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- 日本の仕組み・社会構造
役所の手続きで
「こちらは別の課になります」と言われ、
何度も窓口を回った経験はありませんか?
日本の行政手続きは、なぜここまで複雑に見えるのでしょうか。
実はこれは単なる非効率ではなく、
法制度・縦割り構造・責任分担という
日本独自の行政システムによって成り立っています。
本記事では、日本の行政手続きが複雑になる背景を、
社会の仕組みという視点から分かりやすく解説します。
役所の窓口で「えっ、また来るの?」って思ったことありません?
引っ越しの手続きで役所に行ったら、「こちらは別の課になります」って言われて、また別の階に行かされた経験、ありますよね。しかも持っていった書類が「この印鑑じゃダメです」とか言われて、出直し。もうね、なんでこんなに面倒なんだろうって思いません?
- 今日は、この日本の行政手続きがなぜこんなにも複雑なのか、その理由を一緒に見ていきましょう。別に役所の人を責めたいわけじゃなくて、この「仕組み」そのものに原因があるんです。
縦割り行政という名の「部署間の壁」
それぞれの部署が独立王国みたいになってる
日本の行政って、よく「縦割り」って言われますよね。これ、実は想像以上に根深いんです。
例えば、あなたが子育て世帯で引っ越したとします。住所変更は住民課、子どもの保育園は福祉課、児童手当は子育て支援課、そして小学校の転校手続きは教育委員会。全部バラバラなんですよ。
「いやいや、同じ市役所なんだから情報共有すればいいじゃん」って思いますよね?でも、それができない理由があるんです。
それぞれの部署は、それぞれの法律に基づいて動いてるんです。住民基本台帳法、児童福祉法、学校教育法...。法律が違うと、管轄する省庁も違う。厚生労働省だったり、文部科学省だったり。
つまり、市役所の中にいくつもの「省庁の出張所」があるようなイメージなんです。だから横の連携が取りにくい。
情報を勝手に共有できない事情
「個人情報保護法があるから」って理由もよく聞きますよね。確かにそれもあるんですけど、実はもっと複雑です。
各部署が持ってる情報は、その目的のためだけに集めたもの。だから別の目的で使っちゃダメっていう「目的外利用の禁止」というルールがあるんです。
例えば、住民票の情報を児童手当の担当が見るには、ちゃんとした法的根拠が必要。「便利だから」では通らないんですよ。
「性善説」じゃなくて「性悪説」で作られてる
不正を防ぐために、何重ものチェック
日本の行政手続きって、基本的に「悪いことする人がいるかもしれない」前提で作られてるんです。
だから、本人確認も厳しいし、書類も何枚も必要。印鑑証明が必要だったり、戸籍謄本が必要だったり。
実は海外、特に北欧とかだと、国民一人ひとりに番号が振られていて、それで全部管理されてるんです。「そんなの監視社会じゃん」って思うかもしれないけど、逆に手続きはめちゃくちゃ簡単。
日本もマイナンバーができたけど、まだまだ活用されてない。なぜかというと、「国に管理されるのが怖い」という国民感情と、「情報漏洩が怖い」という行政側の慎重姿勢があるからなんです。
前例主義という名の「変えたくない文化」
役所の仕事って、「前例」がすごく大事にされます。
「これまでこうやってきたから」っていうのが、最強の理由になるんです。新しいやり方を提案しても、「前例がない」で却下されることも多い。
なぜかというと、役所の仕事は「公平性」が命だから。Aさんにはこうしたのに、Bさんには違う対応をした、なんてことがあったら大問題。だから、みんな同じように、マニュアル通りに、前例通りにやるのが一番安全なんです。
でもこれが、時代に合わない手続きを残す原因にもなってるんですよね。
法律が古いまま放置されてる
昭和の法律が令和でも現役
日本の行政手続きの根拠になってる法律、実は昭和どころか、戦前から続いてるものもあるんですよ。
戸籍法なんて、基本的な枠組みは明治時代から。もちろん改正はされてるけど、根本的な考え方は変わってない。
