Canvaでサムネを作り始めたら、動画づくりが少し楽しくなった理由

触れたきっかけと思ったこと

動画を投稿し始めて三ヶ月が経った頃、自分の動画一覧をスマホで眺めていて、なんとも言えない気持ちになった。内容には自信があるつもりだったのに、なぜかクリックしたくならない。サムネイルがどれも似たり寄ったりで、正直なところ地味だった。文字を入れただけの簡素なものや、動画の一場面をそのまま切り取っただけのものばかり。他の人の動画と並んだとき、明らかに埋もれている。

それまで動画編集ソフトでサムネイルも一緒に作っていた。動画の書き出しが終わったら、ついでにサムネイルも適当なフレームから作る。そんな流れが当たり前になっていて、特に疑問も持たなかった。でも、再生数が伸び悩んでいる現実を前にして、もしかしたらこのサムネイルが原因なんじゃないかと思い始めた。

友人に相談したら、「Canvaって知ってる?」と聞かれた。名前だけは聞いたことがあった。デザインツールらしいということは知っていたけれど、デザインなんて専門的なことをやったことがない自分には関係ないと思っていた。でも友人は「簡単だよ、無料でも使えるし」と言う。正直、半信半疑だった。デザインツールって難しいんじゃないの? Photoshopみたいな専門ソフトは触ったこともないし、センスもない。

それでも、このままサムネイルが地味なままでいるのも嫌だった。動画の内容を頑張って作っているのに、入り口で人が入ってこないのはもったいない気がした。とりあえず試してみるだけならタダだし、ダメなら元のやり方に戻ればいい。そう思って、その日の夜にCanvaのサイトを開いてみた。

登録は思ったより簡単だった。メールアドレスを入れて、いくつか質問に答えるだけ。あっという間にトップ画面が表示された。画面にはたくさんのテンプレートが並んでいて、正直、圧倒された。こんなにあるのか。どこから手をつけていいのかわからない。でも、検索バーに「YouTubeサムネイル」と入力してみたら、サムネイル用のテンプレートがずらっと出てきた。

プレビューを見ているだけで、なんだか楽しくなってきた。プロが作ったようなデザインが、テンプレートとして用意されている。文字の配置も、色の組み合わせも、全部考えられている。これを自分の動画に合わせて変えていけばいいのか。そう思ったら、少しだけ希望が見えた気がした。それまで「サムネイル作成=面倒な作業」だったのに、この瞬間から「ちょっと面白いかも」に変わった。最初のきっかけなんて、そんな些細なものだった。

最初に戸惑った体験

実際にテンプレートを選んで編集を始めてみたら、予想以上に戸惑うことが多かった。画面の使い方自体はシンプルだったけれど、どこをどう変えればいいのか、何をすれば「良いサムネイル」になるのかが全くわからなかった。

最初に選んだテンプレートは、派手な色使いで文字が大きく配置されているものだった。なんとなくインパクトがありそうだと思って選んだ。テンプレート上の文字をクリックすると、簡単に編集できた。自分の動画タイトルを入力してみる。でも、なんだか違う。文字数が合わないのか、レイアウトが崩れてしまった。長すぎる文字が枠からはみ出してしまって、バランスが悪い。

フォントを変えようとしたら、選択肢が多すぎて選べなかった。日本語フォントだけでも何十種類とある。明朝体、ゴシック体、手書き風、ポップ体。どれを選べば自分の動画に合うのか見当もつかない。適当に選んでは戻し、また別のフォントを試す。そんなことを繰り返しているうちに、時間だけが過ぎていった。

色も同じだった。背景色を変えようとしたら、カラーパレットが出てきて、無限の選択肢があるように思えた。テンプレートの色はオレンジだったけれど、自分の動画は落ち着いた雰囲気だから青がいいかもしれない。でも青にしたら、文字の色も変えないと読みにくい。文字を白にしたら、今度は影が足りない気がする。一つ変えると、他のバランスも変わってしまう。デザインってこんなに難しいのかと、途方に暮れた。

画像の配置にも苦労した。テンプレートには写真が入っていたけれど、それを自分の素材に差し替えたい。手持ちの写真をアップロードして、テンプレートの画像と入れ替えた。でも、サイズが合わない。画像が引き伸ばされて変な比率になってしまったり、逆に小さすぎて余白ができてしまったり。トリミングの仕方もよくわからなくて、何度もやり直した。

