なぜ国民年金だけでは生活できないの?

老後の生活資金について考えたとき、多くの人が「年金があるから大丈夫」と思いがちです。しかし、実際に国民年金だけで生活しようとすると、かなり厳しい現実が待っています。私の親戚も国民年金のみで生活していますが、毎月の家計は本当にギリギリで、医療費が発生すると貯金を切り崩さざるを得ない状況です。なぜこのような事態になってしまうのでしょうか。本記事では、国民年金の受給額の実態から、現代の生活費との乖離、そして私たちが今から準備すべきことまで、詳しく解説していきます。老後資金に不安を感じている方はもちろん、まだ若くて年金について考えたことがない方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

国民年金の受給額は想像以上に少ない

国民年金を40年間満額納付した場合、2024年度の受給額は月額約6万6000円です。年間にすると約79万円程度にしかなりません。この金額を聞いて「思ったより少ない」と感じた方も多いのではないでしょうか。実際、私が年金事務所で相談を受けた際も、この金額を伝えると驚かれる方がほとんどでした。さらに問題なのは、40年間きちんと納付できている人ばかりではないという現実です。学生時代の免除期間や、自営業で収入が不安定だった時期の未納期間があると、受給額はさらに減少します。例えば、30年しか納付していない場合は月額約5万円程度になってしまいます。この金額だけで生活することを想像すると、その厳しさが実感できるはずです。家賃や光熱費、食費だけで消えてしまう金額と言っても過言ではありません。

多くの人が「年金があれば老後は安心」と漠然と考えていますが、実態はそう甘くありません。総務省の家計調査によれば、65歳以上の単身世帯の平均的な生活費は月額約15万円とされています。つまり国民年金だけでは毎月約9万円も不足する計算になります。

この不足分を貯蓄から取り崩すとなると、65歳から85歳までの20年間で2000万円以上必要になります。よく耳にする「老後2000万円問題」は、決して大げさな話ではないのです。実際には医療費や介護費用など、予期せぬ出費も発生するため、さらに余裕を持った準備が求められます。

特に注意が必要なのは、国民年金のみに加入している自営業者やフリーランスの方々です。会社員であれば国民年金に加えて厚生年金も受給できるため、受給額は月額15万円から20万円程度になることが一般的です。しかし自営業者には厚生年金がないため、国民年金だけが頼りになります。

老後の生活設計を考える上で、まず現実を直視することが大切です。年金手帳や「ねんきん定期便」で自分の加入状況を確認し、将来受け取れる金額をしっかり把握しておきましょう。そして不足する分をどう補うのか、今から具体的に考え始める必要があります。

現代の生活費は年金受給額を大きく上回る

総務省の家計調査によると、単身高齢者の平均的な生活費は月額約14万円から15万円とされています。国民年金の受給額が約6万6000円ですから、毎月8万円以上も不足する計算になります。この数字は都市部ではさらに膨らみます。東京や大阪などの大都市では、家賃だけで5万円から7万円程度は必要になるケースも珍しくありません。私の知人で都内に住む70代の女性は、国民年金だけでは到底生活できず、週に3日パートで働き続けています。食費も物価上昇の影響を受けて年々増加しており、節約しても月3万円から4万円は必要です。さらに、通信費や水道光熱費などの固定費も合わせると、最低限の生活でも月12万円程度は必要というのが現実です。この差額を埋めるには、貯蓄を切り崩すか、働き続けるしかないのです。

しかし、貯蓄を切り崩す生活にも限界があります。仮に65歳から月8万円ずつ取り崩していくと、年間で96万円、10年で960万円が必要になります。多くの高齢者はそれほどの蓄えを持っていないのが実情です。厚生労働省の調査では、65歳以上の単身世帯の約3割が貯蓄300万円未満という数字も出ています。

医療費の負担も見過ごせません。持病がある場合、毎月の通院費や薬代で1万円から2万円かかることもあります。75歳以上になれば医療費の自己負担割合は軽減されますが、それでも急な入院や手術となれば、まとまった出費は避けられません。私の母も昨年入院した際、高額療養費制度を使っても10万円近い支払いが発生しました。