当時はインターネットもスマホもない。書類を手書きして、ハンコを押して、窓口に持っていくのが当たり前だった時代の法律が、今も使われてるんです。
「じゃあ法律変えればいいじゃん」って思いますよね。でも、法律を変えるのって、めちゃくちゃ大変なんです。
法律を変えるハードルの高さ
法律を変えるには、国会で審議して、可決されないといけない。でも国会では、もっと緊急性の高い問題(予算とか外交とか)が優先されます。
「行政手続きをもっと簡単にする法案」って、地味じゃないですか。ニュースにもなりにくいし、選挙の争点にもならない。だから後回しにされがち。
しかも、法律を変えると、それに関連する政令とか省令とか、全部変えないといけない。システムも変えないといけない。お金も人手もかかる。
結果、「今のままでも回ってるし、まあいいか」ってなっちゃうんです。
紙とハンコ文化が根強い
なぜデジタル化が進まないのか
コロナ禍で一気に注目されましたよね、日本の「紙とハンコ文化」。
給付金の申請も、最初は郵送とか窓口が基本で。オンライン申請もできたけど、結局マイナンバーカードが必要で、持ってない人は結局役所に行くしかなかった。
なぜこんなにデジタル化が遅れてるのか。理由はいくつかあります。
まず、高齢者への配慮。日本は超高齢社会で、スマホやパソコンを使えない人も多い。「デジタルだけにすると、そういう人が困る」という配慮が働くんです。
でもこれ、逆に言えば「デジタルと紙、両方用意しないといけない」ってことで、結局行政側の負担は増える。
ハンコの不思議な力
日本人、ハンコ好きですよね。契約書も、宅配便の受け取りも、役所の書類も、ハンコハンコハンコ。
でも冷静に考えると、ハンコって本人確認としては弱いんですよ。だって、誰でも押せるし、100円ショップで同じ名字のハンコ買えば、他人のハンコも作れちゃう。
それなのになぜハンコにこだわるのか。それは「押した」という行為に重みを持たせる、日本の文化なんです。
サインだと「ささっと書いちゃった」感じだけど、ハンコは「ちゃんと押した」感がある。この心理的な重みが、日本社会では大事にされてるんです。
でも、これが行政手続きを複雑にしてる一因でもあるんですよね。実印が必要、印鑑証明が必要、印鑑の押し方が悪いからやり直し...。
「間違えたら責任取らされる」という役所の恐怖
減点主義の組織文化
民間企業だと、新しいことに挑戦して失敗しても、「ナイスチャレンジ!」って言ってもらえることもあります。でも役所は違う。
役所は基本的に「減点主義」なんです。ミスをしないことが最優先。新しいことをして失敗したら、「なんで余計なことしたんだ」って怒られる。
だから、職員さんたちは「安全第一」で仕事をする。マニュアル通り、前例通りにやっていれば、少なくとも怒られることはない。
これ、職員さん個人を責めるのは違うんです。そういう組織文化が問題なんです。
議会や住民からの追及
役所が慎重になる理由、もう一つあります。それは、何かあったら議会や住民から追及されるから。
例えば、ある自治体が「手続きを簡単にしよう」と思って、本人確認を緩くしたとします。そしたら不正が起きた。そうなったら、議会で「なぜそんな杜撰な管理をしたんだ!」って追及されます。マスコミにも叩かれる。
でも逆に、手続きが面倒で住民が困っていても、「不正はゼロです」って言えれば、あまり問題にされない。
つまり、「厳しすぎる」ことのデメリットより、「緩すぎる」ことのリスクの方が、役所にとっては大きいんです。
だから、どうしても「厳しめ」「慎重」な方向に傾いちゃう。
実は少しずつ変わってきてる
デジタル庁の誕生
2021年にデジタル庁ができましたよね。これ、実はけっこう画期的なことなんです。
今まで、デジタル化は各省庁がバラバラにやってた。だから、システムの互換性がなくて、連携できない。
デジタル庁ができたことで、「行政全体のデジタル化」を進める司令塔ができた。まだまだ道のりは長いけど、変化の兆しではあります。
ワンストップサービスの試み
「おくやみコーナー」って聞いたことあります?