一番困ったのは、全体の統一感だった。テンプレートを使っているのに、自分が手を加えると急に素人っぽくなってしまう。文字を追加したり、色を変えたりするたびに、なんだかちぐはぐになっていく。プロが作ったテンプレートの良さが、自分の編集で台無しになっている気がした。

何時間もかけて作ったサムネイルを保存して、改めて見てみた。正直、微妙だった。確かに前よりは派手になったけれど、何かが違う。インパクトはあるけれど、自分の動画の雰囲気と合っていない気がした。派手すぎて、逆に嘘っぽく見える。これを使って本当にいいのかと迷った。

結局、その日はそのまま保存だけして、実際に使うのは先延ばしにした。もっと他のテンプレートを試してみようと思った。自分の動画に合うデザインがあるはずだ。最初の一回目で諦めるのは早い。でも同時に、思っていたより難しいという現実も突きつけられた。簡単にプロっぽいサムネイルが作れると期待していたけれど、そう甘くはなかった。

寝る前に、もう一度Canvaを開いて、別のテンプレートを眺めた。今度はシンプルなデザインを選んでみようと思った。派手さよりも、自分らしさを出せるものがいい。テンプレートの中には、落ち着いた色合いで、余白を活かしたデザインもあった。次はあれを試してみよう。そう思ったら、少しだけ前向きな気持ちになれた。失敗したけれど、まだ始まったばかりだ。

試行錯誤しながら気づいたこと

次の週末、改めてCanvaに向き合った。今度はシンプルなテンプレートから始めることにした。白い背景に、大きめの文字が一つ。写真が半分を占めるレイアウト。これなら自分でも扱いやすそうだと思った。

実際に編集を始めてみると、前回よりもスムーズに進んだ。要素が少ない分、迷う場面が減った。文字を入力して、フォントを選ぶ。今回はゴシック体の中でも、太めのものを選んだ。文字数が少ないから、多少大きくしても読みやすい。色は紺色にしてみた。黒だと重すぎるし、青だと軽すぎる。紺色はちょうどいいバランスだった。

写真を差し替えるとき、ふと気づいたことがあった。テンプレートの写真って、ただ綺麗なだけじゃないんだと。配置に意味がある。例えば、人物が写っている写真なら、顔の向きが文字の方を向いている。視線誘導というやつだ。自分の写真を選ぶときも、それを意識してみた。被写体が中央を向いている写真を選んだら、文字との関係が自然になった。

それから、余白の使い方にも気づいた。最初の頃は、空いているスペースがもったいなくて、何か埋めたくなっていた。文字を増やしたり、装飾を追加したり。でもシンプルなテンプレートを使ってみて、余白があるからこそ見やすいんだと分かった。情報が少ない方が、かえって目に入りやすい。全部詰め込もうとしなくていいんだ。

色の組み合わせについても、少しずつ理解が深まった。Canvaには「カラーパレット」という機能があって、テンプレートで使われている色が一覧で見られる。その色から選べば、統一感が保てる。自分で一から色を選ぶより、ずっと失敗が少ない。ああ、だからプロのデザインは綺麗なのかと納得した。色のルールを守っているからだ。

何枚かサムネイルを作っているうちに、テンプレートをそのまま使うんじゃなくて、自分なりにアレンジする楽しさが分かってきた。例えば、文字の位置を少しずらしてみる。背景の色を微妙に変えてみる。小さな変化だけれど、それだけで印象が変わる。自分の動画に合わせて調整していく過程が、なんだか創作活動みたいで楽しかった。

ある日、動画のシリーズ物を作ることになった。連続した内容の動画だから、サムネイルも統一感を持たせたい。Canvaで同じテンプレートを使って、色だけを変えてみることにした。第一回は青、第二回は緑、第三回は赤。文字と配置は同じで、色だけが違う。作っている最中、これはうまくいきそうだという予感がした。

実際にアップロードして、自分のチャンネルページを見たとき、思わず笑ってしまった。綺麗に並んでいる。統一感があって、シリーズ物だとすぐにわかる。今までの動画一覧とは明らかに違う。こんなに印象が変わるのかと驚いた。

それから、他の人のサムネイルを見る目も変わった。人気YouTuberのサムネイルを改めて観察してみると、みんなルールを持っていることに気づいた。文字の配置が決まっている人、使う色を絞っている人、写真の切り取り方にこだわっている人。一見バラバラに見えても、実は統一感があるんだ。それがブランディングになっている。

自分もそういうルールを作ってみようと思った。文字は画面の下三分の一に配置する。背景は寒色系で統一する。写真は必ず人物を入れる。小さなルールだけれど、それを守るだけで、自分らしさが出るような気がした。