年金制度が設計された時代と比べて、平均寿命は大幅に延びています。人生100年時代といわれる今、年金だけに頼る生活設計では立ち行かなくなっているのです。かつては定年後の20年程度を想定すればよかったものが、今では30年、40年先を見据えなければなりません。働けるうちは働くという選択肢も、体力の衰えとともに難しくなっていきます。

医療費と介護費用の負担が重くのしかかる

年齢を重ねるにつれて避けられないのが、医療費と介護費用の増加です。高齢者の医療費負担は原則1割ですが、それでも慢性疾患で定期的に通院すると月に数千円から1万円以上かかることもあります。私の祖母は糖尿病と高血圧の治療で毎月8000円程度の医療費を支払っていました。さらに薬代も加わると、年間で10万円を超えることも珍しくありません。また、介護が必要になった場合、デイサービスや訪問介護を利用すると、介護保険を使っても自己負担が発生します。要介護度にもよりますが、月2万円から3万円の出費は覚悟しなければなりません。入院や手術となれば、さらに大きな費用が必要です。国民年金だけの収入では、このような突発的な医療費・介護費用に対応することが極めて困難になります。

特に注意が必要なのは、介護施設に入居する場合です。特別養護老人ホームは比較的費用が抑えられますが、入居待ちが長く、すぐには入れないケースがほとんどです。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は入居しやすいものの、入居一時金が数百万円、月額費用が15万円から20万円かかることも珍しくありません。私の知人の母親は、軽度の認知症が進んだため有料老人ホームに入居しましたが、月々の支払いが18万円で、年金だけでは到底賄えず、貯金を切り崩す生活が続いています。

さらに深刻なのは、医療と介護が同時に必要になった場合です。入院しながらリハビリを受け、退院後も訪問看護や介護サービスを組み合わせると、月々の負担は5万円を超えることもあります。高額療養費制度で一定額以上は戻ってくるとはいえ、一時的には大きな出費が必要です。蓄えが少ない高齢者にとって、この「一時的な立て替え」すら厳しい現実があります。こうした医療・介護費用の重圧は、老後生活の質を大きく左右する要因となっているのです。

住居費の問題は深刻な課題となる

持ち家がある場合とない場合で、老後の生活は大きく変わります。賃貸住宅に住んでいる場合、国民年金の約6万6000円のうち、家賃だけで半分以上が消えてしまうケースがほとんどです。地方でも安いアパートで3万円から4万円、都市部なら5万円から7万円は必要になります。残った金額で食費や光熱費、医療費を賄うのは不可能に近いでしょう。一方、持ち家があっても安心はできません。築年数が経過すれば修繕費が必要になりますし、固定資産税も毎年かかります。マンションの場合は管理費や修繕積立金が月2万円から3万円程度必要です。私の叔父は持ち家でしたが、屋根の修理に100万円以上かかり、貯金を大きく減らすことになりました。住居に関する費用は避けられない固定費であり、この負担が国民年金だけでは賄えない大きな要因となっています。

住宅ローンが残っている場合はさらに厳しい状況に追い込まれます。60歳を過ぎてもローン返済が続いている世帯は珍しくなく、年金受給が始まってからも毎月数万円の返済が必要になれば、生活費はほとんど残りません。退職金で一括返済できればよいのですが、退職金制度そのものがない企業も増えており、すべての人がそうした選択肢を持てるわけではないのです。

近所に住む田中さんは70歳を過ぎてから、2階建ての一戸建てを手放してコンパクトなアパートに引っ越しました。階段の上り下りが困難になったこと、庭の手入れが負担になったことが理由でしたが、何より固定資産税と修繕費の重さに耐えられなくなったと話していました。持ち家は資産ではあるものの、維持するための継続的な支出が伴うことを忘れてはなりません。

都市部では高齢者向けの公営住宅に応募が殺到し、倍率が数十倍になることも珍しくありません。低所得の高齢者にとって家賃が安い公営住宅は生命線ですが、供給は圧倒的に不足しています。こうした住居費の負担は、食費や医療費を削る選択を迫られるほど深刻な問題なのです。