家族が亡くなったとき、役所での手続きってめちゃくちゃ多いんです。死亡届、年金、保険、税金...。それを一つの窓口でまとめて対応してくれるサービスです。
これも、縦割りを超えようとする試みの一つ。まだ全国の自治体に広がってるわけじゃないけど、少しずつ増えてます。
引っ越しのときも、「転入転出ワンストップサービス」を始めてる自治体があります。一つの窓口で、全部の手続きを案内してくれる。
完全に一つの窓口で終わるわけじゃないけど、以前よりはだいぶマシになってきてます。
マイナンバーカードの活用
マイナンバーカード、持ってます?
普及率はだいぶ上がってきたけど、まだ100%じゃない。でも、これが普及すれば、行政手続きは劇的に変わる可能性があります。
コンビニで住民票が取れるようになったり、確定申告がオンラインでできたり。少しずつだけど、便利になってきてます。
ただ、情報漏洩への不安とか、「国に監視される」感覚への抵抗感とか、まだまだ課題は多い。
私たち市民にもできること
「仕方ない」で終わらせない
「役所の手続きが面倒なのは当たり前」って諦めてませんか?
でも、声を上げることは大事なんです。自治体のホームページには、意見箱とかパブリックコメントの募集とかあります。
「この手続き、オンラインでできるようにしてほしい」とか、「この書類、本当に必要?」とか、具体的な意見を送る。
一人の声は小さいかもしれないけど、同じ意見が100人、1000人から来たら、自治体も無視できません。
マイナンバーカードを使ってみる
マイナンバーカード、「怖いから作らない」って人もいるけど、一度使ってみると便利さが分かります。
コンビニで住民票取れるって、本当に楽ですよ。役所に行かなくていいし、土日でもできる。
使う人が増えれば、対応するサービスも増える。「需要がないから」って理由でサービスが広がらないこともあるので、使ってみることも、変化を後押しすることになります。
若い世代が声を上げる
行政手続きって、若い人ほど関心が薄いですよね。でも、これから一番長く付き合っていくのは若い世代です。
選挙に行く、議員さんに意見を送る、SNSで発信する。そういう小さな行動が、少しずつ社会を変えていきます。
「どうせ変わらない」じゃなくて、「変えていこう」という気持ち、大事にしたいですよね。
まとめ:複雑なのには理由がある、でも変えられる
日本の行政手続きが複雑な理由、いろいろ見てきました。縦割り行政、古い法律、紙とハンコ文化、減点主義の組織文化...。どれも一朝一夕には変えられない、根深い問題です。
でもね、「だから仕方ない」で終わらせたくないんです。少しずつだけど、変化は起きてます。デジタル庁ができたり、ワンストップサービスが始まったり。
大事なのは、「なんでこんなに面倒なんだよ!」ってイライラするだけじゃなくて、「なぜこうなってるのか」を知ること。そして、「じゃあどうすれば変えられるか」を考えること。
役所の人も、別に意地悪でやってるわけじゃないんです。ルールに縛られて、前例に縛られて、責任を恐れて、そうせざるを得ない。システムの問題なんです。
だからこそ、システムを変えていく必要がある。そのためには、私たち市民も「面倒だけど我慢する」じゃなくて、「もっと便利にしてほしい」って声を上げていくことが大事。
10年後、20年後の日本の行政手続きが、今より少しでも便利になってるように。そんな未来を、一緒に作っていけたらいいですよね。
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