試行錯誤の中で一番大きな気づきは、完璧を目指さなくていいということだった。最初の頃は、プロみたいなサムネイルを作ろうとして力んでいた。でも、自分は動画クリエイターであって、デザイナーじゃない。サムネイルは動画への入り口であって、作品そのものじゃない。そう割り切ったら、気持ちが楽になった。動画の内容を正直に伝えられるサムネイルであればいい。嘘をついてまで派手にする必要はない。

そう思えるようになってから、サムネイル作りが苦痛じゃなくなった。むしろ、動画を作り終えた後のちょっとしたご褒美みたいに感じられるようになった。今日はどんなサムネイルにしようか。どの写真を使おうか。考えること自体が楽しくなってきた。

自分なりに工夫したポイント

何枚もサムネイルを作っているうちに、自分なりのやり方やこだわりが生まれてきた。最初は手探りだったけれど、だんだんと「自分のパターン」が見えてきた。

まず、テンプレートの選び方を変えた。派手なものやトレンドっぽいものよりも、自分の動画の雰囲気に合うものを優先するようにした。自分の動画は解説系が多いから、清潔感があって、文字が読みやすいデザインを選ぶ。逆に、エンタメ系の動画のときは、少し遊び心のあるデザインにする。動画の内容に合わせてテンプレートを使い分けるようになった。

文字の入れ方にも工夫をした。最初の頃は、動画タイトルをそのまま入れていた。でも、タイトルが長いと文字が小さくなってしまって読みにくい。だから、サムネイル用にタイトルを短縮するようにした。キーワードだけを抜き出す。「〜する方法」は「〜のコツ」に言い換える。文字数を減らすことで、フォントサイズを大きくできる。スマホで見たときの視認性が格段に上がった。

色使いについては、自分なりのルールを作った。メインカラーは三色まで。それ以上使うとごちゃごちゃする。そして、必ず一つは落ち着いた色を入れる。派手な色だけだと目がチカチカするから、グレーやベージュを入れてバランスを取る。Canvaのカラーパレット機能で、補色や類似色を確認しながら選ぶようにした。

写真の選び方も変えた。動画の一場面をそのまま使うんじゃなくて、サムネイル用に別撮りすることもあるようになった。表情や構図を意識して撮る。笑顔よりも、真剣な表情の方がクリックされやすいと聞いて、実際に試してみた。あるいは、驚いた表情や、指さしているポーズ。少し演技っぽくなるけれど、サムネイルとしては効果的だった。

それから、文字に影をつけることの重要性にも気づいた。背景が明るい場合、白い文字は読みにくい。でも影をつければ、どんな背景でも文字が浮き上がる。Canvaでは文字を選択して、「エフェクト」から簡単に影がつけられる。この小さな工夫で、プロっぽさが増した気がした。

レイヤーの重ね方にも慣れてきた。最初の頃は、テンプレートの構造を理解していなくて、要素を動かすたびにレイアウトが崩れていた。でも、レイヤーの概念が分かってからは、自由に編集できるようになった。背景、写真、文字、装飾。それぞれが別のレイヤーになっている。順番を入れ替えたり、透明度を調整したり。細かい調整ができるようになって、表現の幅が広がった。

時間をかけすぎないことも工夫の一つだった。最初の頃は一枚のサムネイルに数時間かけていたけれど、それでは本末転倒だ。動画編集に時間をかけるべきなのに、サムネイルに時間を取られてしまっては意味がない。だから、制限時間を決めた。一枚につき三十分まで。時間内に完成させる。そう決めたら、逆に集中できるようになった。迷っている時間がもったいないから、直感で決める。その方がかえって良いサムネイルができることもあった。

保存する前に、必ずスマホで確認するようにもした。パソコンの画面で見ると綺麗でも、スマホで見ると文字が小さすぎることがある。実際にスマホで見て、読めるかどうか、インパクトがあるかどうかをチェックする。これは友人からのアドバイスだったけれど、本当に役立った。今の時代、ほとんどの人がスマホで動画を見るんだから、スマホでの見え方が一番重要だ。

もう一つ、自分の中で大事にしているのは、嘘をつかないことだった。サムネイルで過度に期待させて、実際の動画内容と違っていたら、視聴者をがっかりさせてしまう。派手なサムネイルを作りたい気持ちはあるけれど、動画の内容を正直に表現することを優先した。地味でもいいから、嘘がないサムネイルにする。そう決めてから、作るときの迷いが減った。

