった。これがまた難しかった。私は自分が毎月、食費にいくら使っているかすら把握していなかった。だいたい3万円くらい?いや、外食も含めたら4万円かな?もっと使ってるかも?
適当に数字を入れて、とりあえず始めてみることにした。給料日まで数日あったけど、待ちきれなくて今ある口座残高から逆算して、各袋に予算を振り分けた。食費に3万円、日用品に1万円、交際費に1万円…。そうやって割り振っていくと、あっという間に予算オーバーになった。え、こんなに使えないの?現実を突きつけられた気分だった。
何度か調整して、なんとか各袋に予算を振り分けた。そして実際に使ってみることにした。次の日、スーパーに買い物に行った。いつものように野菜や肉、調味料をカゴに入れてレジに並ぶ。支払いはいつものクレジットカード。そして駐車場に戻ってから、アプリを開いた。
「食費(自炊)」の袋を選んで、レシートを見ながら金額を入力。2,847円。登録ボタンを押すと、袋の残高が27,153円になった。ふーん、こんな感じか。思ったより簡単だった。でも正直、まだピンときていなかった。これのどこが画期的なんだろう?
数日が経った。相変わらず買い物のたびに記録はしていた。でもある日、ドラッグストアで困ったことが起きた。シャンプーとトリートメントを買った。これは日用品だからわかる。でも、ついでにリップクリームも買った。これは美容?日用品?さらに、小腹が空いたのでチョコレートも買った。これは食費?
レジを済ませてから、駐車場で10分くらい悩んだ。結局、シャンプーとトリートメントは「日用品」、リップクリームは「美容・衣服」、チョコレートは「食費(自炊)」に分けて記録した。でも、一回の買い物を3つの袋に分けて記録するのがすごく面倒だった。これ、毎回やるの?無理じゃない?
次に戸惑ったのは、外食の扱いだった。友人とランチに行った。会計は1,200円。これは「食費(外食)」?それとも「交際費」?一人で食べるときは「食費(外食)」で、誰かと食べるときは「交際費」?でも友人とランチなんて、交際って感じでもないし…。
またある日、本屋でビジネス書を買った。2,000円。これは「趣味・娯楽」?でも仕事に関係する本だし…。いや、でも会社で買ってもらうわけじゃないから趣味でいいのか?そもそも「その他」の袋って何に使うんだっけ?
こういう「どの袋に入れるか問題」が次々と発生した。分類に悩んで、買い物の記録をするのが面倒になってきた。そして恐れていたことが起きた。ある日、コンビニで買い物をしたあと、記録するのを忘れた。次の日に気づいたけど、レシートはもう捨てた後だった。えーと、いくら使ったっけ?たぶん600円くらい?何を買ったっけ?お弁当とお茶と…他に何か買ったような気もするけど…。
結局、適当に「食費(自炊)」に500円と記録した。でもこれ、意味あるのかな?と疑問が湧いた。正確じゃない数字を記録して、何の意味があるんだろう。
試行錯誤しながら気づいたこと
一週間くらい経ったころ、私は袋分け管理をやめかけていた。分類が面倒、記録が面倒、結局これも続かないんじゃないかという予感があった。でもその日、ちょっとした気づきがあった。
仕事帰り、いつものスーパーに寄った。夕飯の買い物をするためだ。カゴを持って店内を歩きながら、なんとなくアプリを開いてみた。「食費(自炊)」の袋を見ると、残りは14,326円だった。今日は何を買おう?と考えながら、その数字を意識していた。
豚肉が安かったから手に取った。298円。白菜も安い。198円。きのこのパックも買って、あとはニンジンと玉ねぎと…。買い物をしながら、なんとなく合計金額を頭の中で計算していた。だいたい1,500円くらいかな。そうすると残りは13,000円くらいになる。
レジで会計を済ませると、1,487円だった。予想とほぼ同じ。駐車場でアプリに記録して、残高を確認した。12,839円。月末まであと20日くらいある。ということは、食費の袋にはまだ十分残ってる。あ、そういうことか。
そのとき初めて、袋分け管理の意味がわかった気がした。大事なのは「分類」じゃなくて「残高を意識すること」なんだ。食費の袋に3万円入れて、今いくら残ってるか。それを知っていれば、買い物のときに「これ買っても大丈夫かな」という不安がなくなる。
その気づきから、私の使い方が少しずつ変わっていった。まず、袋の数を減らすことにした。10個も袋を作ったのが間違いだった。「食費(自炊)」と「食費(外食)」を分ける意味ってあるんだろうか?どっちも食べることにかかるお金なんだから、一緒でいいんじゃないか。