物価上昇と年金額のギャップが拡大している

近年の物価上昇は、年金生活者にとって非常に厳しい状況を生み出しています。食料品や光熱費は着実に値上がりしているのに対し、年金額の増加は物価上昇に追いついていません。実際、2022年から2023年にかけて、電気代は約30%、ガス代も20%以上値上がりした地域もあります。スーパーでの買い物でも、以前は200円だった商品が250円、300円と値上がりしている光景を目にします。年金受給者の方々からは「同じ金額で買えるものがどんどん減っている」という声をよく聞きます。マクロ経済スライドという仕組みにより、年金額は物価や賃金の上昇率よりも低く抑えられる傾向にあります。つまり、時間が経つほど年金の実質的な価値は目減りしていくのです。この構造的な問題が、国民年金だけでは生活できない状況をさらに悪化させています。

総務省の家計調査によれば、高齢単身世帯の平均的な支出は月額約15万円に達していますが、国民年金の満額は月額6万5000円程度にとどまっています。このギャップは物価上昇によってさらに広がっており、貯蓄を切り崩しながら生活する高齢者が増加しています。

特に深刻なのは、持ち家がなく賃貸住宅で暮らす年金受給者です。家賃負担に加えて光熱費や食費の上昇が重なり、医療費や介護費用の支払いに不安を抱える人も少なくありません。ある70代女性は「薬代を節約するために通院回数を減らそうか迷っている」と話します。

政府は年金制度の持続可能性を重視する一方で、受給者の生活実態との乖離が問題視されています。物価高騰が続く中、年金だけでは最低限の生活水準を維持することが困難になりつつあり、高齢者の貧困問題は今後ますます深刻化する恐れがあります。年金制度そのものの見直しとともに、高齢者への生活支援策の拡充が急務となっています。

厚生年金との格差が生活水準の差を生む

会社員や公務員が加入する厚生年金と、自営業者やフリーランスが加入する国民年金では、受給額に大きな差があります。厚生年金の平均受給額は月額約14万円から15万円程度で、国民年金のみの約6万6000円と比べると2倍以上の開きがあります。私の友人は夫婦で厚生年金を受給しており、合わせて月30万円近くあるため、ゆとりある老後生活を送っています。一方、国民年金のみの受給者は、同じ年数保険料を納めていても、この差は埋まりません。厚生年金は現役時代の報酬に応じて受給額が決まるため、収入が高かった人ほど年金額も多くなります。この格差は老後の生活の質に直結し、医療や趣味、旅行など、人生を豊かにする活動への参加可能性にも大きく影響します。制度上の違いとはいえ、同じように働いてきた人々の間で、これほどの格差が生まれる現実は見過ごせません。

国民年金だけで暮らす高齢者の中には、家賃や光熱費を支払うと手元に残るお金がわずかという方も少なくありません。知人の元飲食店経営者は、長年自営業として国民年金保険料を納め続けてきましたが、現在受け取っているのは月6万5000円ほど。持ち家があるため何とか生活できているものの、冠婚葬祭や突然の医療費には対応できず、子どもに頼らざるを得ない状況だと話していました。

さらに問題なのは、この格差が老後になって初めて実感されることです。現役時代は自営業やフリーランスとして会社員以上の収入を得ていた人でも、年金受給額は変わりません。どれだけ稼いでいても、国民年金の保険料は定額制のため、将来受け取れる金額も一律です。対して厚生年金は労使折半で保険料を負担し、報酬比例部分が上乗せされる仕組みになっています。

この構造的な差は、老後資金の準備における意識の違いも生んでいます。厚生年金加入者の中には年金だけで生活できると考える人もいますが、国民年金のみの加入者は早い段階から自助努力での貯蓄や個人年金への加入を検討せざるを得ません。しかし、そうした準備ができる経済的余裕がない人ほど、老後の生活はより厳しいものになっていきます。

長寿化により必要な老後資金が増大している

日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳と、世界でもトップクラスの長寿国です。これは喜ばしいことですが、同時に老後資金の観点からは大きな課題となっています。65歳で退職してから20年以上、場合によっては30年近く生活する資金が必要になるのです。仮に毎月8万円の赤字が出ると仮定すると、20年間で1920万円、25年間では2400万円もの貯蓄を切り崩すことになります。これが話題になった「老後2000万円問題」の本質です。私の周りでも、90歳を超えても元気に暮らしている方が増えています。長生きすること自体は素晴らしいことですが、その分だけ生活費も医療費も必要になります。国民年金だけでは、この長い老後期間を安心して過ごすことは極めて難しいと言わざるを得ません。長寿化という社会変化が、年金制度との間にギャップを生んでいるのです。