こうした工夫は、一度に思いついたわけじゃない。失敗したり、他の人のサムネイルを観察したり、少しずつ試していく中で身についていった。今でも完璧だとは思っていないけれど、自分なりのスタイルができてきたことは確かだ。

実際の場面でどう役立ったか

Canvaでサムネイルを作るようになってから、具体的な変化がいくつもあった。数字として表れたものもあれば、気持ちの面で感じたこともあった。

一番わかりやすかったのは、クリック率の変化だった。YouTubeのアナリティクスを見ると、インプレッション数に対してどれくらいクリックされたかが分かる。サムネイルを変える前は、クリック率が2%台だった。百人が目にして、二人がクリックする程度。でも、Canvaで作ったサムネイルに変えてから、少しずつ上がっていった。最初は3%、次は4%。ある動画では6%を超えた。

数字だけ見ればわずかな差だけれど、体感としては大きかった。同じ内容の動画なのに、サムネイルを変えただけで人が入ってくる。それまで埋もれていた過去の動画も、サムネイルを作り直してみたら、再び再生されるようになった。動画の内容が良くても、入り口が悪ければ見てもらえない。逆に、入り口さえしっかりしていれば、中身を見てもらえるチャンスが増える。当たり前のことだけれど、それを実感として理解できた。

コメントも変わった。「サムネイルが気になってクリックしました」と書かれることが増えた。あるいは、「最近サムネイルが綺麗になりましたね」と言ってもらえることもあった。見てくれている人は、ちゃんと気づいてくれるんだと嬉しくなった。自分では些細な変化だと思っていたけれど、視聴者には伝わっていたんだ。

シリーズ物の動画では、特に効果を感じた。統一感のあるサムネイルにしたことで、「続きが気になる」と思ってもらえるようになった。一つの動画を見た人が、関連動画として表示された次の動画もクリックしてくれる。サムネイルが揃っているから、シリーズだとすぐにわかる。視聴者の導線がスムーズになった。

動画投稿のモチベーションにも影響があった。以前は、動画が完成しても、サムネイル作りが億劫で投稿を先延ばしにしてしまうことがあった。でも今は、サムネイル作りも含めて楽しみになっている。動画を作り終えたら、「さて、今回はどんなサムネイルにしようか」とワクワクする。その工程自体がクリエイティブな時間になった。

他のクリエイターとの交流でも役立った。SNSで動画を宣伝するとき、サムネイルが綺麗だとシェアされやすい。他の人が「このサムネイル素敵ですね」と反応してくれる。そこから会話が生まれて、つながりが広がった。サムネイルがコミュニケーションのきっかけになるなんて、思ってもみなかった。

仕事の依頼が来たときも、サムネイル作りの経験が役立った。企業から動画制作の相談を受けたとき、サムネイルも含めて提案できた。Canvaで作ったサンプルを見せたら、「このクオリティなら安心です」と言ってもらえた。動画編集だけじゃなく、サムネイルも含めたトータルの提案ができることが、自分の強みになった。

個人的に一番嬉しかったのは、家族や友人からの反応だった。自分の動画を見せたとき、「サムネイルがプロっぽいね」と言われた。それまでは「頑張ってるね」くらいのリアクションだったのに、明らかに印象が変わった。素人っぽさが抜けて、ちゃんとした動画に見えるようになったんだと実感した。

ある日、昔の動画のサムネイルと、今の動画のサムネイルを並べて見比べてみた。わずか数ヶ月の違いなのに、別人が作ったみたいに違う。昔のサムネイルは、今見ると恥ずかしくなるくらい地味で雑だった。でもその比較が、自分の成長を感じさせてくれた。Canvaを使い始めたことで、確実にスキルが上がっている。

実際の場面で役立ったのは、技術的なことだけじゃなかった。サムネイルを作る時間が、自分の動画を客観的に見つめ直す時間にもなった。「この動画の一番の魅力は何だろう」「どんな人に見てほしいんだろう」。サムネイルを作りながら、動画の核心を考える。その過程で、自分の動画作りに対する姿勢も変わっていった気がする。

続けてみて変化したこと

Canvaでサムネイルを作り続けて半年が経った頃、自分でも驚くような変化に気づいた。サムネイル作りが習慣になっただけじゃなく、動画制作全体に対する考え方が変わっていた。

一番大きな変化は、企画段階からサムネイルを意識するようになったことだった。以前は、動画を作り終えてから「さて、サムネイルどうしよう」と考えていた。でも今は、企画を考える時点で「このテーマならサムネイルはこんな感じかな」とイメージしている。サムネイルで表現できないテーマは、そもそも動画として弱いんじゃないかと思うようになった。