同じように、「カフェ・お茶代」も「交際費」も、結局は「誰かと過ごす時間、または自分のリフレッシュにかけるお金」だから、まとめて「楽しみ費」にしてもいいんじゃないか。そう考えて、袋を整理した。
最終的に残したのは5つだけ。「食費」「生活費」「楽しみ費」「美容・服」「予備費」。生活費には日用品や交通費、医療費なども全部含めることにした。細かく分類するより、ざっくり管理する方が自分には合っていた。
もう一つ気づいたのは、「完璧を目指さなくていい」ということだった。コンビニで買い物をして記録を忘れた日。あのとき私は「正確じゃない数字を記録して意味があるのか」と悩んだ。でも、そもそも完璧に記録することが目的じゃないんだ。大事なのは「だいたいどれくらい残ってるか」を把握すること。500円か600円か、そんな細かいことはどうでもいい。
それからは、記録を忘れたときも気楽に対応するようになった。だいたいこれくらい使ったかな、と思う金額を入れておく。レシートを一つひとつ確認して正確に記録しようとするから面倒になるんだ。ざっくりでいい。その代わり、定期的に口座残高と照らし合わせて、大きくズレていないか確認すればいい。
そしてもう一つ、大きな気づきがあった。それは「予算は固定しなくていい」ということだった。私は最初、一度決めた予算は絶対に守らなきゃいけないと思っていた。食費は3万円、生活費は2万円、みたいに。でも実際に使ってみると、月によって必要な金額は変わる。ある月は友人の結婚式があって「楽しみ費」が足りなくなった。またある月は風邪を引いて病院に行ったから「生活費」が予算オーバーした。
最初はそれがストレスだった。予算を守れない自分がダメなんだと思っていた。でもあるとき、袋の間でお金を移動させればいいんだと気づいた。今月は楽しみ費が足りないから、食費の袋から5,000円移動させよう。そうすれば全体の収支は変わらないし、どちらの袋も赤字にならない。
袋分け管理は、お金を縛るためのツールじゃなくて、お金の流れを見えるようにするためのツールなんだと理解した。予算はあくまで目安。大事なのは「全体でどれくらい使えるか」を意識することで、個々の袋の予算を死守することじゃない。
自分なりに工夫したポイント
袋分け管理に慣れてくると、自分なりに使いやすいように工夫できるようになってきた。まず私がやったのは、「週予算」を設定することだった。
月の予算を決めても、月初めにたくさん使いすぎて月末にお金がなくなる、というパターンを何度か繰り返した。だから私は、各袋の予算を4で割って、週ごとの予算を出すことにした。食費が月3万円なら、週7,500円。これを目安に、毎週日曜日の夜にアプリを開いて、今週いくら使ったか確認する習慣をつけた。
週7,500円以内に収まっていたら「今週は上手くいった」と思えるし、オーバーしていたら「来週は気をつけよう」と意識できる。月単位だと長すぎて、途中で感覚が麻痺してしまうけど、週単位なら調整がきく。これが私にはすごく合っていた。
次に工夫したのは、「先取り貯金」を袋分けに組み込んだことだった。これまで私は貯金が苦手だった。余ったお金を貯金しようと思っても、余らない。だから袋分けを始めるときに、「貯金」という袋も作った。そして給料が入ったら、まず貯金袋に1万円を入れる。その残りで、他の袋に予算を振り分ける。
最初は、貯金に1万円も回したら生活できないんじゃないかと不安だった。でも実際にやってみると、意外と大丈夫だった。むしろ「使えるお金はこれだけ」と最初に決まっている方が、無駄遣いしなくなった。貯金袋の残高が増えていくのを見るのも、ちょっとした楽しみになった。
もう一つ工夫したのは、「買い物メモ」を袋と連動させることだった。スーパーに行く前、冷蔵庫を見ながら「今日は豚肉と白菜と…」と買うものをアプリのメモ機能に書き出す。そして、だいたいいくらになりそうか予想する。このとき、食費袋の残高も確認する。
たとえば残高が5,000円しかなくて、あと10日ある。ということは一回の買い物で使えるのは多くても2,000円くらい。じゃあ今日は豚肉じゃなくて安い鶏肉にしようとか、買い物に行く前に判断できるようになった。
これをやるようになってから、スーパーでの「無駄買い」が激減した。これまでは、とりあえず店に行ってから「何買おうかな」と考えていた。そうすると、あれもこれもと目について、結局買いすぎる。でもメモを作ってから行くと、それ以外のものに目が向きにくくなる。たまに特売品で欲しいものがあれば買うけど、基本はメモに書いたものだけ。