貯蓄だけでは不安な老後資金

多くの人は「貯金があれば大丈夫」と考えがちですが、実際にはそう簡単ではありません。総務省のデータによると、高齢者世帯の平均貯蓄額は約2000万円とされていますが、これは一部の富裕層が平均を引き上げているためです。中央値で見ると1000万円程度、さらに貯蓄が少ない世帯も多く存在します。仮に1500万円の貯蓄があったとしても、月8万円の赤字なら約15年で底をつきます。その後も人生は続くのです。また、急な病気や介護施設への入居など、予期せぬ大きな出費が発生する可能性もあります。私の知人は、配偶者の介護で想定外の費用がかかり、予定より10年早く貯蓄が尽きてしまったと話していました。貯蓄だけに頼る老後設計は、リスクが高いと言えるでしょう。

今からできる対策と準備の重要性

国民年金だけでは足りないという現実を理解したうえで、今から準備を始めることが何より重要です。まず、国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)への加入を検討しましょう。これらは税制優遇を受けながら老後資金を準備できる制度です。私も40代からiDeCoを始めており、毎月2万円を積み立てています。税控除のメリットも大きく、将来への安心感も得られています。また、つみたてNISAなどを活用した長期的な資産形成も有効です。若い世代であれば、複利の効果を最大限活用できます。さらに、健康維持も重要な投資です。医療費を抑えるためにも、日頃から運動や食生活に気をつけることで、将来の出費を減らせます。定年後も働ける環境を整えることも一つの方法です。スキルを磨き続け、体力を維持することで、収入を得る選択肢を残せます。

副業やスキルアップで収入源を増やす

現役時代から副業を始めることも、老後の備えとして有効です。本業以外の収入源を持つことで、貯蓄のペースを上げられます。また、定年後も続けられる仕事のスキルを身につけることができます。私の同僚は週末にWebデザインの副業をしており、月5万円程度の収入を得ています。この金額を全額貯蓄に回せば、年間60万円、10年で600万円になります。また、資格取得やスキルアップに投資することで、定年後も専門性を活かして働ける可能性が広がります。実際、税理士や社会保険労務士などの資格を持つ方は、70代でも現役で活躍している例が多くあります。将来の選択肢を増やすという意味でも、今からの準備が重要なのです。

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まとめ

国民年金だけでは老後の生活が成り立たない理由について、様々な角度から見てきました。月額約6万6000円という受給額に対し、実際の生活費は月14万円から15万円必要であり、その差は貯蓄を切り崩すか働き続けるしかありません。医療費や介護費用の負担、住居費の問題、物価上昇と年金額のギャップ、厚生年金との格差、そして長寿化による資金需要の増大など、複合的な要因が重なっています。しかし、この現実を知ったうえで、今から準備を始めることで、不安な老後を回避することは可能です。国民年金基金やiDeCo、つみたてNISAなどの制度を活用し、副業やスキルアップで収入源を増やし、健康を維持することが重要です。年金制度に頼るだけでなく、自分自身で老後資金を準備する時代になっています。早く気づいて行動した人ほど、ゆとりある老後を迎えられるでしょう。今日から、できることから始めてみませんか。

老後の生活設計は、決して他人事ではありません。30代、40代のうちは「まだ先のこと」と感じるかもしれませんが、実際に60歳を迎えてから慌てても、できることは限られてしまいます。月々の掛金は少額でも、20年、30年と積み重ねることで、大きな差が生まれるのです。

自営業やフリーランスとして働く私たちにとって、国民年金だけに頼る老後は非常に厳しいものになります。しかし、それは同時に、自分の裁量で老後資金を準備できる自由があるということでもあります。会社員とは違う道を選んだからこそ、自分の将来も自分の手で築いていく。その覚悟と行動が、豊かな老後への第一歩となるはずです。

人生100年時代と言われる今、老後は30年以上続く可能性があります。その長い時間を不安のなかで過ごすのか、それとも蓄えと準備があるからこそ安心して楽しめるのか。その分かれ道は、今この瞬間の選択にかかっています。小さな一歩でも、踏み出すことに大きな意味があるのです。

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