例えば、「最近感じたこと」みたいな漠然としたテーマは、サムネイルにしづらい。でも「〇〇して気づいた三つのこと」なら、数字も入るし、具体性がある。サムネイルも作りやすい。企画の時点でサムネイルを意識することで、テーマ自体が明確になる。結果的に、動画の内容も分かりやすくなった。

撮影の仕方も変わった。サムネイル用の素材を意識して撮るようになった。動画の中で使う映像だけじゃなく、サムネイルに使えそうなカットも撮る。表情のバリエーションを増やしたり、構図を変えてみたり。編集のときに「サムネイルに使える素材がない」と困ることがなくなった。

色に対する感覚も鋭くなった。街を歩いていても、看板やポスターの配色が気になるようになった。「この組み合わせは読みやすいな」とか、「この色は目立つけど品がある」とか。日常の中でデザインを観察する癖がついた。それがサムネイル作りにもフィードバックされて、色選びのセンスが少しずつ磨かれていった気がする。

他の人の動画を見るときの視点も変わった。内容だけじゃなく、サムネイルにも注目するようになった。人気の動画はどんなサムネイルにしているのか。文字の大きさは? 色使いは? 写真の選び方は? 研究するように見るようになった。真似するんじゃなくて、学ぶ。良いと思った要素を自分なりに取り入れてみる。そうやって引き出しが増えていった。

意外だったのは、Canvaでサムネイル以外のものも作るようになったことだった。SNS用の投稿画像や、動画の中で使う字幕テロップのデザイン。最初はサムネイル専用だと思っていたけれど、実はいろんなことができるツールだと気づいた。動画のエンドカードもCanvaで作ってみたら、統一感が出て良かった。一つのツールでいろんなデザインができる便利さを知った。

チャンネル全体のブランディングにも意識が向くようになった。サムネイルの統一感が、チャンネルの個性になる。自分のチャンネルを訪れた人が、「このチャンネルはこういう雰囲気なんだな」と一目で分かるようにしたい。そのためには、サムネイルだけじゃなく、チャンネルアートやプロフィール画像も揃える必要がある。全部Canvaで作ることで、トータルのデザインに一貫性が生まれた。

動画づくりに対する自信も少しずつついてきた。サムネイルがしっかりしていると、動画全体がプロっぽく見える。それが自分の自信にもつながる。「ちゃんとした動画を作っている」という実感が持てる。その自信が、動画の企画や撮影にも良い影響を与えている気がする。

再生数も安定して伸びるようになった。劇的に増えたわけじゃないけれど、着実に右肩上がりになっている。新しく投稿した動画が、以前よりも早く再生される。登録者数も少しずつ増えている。サムネイルだけの効果じゃないだろうけれど、少なくとも足を引っ張る要素ではなくなった。入り口がしっかりしているから、中身を見てもらえるチャンスが増えた。

何より、動画づくりが楽しくなった。以前は義務感で作っているような部分もあった。再生数が伸びないと、何のために作っているんだろうと思うこともあった。でも今は、純粋に楽しい。企画を考えるのも、撮影するのも、編集するのも、サムネイルを作るのも。全部が一連の創作活動として楽しめている。

サムネイル作りを通して、デザインの基礎みたいなものも身についた気がする。色の組み合わせ、文字の配置、余白の使い方。専門的に学んだわけじゃないけれど、実践の中で体感的に理解できた。それが動画編集にも活きている。テロップの入れ方や、画面構成を考えるとき、デザインの視点が加わった。

もう一つ、コミュニティの中での立ち位置も変わった。同じように動画を作っている仲間から、「サムネイルどうやって作ってるの?」と聞かれることが増えた。自分が教える側になるなんて思ってもみなかった。Canvaのことを教えたり、自分なりの工夫を共有したり。そうやって誰かの役に立てることが嬉しかった。

半年前の自分に伝えたい。サムネイルをちゃんと作るだけで、こんなに変わるんだよと。もっと早く始めればよかったと思う反面、今のタイミングだったから楽しめたのかもしれないとも思う。焦って完璧を目指していたら、きっと続かなかった。試行錯誤しながら、少しずつ成長していく過程そのものが、楽しかったんだと思う。

まとめ

Canvaでサムネイルを作り始めてから、動画づくりが少し楽しくなった。いや、少しどころじゃないかもしれない。明らかに、動画制作に対する姿勢が変わった。

最初は、再生数を伸ばすための手段としてサムネイルを改善しようと思った。地味なサムネイルを何とかしたい