あと、私が地味に役立つと思ったのは、「ご褒美費」を作ったことだった。これは月2,000円だけの小さな袋。この袋のお金は、何に使ってもいい。ケーキを買ってもいいし、欲しかったコスメを買ってもいい。漫画を買ってもいい。
なぜこの袋を作ったかというと、全部を「管理」してしまうと息が詰まるからだった。すべての買い物を「これは食費」「これは生活費」と分類して、予算内に収めようとすると、だんだん買い物すること自体がストレスになってくる。でも「ご褒美費」だけは何も考えずに使っていい。この「逃げ道」があることで、他の袋は頑張って管理できるようになった。
それから、クレジットカードの引き落としへの対処も工夫した。袋分けで記録しているのは「使ったタイミング」のお金。でも実際には、クレジットカードの引き落としは翌月だったりする。だから「クレジット引き落とし待ち」という袋も作って、カードで支払った金額をそこにプールするようにした。そうすれば、引き落とし日に慌てることがない。
最後に、定期的に「振り返りノート」を書くことも習慣にした。月末になったら、アプリのデータを見ながら、今月はどの袋が余ったか、どの袋が足りなかったか、何にお金を使ったか、来月はどう調整するか、そんなことをスマホのメモアプリに書き出す。この作業をすることで、自分のお金の使い方の傾向が見えてくるし、次の月の予算を決めるときの参考になった。
日常や生活でどう変わったか
袋分け管理を始めて3ヶ月くらい経ったころ、ふとした瞬間に「あれ、変わったな」と思うことがあった。スーパーのレジに並んでいるとき、以前のような不安がなかった。
前は、カゴの中の商品を見ながら「今日、結構買っちゃったな」「これ、本当に買って大丈夫かな」という漠然とした罪悪感みたいなものがあった。でも今は、買い物に行く前にアプリで残高を確認して、だいたいいくら使えるか把握してから店に行く。だから、レジに並ぶときには「今日は予算内だな」という安心感がある。
この「安心感」が、私の日常を大きく変えた。買い物がストレスじゃなくなったのだ。むしろ、予算内でやりくりすることがちょっとしたゲームみたいに感じられるようになった。今日は特売品をうまく使って1,500円で済んだぞ、とか、今週は予算より1,000円少なく済んだから来週はちょっと贅沢できるな、とか。
友人との外食も気楽になった。以前は、誘われたときに「今月、あとどれくらい使えるんだっけ?」と不安になって、行きたいけど迷う、ということがよくあった。でも今は、アプリを開いて「楽しみ費」の残高を見れば、すぐに判断できる。残高に余裕があれば即答で「行く!」と言えるし、厳しければ「来月にしようか」と素直に言える。
この「即座に判断できる」ことの快適さは、やってみないとわからなかった。以前の私は、いつもお金のことで「なんとなく不安」だった。その不安は具体的じゃない。いくら残ってるかわからない、いくら使っていいかわからない、だから全部が不安。でも袋分けをするようになってから、不安が具体的な数字に置き換わった。数字になれば、対処できる。
もう一つ変わったのは、無駄遣いが減ったことだった。以前の私は、コンビニでつい余計なものを買ってしまう癖があった。飲み物を買うついでに、レジ横のお菓子やホットスナックに手が伸びる。でも袋分け管理をするようになってから、買い物をする前に「これ、本当に欲しいの?」と自分に問うようになった。
なぜなら、それを買うと記録しなきゃいけないから。アプリを開いて、袋を選んで、金額を入力して。その手間を考えると、「まあ、別にいいか」と思えることが増えた。記録が面倒だから買わない、というのは本来の目的とは違うかもしれないけど、結果的に無駄遣いが減ったのは事実だった。
服を買うときの行動も変わった。以前はセールで安くなっているとつい買ってしまって、結局あまり着ない服がクローゼットに溜まっていた。でも今は、「美容・服」の袋の残高を見てから買うかどうか判断する。残高に余裕がなければ、今月は見送る。そうやって一呼吸置くことで、本当に欲しいものだけを買うようになった。
面白かったのは、お金を使うことへの罪悪感が減ったことだ。以前は、ちょっと高いランチを食べたり、欲しかったコスメを買ったりすると、「無駄遣いしちゃった」という罪悪感があった。でも袋分け管理をするようになってから、予算内で使っている限り、罪悪感を感じなくなった。
「楽しみ費」の袋に1万円入れてある。今月、友人とのランチで3,000円使った。でも袋にはまだ7,000円残ってる。だから大丈夫。そういう風に考えられるようになった。お金を使うことは悪じゃない。予算内でコントロールできていれば、堂々と使っていい。そう思えるようになったことが、精神的にすごく楽だった。
夫婦関係も少し変わった。私には結婚して3年になる夫がいるのだけど、以前はお金の話をするのが苦手だった。というか、避けていた。お互いの収入や支出について詳しく話すことがなかったし、家計管理も曖昧だった。でも袋分け管理を始めてから、自然とお金の話をするようになった。
「今月、食費が予算オーバーしそうだから、今週は外食控えようか」とか、「来月、友達の結婚式があるから、楽しみ費を多めに確保したいんだけど」とか。そういう具体的な話ができるようになった。数字というのは便利で、感情抜きに話せる。「お金がない」という漠然とした話じゃなくて、「この袋があと5,000円しかない」という具体的な話だから、冷静に対処できる。
続けてみて見えてきたこと
半年が過ぎたころ、私は袋分け管理が完全に習慣になっていた。買い物をしたらその場でアプリを開いて記録する。週末には各袋の残高を確認する。給料日には次の月の予算を考える。そういう一連の流れが、歯を磨くのと同じくらい自然な行動になっていた。
そして、続けているうちにいろんなことが見えてきた。まず、自分のお金の使い方の「パターン」がわかってきた。私は月の前半に使いすぎる傾向があった。給料が入ったばかりで気が大きくなっているのか、外食が増えたり、ちょっといい食材を買ったりする。そして月の後半になると、予算を気にして節約モードに入る。
このパターンに気づいてから、意識的に「前半は控えめに、後半に余裕を持たせる」という配分を心がけるようになった。最初の週は予算の2割だけ使う、二週目は3割、みたいな感じ。そうすることで、月末に「お金がない!」と慌てることがなくなった。
もう一つ見えてきたのは、「固定費」の重さだった。家賃、光熱費、スマホ代、保険料。これらは袋分けの対象外で、毎月自動的に引き落とされる。でも改めて計算してみると、固定費だけで給料のかなりの割合を占めていた。残りで食費や生活費をやりくりしなきゃいけないから、そりゃあ余裕がないわけだ。
それに気づいてから、固定費の見直しもするようになった。使っていないサブスクサービスを解約したり、スマホのプランを変更したり。月1,000円でも固定費が減れば、それが毎月の余裕につながる。袋分け管理をしていなかったら、こういう細かい固定費にまで目が向かなかったと思う。
そして何より、「貯金ができるようになった」ことが大きな変化だった。以前の私は、貯金なんて夢のまた夢だった。毎月生活するだけで精一杯で、余ったら貯金しようと思っていたけど、余ることなんてなかった。でも袋分けで「貯金袋」を作って、最初に1万円を確保するようにしてから、確実に貯金が増えていった。
半年で6万円。そんなに大きな額じゃないかもしれないけど、私にとっては大きな達成感だった。これまで「お金を貯められない自分」がコンプレックスだったけど、そうじゃなかった。やり方を知らなかっただけだった。
さらに続けていくうちに、お金に対する考え方自体が変わってきた。以前の私は、お金を「漠然と不安なもの」として捉えていた。足りない、消える、コントロールできない。でも今は、お金を「道具」として見られるようになった。人生を豊かにするための道具。その道具を上手に使うためには、どこにいくらあるかを把握する必要がある。袋分けは、そのための仕組みなんだと理解した。
友人にもこの方法を勧めてみた。あのとき、私に袋分け管理を教えてくれた友人とは別の、お金に悩んでいた同僚に。最初は「面倒くさそう」と言っていた彼女だったけど、試しにやってみたら意外とハマったらしい。「買い物するとき、前みたいにドキドキしなくなった」と言っていた。
そうなんだ、買い物のドキドキ。あの「これ買って大丈夫かな」という不安。袋分け管理をする前は、それが当たり前だと思っていた。でも今思えば、あのストレスって結構大きかった。買い物という日常的な行為が、毎回小さなストレスを生んでいた。それがなくなっただけで、生活の質がすごく上がった気がする。
一年経ったころには、貯金が12万円を超えていた。そして私は、その一部を使って小旅行に行くことにした。以前だったら、「貯金を使うなんてもったいない」と思っただろう。でも今は違う。貯金袋から3万円を「旅行費」として移動させて、堂々と使った。なぜなら、その3万円は「余ったお金」じゃなくて、「計画的に貯めたお金」だから。
旅行から帰ってきて、また日常が始まる。またスーパーに行って、アプリを開いて、残高を確認する。この繰り返しが、今の私にはとても心地いい。
まとめ
袋分け管理を始めて一年以上が経った今、私の生活はあのころとはまったく違う。お金がどこに消えたかわからない、


